紫陽花高校生徒会!!!!

kaniya1192

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紫陽花高校生徒会

生徒会と生徒会長の告白

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「遂に待望の私の出番ね!」


「常に出てただろ」


「人類を滅亡させた私の過去が明かされる……!!」


「滅亡してたら俺達も存在してないな」


「そして私、河井已香のBWSが明かされる!!」


「なんだ、BWSって」


「バスト、ウエスト、尻」


「ヒップな?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~



放課後の生徒会室。

夕陽で赤く染まったウロコ雲の空から、オレンジ色の光が差し込み、室内を淡く染め上げる。

部活棟の校舎1階からは、吹奏楽部の楽器の音が奏でられ、窓の外からは、運動部の掛け声が小さく鳴り響く。

何処かの誰かが校舎内の何処かで、自分の想いを伝えていてもおかしくはない。

誰もが青春謳歌している校舎内に、たった2人の生徒会役員。

学校の為に、生徒の為に、1人はキャラメルを口に入れ、1人は黙々と作業をしていた。


「ねえ……新田……」


「なんだ?」


今日も今日とて相変わらず、仕事を手伝う素振りも見せない河井。

呼ばれた新田は書類に視線を向けたまま返事をする。

しかし、その後に続く言葉が待てども返って来ない為、何かと思い、一度手を止めて視線を河井へと向ける。


「新田……」


淡い色の外日から照らされた河井は、可愛く、綺麗で、大抵の男なら、誰もが目を奪われ恋に堕ちてしまう程。

それだけでも破壊力があるにも関わらず、更には瞳は涙ぐみ、切なげな表情を浮かべている。

教室一番後ろの窓側の席で、休みの時間は、顔を伏せて寝たフリをしている陰の者であれば、限界値を超えて、思わず顔がひょっとこのようになってしまうだろう。


「……どうした?」


「その……」


河井は言い辛そうに視線を落とす。

しかし、拳を強く握りしめて決心出来たのか、しっかりと新田と目を合わせる。


「…………生徒会長って何やるの?」


「長いわ」


新田は即座に、被せ気味に無感情にツッコミを入れる。


「葛藤が長すぎる。
全然、真面目に聞く必要のない話だったわ」


「そんな事ないわよ!
私にとって至極大切な話よ!
そもそも葛藤なんてしてないし!!」


河井は右手を開き、バチンと机を叩く。

本気だと言うことを行動で表現した。


「そしたら、1度目の名前を呼んだ後に、2度目の間が開いたのは?」


「普通にあくびしちゃっただけ」


「顔を伏せて拳握りしめてたのは?」


「キャラメルのゴミが腿の上に落ちてるのに気付いて、取って小さく握りつぶしたのよ」


涙目はあくびのせいで、表情が切なげに見えたのも、部屋の雰囲気と、眠くて目蓋が重かったからそう見えたのだと、新田理解する。

天然なのか策略なのか分からないが、河井のペースに乗せられてしまった事に新田は失笑し、口を開く。


「オレ、オマエ、キライ」


「ワタシ、ワルイ、シテナイ」


「ツッコミ入れろ」


「私がツッコんだら負けだと思ってる」


「寧ろツッコミ入れられる事が負けだと思ってくれ」


呆れて肩を落とす新田に、何故か得意げな河井。

新田はそのまま書類へと視線を戻すと、本題に戻ると同時に、再び作業を開始した。


「で?生徒会の仕事についてだっけか?
何がそこまで重要なんだ?」


「友達や知り合いに、生徒会って何やってるのとか、何やるのって聞かれた時に、受け答えが困る」


「困ってしまえ」


「書類手伝いましょうか?」


「よし、メモの準備をしろ」


河井の甘い言葉に考えるよりも先に口が動き、即座に手のひらを返す新田。

河井がメモ帳を取り出し、ペンを持ったのを確認すると、新田は、過去の資料を見て調べた内容を述べ始める。


「地域のボランティア活動の参加、学校行事の運営、生徒会費の予算編成・決算書作成・出金管理、生徒の要望箱の確認・まとめ、備品管理……」


「長い、10文字以内で」


「いっぱいがんばる」


「オッケー」


「何一つオッケーじゃないが?」


河井はメモ帳に本当に“いっぱいがんばる”とだけ記し、メモ帳を閉じた。


「まあ、なんとかなるでしょ!」


「聞いた意味は?」


「ないんじゃない?」


「俺が神ならお前を裁いてる」


「髪では何も捌けないと思うわよ?」


「お前は煽りの天才か」


そんな意味のない掛け合いを何度か繰り返し、新田はこれ以上は不毛だと判断すると、脳のリソースを書類へと割り振る。

河井は会話が止まると立ち上がり、新田に歩み寄ると、重なった書類に手を掛けた。


「じゃあ、私はこれ貰うわね」


「本当か?」


絶対に仕事を手伝うつもりは無いだろうと、たかを括っていた為に、衝撃のあまり目を見開く新田。


「言った事は守るのは当たり前よ」


「今日絶対雪降る」


「じゃあ、雪合戦しないとね」


「鵜呑みか」


その後、2人は生徒会の仕事を終わらせるとすぐに帰路につき、それぞれの自宅へと帰宅した。

その日は雪は降らなかったものの、家に着いて直ぐに雨が降り注いだのだった。
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