【R18】ルーシェの苦悩 ~貧乏男爵令嬢は乙女ゲームに気付かない!?~

ウリ坊

文字の大きさ
97 / 113
旅行編

クロノ商会 2

しおりを挟む
*

 店の商品を順に説明してもらう。
 伯爵邸でも料理人達から説明された商品もあり、全てではないがやはり日本に近い食材が多い。
 
「こちらの乾物は魚を加工し天日干ししたものです。こちらは果実を塩漬けにし貯蔵期間を増やす工夫をしておりやす」

 ルーシェは興味津々でタユラの話を聞いている。久々に触れる日本食に近い食材を前に、食い入る様に手に持った商品を眺めている。

「そういえば、君はコメという穀物を探していたな?タユラ、そのような穀物は置いてあるか?」

 隣で一緒に聞いていたウィルソンは目を輝かせて聞いているルーシェを見ながら、思い出したようにタユラに問いかける。

 一通り商品を説明し終えたタユラは、その言葉を聞き一頻り考える。

「コメでございますか?…そのような名前のものはございませんが、ジャニールの穀物でしたら置いてございます。少々お待ち下せえませ」
 
 バタバタと店の奥に走っていくタユラ。
 どうやら店で売っている訳では無さそうだ。パッと店を見た時に思ったが、ジャニールの商品はそこまで売れ筋は良くないようだ。
 外国の商品ということもあり、そこまで認知度は高くない。
 ウィルソンも把握はしていても口にしたことはあまりないようだし。むしろ伯爵邸に置いてあったのが奇跡のような感じだ。

「ルー、疲れていないか?」

「いえ、大丈夫です」

 連日の疲れと交わりで身体はかなり疲弊しているが、この機会を逃すとまたいつ見に来れるかわからない。
 ここで疲れてると伝えたら帰ろうと言われるかもしれない。
 
「本当に?」

「はい」
 
 並んでいた隣から腰を引き寄せられ、耳元でこっそりと耳打ちされる。

「では、今宵もまだ交われそうか?」

 寄せられた唇に耳朶を噛まれ、ピリッと走る僅かな痛みと痺れに思わず声が漏れる。

「!…ぁ」

 鼓膜を揺さぶるその甘い言葉の響きに、サッと顔を朱に染める。
 言葉の意味を瞬時に理解し、ルーシェの身体がぷるぷると震える。

(嘘でしょ!?あれだけ…あれだけしたのに!?)

 普段のウィルソンはどれ程欲望を抑えているのだろう。これが攻略対象者の実力なのだろうか…末恐ろしくなる。

「ウィル様!先ほども申し上げましたが、今日はもうご容赦くださいませ!」

 耳を弄んでいたウィルソンの胸をグイッと押し、どうにか離れようと試みる。
 
「フッ……冗談だ」
 
 クスリと笑って頬に軽いキスをする。
 
 絶対本気で言っていた。
 ルーシェが了承さえすれば夜もまた励まねばならないところだった。

 背中にダラダラと冷や汗が流れる。
 もう伯爵邸に帰ったら湯あみをして、とにかく直ぐベッドに直行して眠りたい。食事もいらないくらいだ。
 それほど身体に疲労が溜まっている。
 ウィルソンと一緒にいることに、これ程まで体力を使うと思っていなかった。
 
「あの…ウィル様。そろそろ離して下さいませんか?」

 腰に絡み付いている腕は中々離そうとしてくれない。じきにタユラだって戻って来てしまうのに、ウィルソンはお構い無しだ。
 斜め横から見上げてお願いするが、ウィルソンはどうやら離すつもりはないようだ。

「君と共に居て、何故離れないといけないんだ?」

 不満そうに訴えているウィルソン。腰に回していた手を更に強く引き寄せ、抱き合っているのと変わらなくなってしまう。
 
「いえ、ナンデモナイデス」

 とりあえずくっついているだけなので、ルーシェは諦めてタユラを待った。















 ********************************
 読んで頂き、ありがとうございます!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる

狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。 しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で……… こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】

Lynx🐈‍⬛
恋愛
 ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。  それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。  14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。 皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。 この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。 ※Hシーンは終盤しかありません。 ※この話は4部作で予定しています。 【私が欲しいのはこの皇子】 【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】 【放浪の花嫁】 本編は99話迄です。 番外編1話アリ。 ※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

処理中です...