2 / 3
02
しおりを挟む
私は子供を授かり、出産休暇と育児休暇を取った。
私たちの赤ちゃんが誕生した。
駿佑クンは父になり、私は母になった。
* * * * *
「駿佑クン! 指示待ちじゃダメでしょ。やることを見つけてさっさと動いて!」
私の怒号が飛ぶ。
「やったことないから分からない? 駿佑クン、私が赤ちゃんのお世話しているところ、何回も見てきたでしょ! 見て覚えようという気はなかったの?」
「え……いや……その……」
「私だって初めての子育てなんだからね! 駿佑クンも育児、分からなくても、まずはやってみて! やってみて、失敗して、それでだんだんできるようになっていくから!」
私たちにとって、初めての育児。
転勤族の私たちは、お互いに親元から離れて生活しているので、手伝ってもらえるわけではない。
全部、自分たちでやらないといけない。
私は母親として初心者。
駿佑クンは父親として初心者。
どちらかがベテランというわけではなかった。
私の機嫌が悪くなったことを察した駿佑クンが、こう言った。
「奈々未、何か手伝う?」
「手伝うって何? 駿佑クンはパパでしょ! 親でしょ! まるで、育児は自分の仕事じゃないみたいな言い方ね。手伝うじゃなくて、駿佑クンも中心となって育児をしてよ!」
「奈々未みたいにはできないよ。俺はまだ、父親の卵なんだから……」
「いつまで甘えたことを言ってるの! 私と駿佑クンは、親になった時期は同じ。つまり、同期なのよ! 赤ちゃんは生まれたの。あなたはもう、卵じゃないの! 確かに、私たちに育児経験はないけど、だからこそ、分からないことは調べて、まずはやってみなくちゃ!」
「いきなり父親にはなれないよ……」
「私だって同じよ! 手探りで勉強しているのよ! 私は、この子を育てつつ、かつ、駿佑クンが父親らしくなるように、そっちも育てないといけないわけ?」
結婚する前、駿佑クンはモラハラするようになるから気をつけろ、なんて同僚からは言われていたけど、これって、逆に私がモラハラしていることになるのかな?
私も駿佑クンも、初めての育児でうまくいかないことも多かったけど、手探りでなんとか頑張っていた。
駿佑クンも、少しは自信がついてきたみたい。
こんなことを言ってきた。
「俺って育児を頑張っているから、イクメンだよな」
「はぁ? 何言ってるの? 育児を頑張る男性のことを何ていうか、知ってる?」
「イクメン……じゃないのか?」
「育児を頑張る男性のことをね、父親って言うのよ!!」
私たちの赤ちゃんが誕生した。
駿佑クンは父になり、私は母になった。
* * * * *
「駿佑クン! 指示待ちじゃダメでしょ。やることを見つけてさっさと動いて!」
私の怒号が飛ぶ。
「やったことないから分からない? 駿佑クン、私が赤ちゃんのお世話しているところ、何回も見てきたでしょ! 見て覚えようという気はなかったの?」
「え……いや……その……」
「私だって初めての子育てなんだからね! 駿佑クンも育児、分からなくても、まずはやってみて! やってみて、失敗して、それでだんだんできるようになっていくから!」
私たちにとって、初めての育児。
転勤族の私たちは、お互いに親元から離れて生活しているので、手伝ってもらえるわけではない。
全部、自分たちでやらないといけない。
私は母親として初心者。
駿佑クンは父親として初心者。
どちらかがベテランというわけではなかった。
私の機嫌が悪くなったことを察した駿佑クンが、こう言った。
「奈々未、何か手伝う?」
「手伝うって何? 駿佑クンはパパでしょ! 親でしょ! まるで、育児は自分の仕事じゃないみたいな言い方ね。手伝うじゃなくて、駿佑クンも中心となって育児をしてよ!」
「奈々未みたいにはできないよ。俺はまだ、父親の卵なんだから……」
「いつまで甘えたことを言ってるの! 私と駿佑クンは、親になった時期は同じ。つまり、同期なのよ! 赤ちゃんは生まれたの。あなたはもう、卵じゃないの! 確かに、私たちに育児経験はないけど、だからこそ、分からないことは調べて、まずはやってみなくちゃ!」
「いきなり父親にはなれないよ……」
「私だって同じよ! 手探りで勉強しているのよ! 私は、この子を育てつつ、かつ、駿佑クンが父親らしくなるように、そっちも育てないといけないわけ?」
結婚する前、駿佑クンはモラハラするようになるから気をつけろ、なんて同僚からは言われていたけど、これって、逆に私がモラハラしていることになるのかな?
私も駿佑クンも、初めての育児でうまくいかないことも多かったけど、手探りでなんとか頑張っていた。
駿佑クンも、少しは自信がついてきたみたい。
こんなことを言ってきた。
「俺って育児を頑張っているから、イクメンだよな」
「はぁ? 何言ってるの? 育児を頑張る男性のことを何ていうか、知ってる?」
「イクメン……じゃないのか?」
「育児を頑張る男性のことをね、父親って言うのよ!!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる