【R18】ルーシェの苦悩 ~貧乏男爵令嬢は乙女ゲームに気付かない!?~

ウリ坊

文字の大きさ
45 / 113
本編

対価 ※

 

 ルーシェは無事進級し三年生になった。エミリオやグレンは今回卒業してしまった。
 それに合わせ、ウィルソンも三年の途中で飛び級扱いになり、事実上卒業となる予定だ。それから本格的にエミリオの側近として城勤めに入る。

 そしてルーシェは当初の予定通り、進級と共にクロウド侯爵家を辞め、寮に入る予定であった。
 元々その約束で雇ってもらったし、ルーシェ自身も直前までそのつもりだった。

 だが、それを聞いたウィルソンが全力で阻止してきた。
 只でさえ学園も半ばで卒業し、二人で居る時間が減るのに、お屋敷も去ってしまったら会える時間が僅かになってしまう。

 ルーシェとしては、このまま働かせてもらった方が有り難かったし、ウィルソンの必死な説得も受け、とりあえず現状維持ということで話は纏まった。

 







 ◇◇◇


「ルー、今度の休日に共に登城してほしい」
 

 夜。
 ルーシェの自室に訪ねてきたウィルソン。
 ベッドの上で口付けを交わしながら告げられる。

「んっ、ん……は…い?私が…ですか?…あっ」

「あぁ、エミリオ殿下がお呼びだ」

 首筋を軽く吸われ、ぞくぞくした感覚が背筋を這う。

「あ…ぁ…エミリオ…殿下が?どうして、私を……?」

「今は…こちらに集中してくれ……」

 乳房を撫でていた手が、敏感な先端をきゅっとつねる。

「あっ…ん!」



 ◇


 後から聞いた話だと、偽聖女クレアと国家反逆を図った事件について直接伝えたい事があるそうだ。
 今までは学園で会っていたが、卒業してしまったため今回の登城となるらしい。








 そんなわけでウィルソンと共に王宮へ行く事に。
今回で三度目だが、相変わらず緊張する。
 こうしてじっくりお城の中を眺めるのは初めてだ。前の二回はそんな余裕さえなかった。

 第二王子専用の執務室まで案内される。扉を開けると、エミリオとグレンが待っていた。
 スカートの裾を持ち、礼を取る。

「本日はお招き頂き誠に光栄でございます。第二王子殿下におかれましてはご機嫌麗しく…」

「相変わらずだね、ルーシェ嬢。挨拶はそのくらいにして、こっち座って」

 紅玉の瞳をおかしそうに細めながら着席をすすめる。

「……はい。失礼致します」

 応接用のソファに座るが、座り心地の良さに落ち着かなくなる。

「殿下、こちらは前にご所望されていた物です。宜しければお納め下さいませ」

 持参品として、この前気に入ってくれたシフォンケーキのチョコと紅茶バージョンを用意した。

「え?あぁ、覚えていてくれたんだ!嬉しい!ありがとう!」
「恐縮にございます」
「も~普通に話してくれて大丈夫だよ。ウィルからも聞いていると思うけど、今日は君に話が合って呼んだんだ」
「私にどういったご用件でしょう?」

「今回、聖女及び学園関係による国家を巻き込んだ重大事件に発展した。そこで、事件解決の立役者となった君に褒賞を出そうと思ってね。事件の関係上公には出来ないけど、陛下にも了承済みだよ」

「ほ、褒賞……ですか?私は大したことはしておりませんが」

「いや、ルーシェ嬢がいなければ今回の事件はこんなに早く解決出来なかったよ。下手すればあの偽聖女が兄上の妃となり、ゆくゆくは即位した後、裏から操ろうとしていたんだから」

 そうなのだ。ノルン男爵及びアルビオン学園の現学園長は、クレアの先見の能力を使い、聖女として奉り上げ王子の婚約者となり、正妃になった暁には、裏から国を牛耳ろうとしていた。
 そんな恐ろしい国の乗っ取り事件にまで発展していたのだ。
 あとでウィルソンから聞い時は驚きを隠せなかった。

「そーだぞ。ルーシェ嬢は本当にすごい活躍ぶりだったからな!」

 騎士服を着たグレンも笑いながら言う。
 
「ルー、遠慮はいらない。殿下が君の功績を讃えたいと言って下さるのだから、難しく考えず受け取るといい」

 ルーシェの後ろに立っていたウィルソンにまで言われてしまい、腹を括る。

「私のような者が受け取って良いのかわかりませんが、慎んで頂戴致します」

「良かった!…それでね、君に何がいいのか聞こうと思って呼んだんだよ」

「そうでしたか。お気遣い痛み入ります」

「で、何か欲しい物はある?」

「欲しい物、でございますか……?」

 ルーシェは考える。

 いきなり言われたのもあるが、特に欲しいものもない。前はお金が欲しかったが、今はお屋敷で働いているし、ウィルソンが将来の為にとルーシェの学費を全部払ってしまったのだ。
 だから特に思い浮かばない。

「少し…考えるお時間を頂いてもよろしいですか?急なことで何も思い付かなくて………」

「ルーシェ嬢って本当欲がないね~。他のご令嬢ならすぐ宝石、ドレス、領地とかさ…酷い人間になると、僕らの誰かと婚約させて欲しいとか言ってくるからね」

 エミリオは既に婚約者がいる。グレンは婚約者がいるらしいが、誰なのかは知らない。

「それは、大変ですね……」

「そうなんだよ。ま、そんな人間とは死んでも婚約なんてしないんだけどね」

 そう言って笑う顔が、とても可愛らしいのに怖い。
 ルーシェは、エミリオの目が笑っていないことに恐怖を覚えた。

(エミリオ殿下って、一見穏やかそうで話やすいんだけど、なんだか腹黒って感じがするんだよね……だから隙を見せられないっていうか………)

 ルーシェの勘が油断してはいけないといっている。それは強ち間違えではないのだが、知るはずもなかった。

「とりあえず考えておいてね」

「畏まりました」

 その日はそのままルーシェだけが、お屋敷へ帰り、ウィルソンとはその場で別れることとなった。











 **********************************

 読んでいただきありがとうございます!

あなたにおすすめの小説

女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。 100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳 そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。 当面は2日に1話更新予定!

拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!

星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。 ……のに。 「お腹すいた」 そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。 強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。 手当てすれば「危ない」と囲い込み、 看病すれば抱きしめて離さず、 ついには―― 「君が、俺の帰る場所」 拾ってない。飼ってない。 ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。 無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の 距離感バグ甘々ラブコメ、開幕! ⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……