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本編
心より身体が欲しい 2
しかし、アイザックは愛撫の手を止めることはない。
首筋、鎖骨、胸元……と唇を落とし、時折出っ張りを僅かに甘噛される。
「ぁ、ふっ!」
絶妙な力加減で、感じるか感じないかの痛みと快楽の狭間で悶える。
身体が大なり小なりの反応を見せ、アイザックはその反応を窺うように、リアトリスを上目遣いで眺めている。
肩を強めに食まれ、噛んだ箇所を舌で舐め上げられるとゾクゾクと電流が走るように身体が震える。
「ふぁっ……!」
澄花だった頃でも経験はないが、焦れったく思いながら、こんな曖昧な愛撫が情欲を増幅させることを初めて知った。
ただ敏感な上と下の部分を触られ、雄を挿入し、揺さぶられるだけではない。
本当の快楽はもっともっと奥が深い。
いかに自分が情報のみの知識不足で、奥深さを知らない未熟者なのかを思い知らされる。
「ん、もっ、と、触って……」
まだ始まったばかりの前戯で、たまらずねだってしまうほど、身体の熱が燻っている。
「まだ早い」
「あぅ! ひ、ぁッ!」
腕の柔らかな部分や指先にも歯を立てられ、上擦る声を抑えられない。
触っていた乳房の先端から手が外され、直接的な快楽がお預けとなり、身を捩って悶える。
下腹部が、子宮が、熱く疼く。
露出された乳房の先端は赤く色づいて硬く尖り、触れてもらうことを待ち望んでいる。
「陛下っ……」
ねだるように呼ぶと、リアトリスの手を取ったアイザックは指先に唇をつけている。
「汚名は返上できたようだな」
「お、めい?」
指先に触れる唇の感触に心拍数が上がるが、言われた言葉が分からなくて聞き返した。
「俺が下手くそだという汚名だ」
「なっ……!」
言われてカァーッと顔が熱くなる。
すっかり忘れていたが、そういえばそんなことを言っていた。
真っ赤になった顔を隠すように、両手で顔を覆った。
「あの時のことは、お忘れくださいっ! 薬のせいで……正気では、なかったので……」
「だがお前は否定せず、罰しろと言うだけだった」
「っ」
図星を突かれ、言葉に詰まる。
薬のせいで正気ではなかったからこそ出た、紛れもない本音だった。
「答えろ」
覆っていた手の隙間からアイザックを見るが、怒っている様子はなかった。
はだけたナイトドレスを着直し、その場で姿勢を正した。
「今でも否定はしませんわ。あの時の言葉は、嘘偽りない私の本心でしたから」
取り繕うことはしたくないし、あの時出た言葉を取り消したくなかった。
「ですので……、忘れてください」
最後にぽつりと呟いたあと、視線を下に落とした。
後ろめたいわけでも、気まずいわけでもなかったが、アイザックを見ていられなかった。
「忘れろと言うのは、今は違うという意味でか?」
「……はい」
結局、何が言いたいのだろう。
ちらりと上目遣いで眺めたアイザックの表情は変わらない。
アイザックの様子から、リアトリスを責めたいわけではなさそうだ。
(相変わらず、何を考えているのかよくわからない男ね)
せっかく高ぶっていた身体の熱が冷めてしまった。
返事だけ聞いたアイザックは、そのまま立ち上がっている。
今日はこのまま部屋に戻ってしまうのだろう、と残念な気持ちが胸を占める。
「え……!?」
急な浮遊感を感じ、整った顔が目の前に近づいて声が出た。
「お前が満足しているのならばいい」
目の前で笑ったアイザックの顔に、心臓がドクンと大きく跳ねた。
「っ……! それに関しては……文句のつけようも、ございませんわ……」
リアトリスを抱き上げたアイザックは、ソファーから離れて移動している。
今ごろだとアイザックはスカーレットに夢中で、リアトリスは二人の仲を妬むように眺めているはずなのだが――
(こんなに、甘い時間を過ごしてしまっていいの? 本当に、調子が狂うわ……)
ベッドに降ろされ、ドキドキしながら自分に乗り上げてくるアイザックを見上げていた。
そして、整った顔がゆっくりと近づき、静かに目を閉じた。
首筋、鎖骨、胸元……と唇を落とし、時折出っ張りを僅かに甘噛される。
「ぁ、ふっ!」
絶妙な力加減で、感じるか感じないかの痛みと快楽の狭間で悶える。
身体が大なり小なりの反応を見せ、アイザックはその反応を窺うように、リアトリスを上目遣いで眺めている。
肩を強めに食まれ、噛んだ箇所を舌で舐め上げられるとゾクゾクと電流が走るように身体が震える。
「ふぁっ……!」
澄花だった頃でも経験はないが、焦れったく思いながら、こんな曖昧な愛撫が情欲を増幅させることを初めて知った。
ただ敏感な上と下の部分を触られ、雄を挿入し、揺さぶられるだけではない。
本当の快楽はもっともっと奥が深い。
いかに自分が情報のみの知識不足で、奥深さを知らない未熟者なのかを思い知らされる。
「ん、もっ、と、触って……」
まだ始まったばかりの前戯で、たまらずねだってしまうほど、身体の熱が燻っている。
「まだ早い」
「あぅ! ひ、ぁッ!」
腕の柔らかな部分や指先にも歯を立てられ、上擦る声を抑えられない。
触っていた乳房の先端から手が外され、直接的な快楽がお預けとなり、身を捩って悶える。
下腹部が、子宮が、熱く疼く。
露出された乳房の先端は赤く色づいて硬く尖り、触れてもらうことを待ち望んでいる。
「陛下っ……」
ねだるように呼ぶと、リアトリスの手を取ったアイザックは指先に唇をつけている。
「汚名は返上できたようだな」
「お、めい?」
指先に触れる唇の感触に心拍数が上がるが、言われた言葉が分からなくて聞き返した。
「俺が下手くそだという汚名だ」
「なっ……!」
言われてカァーッと顔が熱くなる。
すっかり忘れていたが、そういえばそんなことを言っていた。
真っ赤になった顔を隠すように、両手で顔を覆った。
「あの時のことは、お忘れくださいっ! 薬のせいで……正気では、なかったので……」
「だがお前は否定せず、罰しろと言うだけだった」
「っ」
図星を突かれ、言葉に詰まる。
薬のせいで正気ではなかったからこそ出た、紛れもない本音だった。
「答えろ」
覆っていた手の隙間からアイザックを見るが、怒っている様子はなかった。
はだけたナイトドレスを着直し、その場で姿勢を正した。
「今でも否定はしませんわ。あの時の言葉は、嘘偽りない私の本心でしたから」
取り繕うことはしたくないし、あの時出た言葉を取り消したくなかった。
「ですので……、忘れてください」
最後にぽつりと呟いたあと、視線を下に落とした。
後ろめたいわけでも、気まずいわけでもなかったが、アイザックを見ていられなかった。
「忘れろと言うのは、今は違うという意味でか?」
「……はい」
結局、何が言いたいのだろう。
ちらりと上目遣いで眺めたアイザックの表情は変わらない。
アイザックの様子から、リアトリスを責めたいわけではなさそうだ。
(相変わらず、何を考えているのかよくわからない男ね)
せっかく高ぶっていた身体の熱が冷めてしまった。
返事だけ聞いたアイザックは、そのまま立ち上がっている。
今日はこのまま部屋に戻ってしまうのだろう、と残念な気持ちが胸を占める。
「え……!?」
急な浮遊感を感じ、整った顔が目の前に近づいて声が出た。
「お前が満足しているのならばいい」
目の前で笑ったアイザックの顔に、心臓がドクンと大きく跳ねた。
「っ……! それに関しては……文句のつけようも、ございませんわ……」
リアトリスを抱き上げたアイザックは、ソファーから離れて移動している。
今ごろだとアイザックはスカーレットに夢中で、リアトリスは二人の仲を妬むように眺めているはずなのだが――
(こんなに、甘い時間を過ごしてしまっていいの? 本当に、調子が狂うわ……)
ベッドに降ろされ、ドキドキしながら自分に乗り上げてくるアイザックを見上げていた。
そして、整った顔がゆっくりと近づき、静かに目を閉じた。
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