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第3話 妹の命の蠟燭
「なっ…!?」
恐怖と驚きで声も出ない俺の目の前で。毛むくじゃらの生き物の頭部がぱっくりと大きく割れるように開き、そこから牙と舌が覗く。鼻を覆いたくなるような腐敗した血肉の臭いが立ち込め、落ちた俺の血を舐めるぴちゃぴちゃという不快な音が響く。
神というよりも化け物や妖怪にしか見えず、俺は恐怖で思わず後退りした。
「あなたが…百々神鬼様ですか…?」
今すぐにでも逃げ出してしまいたかったが、俺は勇気を振り絞り、伝承の神の名を呟く。
すると、毛むくじゃらの生き物は言葉を発した。
『寿命の譲渡は半分、一生に一度。決して他人の命の蝋燭に触れてはいけない』
毛むくじゃらの頭の部分がばっくりと裂けるように大きく開閉する。頭の部分が口になっているようで、大きく開いた口から血が滴った鋭い歯が見える。声はそこから響いてきた。
注意事項らしきものを、片言で語る化け物。俺はそれを見て、寿命の譲渡の言い伝えがある廃神社の百々神鬼様だと確信した。
「蝋燭…?」
俺は恐る恐る、百々神鬼様に聞き返す。
すると、青と土色の斑の毛の間から複数の目玉がギョロギョロと一斉に俺を見つめ返してきた。大きな舌が牙の間からじゅるりと舌なめずりをし、物欲しそうに俺を見つめる。
恐怖でガクガクと身体が震えたが、俺は両足に力を入れて踏ん張っていた。
『行けばわかる』
百々神鬼様が言葉少なに答えると、突然、激しい突風が吹いた。
目を瞑りもう一度開くと、俺は祠のような建物の中にいた!?。
◇◇◇
そこは不思議な空間だった。建物の中らしいのにドアも窓も一切無い。
ついさっきまで森のように木々が生い茂る祠の前にいたはずなのに…。今はこの祠のような建物の中に、たった一人で俺は立っていた。
暗い祠の中には、燭台の上にズラッと並んだ蝋燭に煌々と炎が灯っている。
蝋燭は短かくて太いもの、細くて長いものと様々だった。だがそのどれもに、蝋燭の前に金色の光の粒子で名前が書かれている。
金色の文字がゆらゆらと空中に浮かんでいる不思議な光景を見て、俺は不意に思ったことを口に出した。
「もしかして、蝋燭の長さや太さが寿命なのかな?」
燭台の上に並んだ蝋燭を見回す俺。その中で、一本の蝋燭が目に留まった。
「まさか、これが真波のなのか…!?」
金色の光の粒子で妹の真波の名前が書かれた蝋燭。それを見て、俺は青ざめて叫んだ。
恐怖と驚きで声も出ない俺の目の前で。毛むくじゃらの生き物の頭部がぱっくりと大きく割れるように開き、そこから牙と舌が覗く。鼻を覆いたくなるような腐敗した血肉の臭いが立ち込め、落ちた俺の血を舐めるぴちゃぴちゃという不快な音が響く。
神というよりも化け物や妖怪にしか見えず、俺は恐怖で思わず後退りした。
「あなたが…百々神鬼様ですか…?」
今すぐにでも逃げ出してしまいたかったが、俺は勇気を振り絞り、伝承の神の名を呟く。
すると、毛むくじゃらの生き物は言葉を発した。
『寿命の譲渡は半分、一生に一度。決して他人の命の蝋燭に触れてはいけない』
毛むくじゃらの頭の部分がばっくりと裂けるように大きく開閉する。頭の部分が口になっているようで、大きく開いた口から血が滴った鋭い歯が見える。声はそこから響いてきた。
注意事項らしきものを、片言で語る化け物。俺はそれを見て、寿命の譲渡の言い伝えがある廃神社の百々神鬼様だと確信した。
「蝋燭…?」
俺は恐る恐る、百々神鬼様に聞き返す。
すると、青と土色の斑の毛の間から複数の目玉がギョロギョロと一斉に俺を見つめ返してきた。大きな舌が牙の間からじゅるりと舌なめずりをし、物欲しそうに俺を見つめる。
恐怖でガクガクと身体が震えたが、俺は両足に力を入れて踏ん張っていた。
『行けばわかる』
百々神鬼様が言葉少なに答えると、突然、激しい突風が吹いた。
目を瞑りもう一度開くと、俺は祠のような建物の中にいた!?。
◇◇◇
そこは不思議な空間だった。建物の中らしいのにドアも窓も一切無い。
ついさっきまで森のように木々が生い茂る祠の前にいたはずなのに…。今はこの祠のような建物の中に、たった一人で俺は立っていた。
暗い祠の中には、燭台の上にズラッと並んだ蝋燭に煌々と炎が灯っている。
蝋燭は短かくて太いもの、細くて長いものと様々だった。だがそのどれもに、蝋燭の前に金色の光の粒子で名前が書かれている。
金色の文字がゆらゆらと空中に浮かんでいる不思議な光景を見て、俺は不意に思ったことを口に出した。
「もしかして、蝋燭の長さや太さが寿命なのかな?」
燭台の上に並んだ蝋燭を見回す俺。その中で、一本の蝋燭が目に留まった。
「まさか、これが真波のなのか…!?」
金色の光の粒子で妹の真波の名前が書かれた蝋燭。それを見て、俺は青ざめて叫んだ。
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