【R18】復讐を決意した傷もの令嬢は、魅惑の王弟殿下に甘く翻弄される 〜契約結婚の条件に夜伽が含まれていたなんて聞いてません!〜

ウリ坊

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求婚

 休憩なしで馬車を乗り継いできたオリビアに、これからの馬に乗っての移動はかなりハードたったが、今はイクシオンに自分の話を信じてもらう最大のチャンスだった。
 たとえ疲れていてもこの機会を逃すわけにはいかない。
 
「じゃあついてこい」

「はい」

「ロイズ、馬の準備をしろ」

「は、はいっ! わかりました」

 それからオリビアの脇を通り過ぎたイクシオンの後をついて行く。
 ロイズと呼ばれた側近もあとに続き、三人で部屋を出た。


 馬に乗り、山道を駆けていく。
 側近のロイズは少し遅れて後ろを走っていた。

「お前っ、ずいぶん乗り慣れてるじゃないか!」

 結構なスピードで馬を操りながら、イクシオンは余裕でオリビアに話しかけてきた。
 隣を並走していたオリビアはそこまでの余裕はなく、しっかり前を見ながら集中している。

「子どもの頃から乗っていたのでっ」

 馬の駆ける音がうるさく声を張り上げて話すが、あまり喋っていると舌を噛みそうなので短く答えた。

「よし! 来いっ!」

 どこか楽しげに話すイクシオンは、さらに馬のスピードを上げた。まるで競争でもしているように山道を猛スピードで駆けていく。

(もうっ、イクシオンは何がしたいの?! レースしてるわけじゃないんだから! こっちはついていくのがやっとなのに!)

 どうにかイクシオンの後ろをついていくと、開けた草原が出てきた。
 その奥には川が流れている。
 ようやくイクシオンもスピードを落とし、川の手前で馬を止めた。

「見ろ。ここから飲み水を供給している」 

 目の前にはそこまで大きくはない川が広がっていた。見た感じでは綺麗な水が流れているように見える。

「もう少し上流へ行きましょう。おそらく崩落した地点はここより上ではなかったですか?」

「あぁ、そうだ。この辺り一帯は崩落が酷く、領民たちを立ち入り禁止にしている。俺も災害があったあと、しばらくここには近寄っていなかった」

「では現場を見に行きましょう」

 まだ側近は来ていなかったが、とりあえず二人で川沿いを歩き出した。

「――なっ!」

 しばらく歩き上流へ辿り着くと、そこは悲惨な光景が広がっていた。
 川で泳いでいた魚はプカプカと浮かび息絶えていた。そして周りの草木は一部を残し茶色に変色し、枯れてしまっていた。

(やっぱり、ゲームと一緒だ。アフロディーテはこの光景を見て衝撃を受けてた)

「見てください、殿下。これが体調不良の原因です。周りの生態系にも影響が出ています」

 同じくイクシオンも言葉を失っていたが、オリビアの問いかけに重い口を開いた。

「……しかし、ここを堰き止め、水路を変えたとしても、すでに長い期間毒物を摂取していた領民たちは――」

「お任せください。そちらも解毒効果のある薬を作ることができます」

 川を見たまま言葉を詰まらせたイクシオンは、オリビアの言葉に即座に反応した。

「本当か?!」

「えぇ。ですが、一つ条件があります」

「条件? なんだ? なんでも叶えてやるぞ。好きなだけ褒美は取らせる!」

 解決策を提案されたイクシオンは、食い気味にオリビアへ迫っている。
 だがオリビアは冷静さを崩さず、必死に話しかけるイクシオンを見上げた。

「いいえ。褒美はいりません」

「では、何が条件だ?」

 オリビアは近くに咲いていた白い花を一輪手折るとその場でひざまき、片手を胸に当て、その花をイクシオンの前へと捧げた。

「――イクシオン・アーク・ライアー王弟殿下、どうか私と結婚してください」

 

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