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旅行編
クロノ商会 2
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店の商品を順に説明してもらう。
伯爵邸でも料理人達から説明された商品もあり、全てではないがやはり日本に近い食材が多い。
「こちらの乾物は魚を加工し天日干ししたものです。こちらは果実を塩漬けにし貯蔵期間を増やす工夫をしておりやす」
ルーシェは興味津々でタユラの話を聞いている。久々に触れる日本食に近い食材を前に、食い入る様に手に持った商品を眺めている。
「そういえば、君はコメという穀物を探していたな?タユラ、そのような穀物は置いてあるか?」
隣で一緒に聞いていたウィルソンは目を輝かせて聞いているルーシェを見ながら、思い出したようにタユラに問いかける。
一通り商品を説明し終えたタユラは、その言葉を聞き一頻り考える。
「コメでございますか?…そのような名前のものはございませんが、ジャニールの穀物でしたら置いてございます。少々お待ち下せえませ」
バタバタと店の奥に走っていくタユラ。
どうやら店で売っている訳では無さそうだ。パッと店を見た時に思ったが、ジャニールの商品はそこまで売れ筋は良くないようだ。
外国の商品ということもあり、そこまで認知度は高くない。
ウィルソンも把握はしていても口にしたことはあまりないようだし。むしろ伯爵邸に置いてあったのが奇跡のような感じだ。
「ルー、疲れていないか?」
「いえ、大丈夫です」
連日の疲れと交わりで身体はかなり疲弊しているが、この機会を逃すとまたいつ見に来れるかわからない。
ここで疲れてると伝えたら帰ろうと言われるかもしれない。
「本当に?」
「はい」
並んでいた隣から腰を引き寄せられ、耳元でこっそりと耳打ちされる。
「では、今宵もまだ交われそうか?」
寄せられた唇に耳朶を噛まれ、ピリッと走る僅かな痛みと痺れに思わず声が漏れる。
「!…ぁ」
鼓膜を揺さぶるその甘い言葉の響きに、サッと顔を朱に染める。
言葉の意味を瞬時に理解し、ルーシェの身体がぷるぷると震える。
(嘘でしょ!?あれだけ…あれだけしたのに!?)
普段のウィルソンはどれ程欲望を抑えているのだろう。これが攻略対象者の実力なのだろうか…末恐ろしくなる。
「ウィル様!先ほども申し上げましたが、今日はもうご容赦くださいませ!」
耳を弄んでいたウィルソンの胸をグイッと押し、どうにか離れようと試みる。
「フッ……冗談だ」
クスリと笑って頬に軽いキスをする。
絶対本気で言っていた。
ルーシェが了承さえすれば夜もまた励まねばならないところだった。
背中にダラダラと冷や汗が流れる。
もう伯爵邸に帰ったら湯あみをして、とにかく直ぐベッドに直行して眠りたい。食事もいらないくらいだ。
それほど身体に疲労が溜まっている。
ウィルソンと一緒にいることに、これ程まで体力を使うと思っていなかった。
「あの…ウィル様。そろそろ離して下さいませんか?」
腰に絡み付いている腕は中々離そうとしてくれない。じきにタユラだって戻って来てしまうのに、ウィルソンはお構い無しだ。
斜め横から見上げてお願いするが、ウィルソンはどうやら離すつもりはないようだ。
「君と共に居て、何故離れないといけないんだ?」
不満そうに訴えているウィルソン。腰に回していた手を更に強く引き寄せ、抱き合っているのと変わらなくなってしまう。
「いえ、ナンデモナイデス」
とりあえずくっついているだけなので、ルーシェは諦めてタユラを待った。
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読んで頂き、ありがとうございます!
店の商品を順に説明してもらう。
伯爵邸でも料理人達から説明された商品もあり、全てではないがやはり日本に近い食材が多い。
「こちらの乾物は魚を加工し天日干ししたものです。こちらは果実を塩漬けにし貯蔵期間を増やす工夫をしておりやす」
ルーシェは興味津々でタユラの話を聞いている。久々に触れる日本食に近い食材を前に、食い入る様に手に持った商品を眺めている。
「そういえば、君はコメという穀物を探していたな?タユラ、そのような穀物は置いてあるか?」
隣で一緒に聞いていたウィルソンは目を輝かせて聞いているルーシェを見ながら、思い出したようにタユラに問いかける。
一通り商品を説明し終えたタユラは、その言葉を聞き一頻り考える。
「コメでございますか?…そのような名前のものはございませんが、ジャニールの穀物でしたら置いてございます。少々お待ち下せえませ」
バタバタと店の奥に走っていくタユラ。
どうやら店で売っている訳では無さそうだ。パッと店を見た時に思ったが、ジャニールの商品はそこまで売れ筋は良くないようだ。
外国の商品ということもあり、そこまで認知度は高くない。
ウィルソンも把握はしていても口にしたことはあまりないようだし。むしろ伯爵邸に置いてあったのが奇跡のような感じだ。
「ルー、疲れていないか?」
「いえ、大丈夫です」
連日の疲れと交わりで身体はかなり疲弊しているが、この機会を逃すとまたいつ見に来れるかわからない。
ここで疲れてると伝えたら帰ろうと言われるかもしれない。
「本当に?」
「はい」
並んでいた隣から腰を引き寄せられ、耳元でこっそりと耳打ちされる。
「では、今宵もまだ交われそうか?」
寄せられた唇に耳朶を噛まれ、ピリッと走る僅かな痛みと痺れに思わず声が漏れる。
「!…ぁ」
鼓膜を揺さぶるその甘い言葉の響きに、サッと顔を朱に染める。
言葉の意味を瞬時に理解し、ルーシェの身体がぷるぷると震える。
(嘘でしょ!?あれだけ…あれだけしたのに!?)
普段のウィルソンはどれ程欲望を抑えているのだろう。これが攻略対象者の実力なのだろうか…末恐ろしくなる。
「ウィル様!先ほども申し上げましたが、今日はもうご容赦くださいませ!」
耳を弄んでいたウィルソンの胸をグイッと押し、どうにか離れようと試みる。
「フッ……冗談だ」
クスリと笑って頬に軽いキスをする。
絶対本気で言っていた。
ルーシェが了承さえすれば夜もまた励まねばならないところだった。
背中にダラダラと冷や汗が流れる。
もう伯爵邸に帰ったら湯あみをして、とにかく直ぐベッドに直行して眠りたい。食事もいらないくらいだ。
それほど身体に疲労が溜まっている。
ウィルソンと一緒にいることに、これ程まで体力を使うと思っていなかった。
「あの…ウィル様。そろそろ離して下さいませんか?」
腰に絡み付いている腕は中々離そうとしてくれない。じきにタユラだって戻って来てしまうのに、ウィルソンはお構い無しだ。
斜め横から見上げてお願いするが、ウィルソンはどうやら離すつもりはないようだ。
「君と共に居て、何故離れないといけないんだ?」
不満そうに訴えているウィルソン。腰に回していた手を更に強く引き寄せ、抱き合っているのと変わらなくなってしまう。
「いえ、ナンデモナイデス」
とりあえずくっついているだけなので、ルーシェは諦めてタユラを待った。
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