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もしかしたら……
そう思って俺は日付を確認する。
やはり、そうだ。
時が2週間前に戻っている!
運命は再び、俺にチャンスをくれたのだ。
次こそは絶対に失敗してはいけない。


3度目の7月7日がやってきた。
帰ろうとする凜香さんを呼び止めた。
教室には誰もいない。
今がチャンス!

俺の心臓が高鳴る。ちゃんと言わないと……

「隼人くん、どうしたの?」

「……凜香さん、あの……」

凜香さんは何のことだかさっぱり分からない、そんな顔をしていた。
俺は震えながらも、何とか声を出すことができた。

「凜香さんのことが好きです。俺と付き合ってください」

言えた! ついに言えたぞ!
凜香さんは目をぱちぱちさせ、かなりの動揺を見せていた。

しかし、運命は非情であった。

「ごめんなさい。今、そういうこと考えられないんだ。ごめんね……」

そう言って、凜香さんは走って帰ってしまった。


俺はフラれた。
世界が真っ暗になり、ぐるぐると回り始める。

運命は俺を弄んでいるのだろうか。
またしても、俺は2週間前に戻された。
さすがに、もう告白はできない。
そう思っていた。


だが、凜香さんを見るたびに、俺の思いはますます強くなってしまう。

いきなり告白したのがまずかったのかも知れない。
日頃からいろいろ話しかけて凜香さんと仲良くなって、それから告白してみよう。
ゲームだって、たくさん話しかけて好感度を上げていくではないか。
面識がない人からいきなり告白されたら、誰だってびっくりするよな。
そう考えた俺は、学校生活の中でなるべく凜香さんに話しかけるようにした。

「次の時間、美術だよね?」
「今日提出する課題って、何だったっけ?」

こんな感じで俺は勇気を出して、
何かしらの言葉を凜香さんにかけるようにした。
凜香さんはそのたびに、少し驚いたような顔を見せる。


そんなこんなで、何度目かの7月7日を迎えた。

前よりは凜香さんと仲良くなれたはず。
少しは自信があった。
しかし、緊張していないといえば嘘になる。
ドキドキしながら、運命の放課後を迎えた。


帰りのホームルームが終わった。
いよいよ告白だ。しかし……
彼女はホームルームが終わった途端、
ものすごい勢いで教室から走って出て、帰ってしまった……

俺は唖然とした。
告白すら、させてもらえない……

いったい、何のために時を戻されたんだ……
運命に弄ばれるとは、まさにこのことか。
フラれるのも辛いが、この仕打ちはもっと辛かった。
いったい、何のための2週間だったのだろう……

俺は生きる気力をなくしそうだった。
しかし、運命は待ってくれなかった。
辺りの景色が、またもや、ぐるぐると回り始める……

やめろ!
こんなループは地獄だ!
やめてくれ!
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