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第43話 再開2
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ーーー???ーーー
ここはイリーナが封印されていた洞窟………そこに1人の男が現れた。
「やっと…やっとだ…なんとか間に合った………待っててくれ、イリーナ…」
そう男は呟くと洞窟の中へと進んでいく━━━そして、隠し部屋へのスイッチを押し中へ入り………狂乱した。
「何故だ!何故だ!何故だ!なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜッ!!!彼女がいないッ!?まだタイムリミットはあったはずだ!なのに…なのに、なぜ彼女がいないッ!!!」
その様子は…待ち焦がれた相手が消えてしまい、狂ったように暴れ、頭をかきむしり、絶叫をあげる狂人そのものだった………しかし、しばらくすると急に落ち着いたかと思うと、辺りを確認しだした。
「はぁ、はぁ、はぁ………ふぅ…何か手がかりは………ん?これは━━━クリスタルの欠片か?」
男が地面で見つけたのは、まさに粉々に砕けた━━イリーナを封印していたクリスタルであった。
「…砕けてるということは…封印が解けたのか…まさかあの男が…?いや、アイツはイリーナが死に、クリスタルと化した物を欲してたはず……解除するはずがない…だとすると、誰が…?━━━いや、そこはどうでもいい…イリーナを…探さないと………」
男はブツブツ呟くと…結論が出たのか、おもむろに立ち上がると━━クリスタルの欠片を踏み砕いた。
「待っててね…僕のイリーナ…今迎えに行くから…」
狂気を孕んだ瞳で、イリーナを自分のものだと語る男は手がかりを求め━━━産まれ故郷であるユーカリアの町へと向かった…
*****
「━━━お待たせしました。合計で61,300クルドになります。素晴らしいですね、こんなに早く”暗き森”を攻略された方は初めてですよ」
俺たちはダンジョンから帰り、俺の腕のケガを治してもらいに行き…治療してもらうと、その日の内にギルドへと足を運び、ダンジョンの攻略の報告と素材の買い取りをお願いしたところ━━ヘレナさんから嬉しい言葉を貰えたという訳だ。
「い、いや~、それほどでも~………イッ!?」
「……?」
「あ、あはは、何でもないです…(ちょ、ユリアさん!?痛いんですけど!?)」
「(調子に乗りすぎです。1人だけケガした残念勇者が)」
「(うぐっ…!)」
うぅ…良いじゃないか…テンプレはいつでも男のロマンなんだ…嬉しいんだから…
とりあえず換金も終わり、ダンジョンの攻略も達成した中、数日休養を取ろうという話を皆としていた。
「……じゃあ休むのは2日として、今からちょっと買い物に行きたいんだけど…一緒に来ない?」
「あ、わたし行きたいです」
「…はぁ…マスターが行くならワタシもですね…チッ」
「舌打ちした!?……えっとイリーナは…?」
「…え?あ、ごめんなさい…私は…ちょっと行きたいところがあるから…」
「そ、そっか…わかったよ」
…本当はイリーナに付いてきて欲しかったんだけど…仕方がないんで…どこかへ向かうその後ろ姿を見送った。
「…やっぱりイリーナの様子がおかしいよね…アリアは原因わかる?」
「えぇっと…その…」
「愚鈍勇者…気になるなら直接聞けば良いでしょ」
「うっ…でも、何か考え事してるようだし…あまり話しかけるのは…」
「…康介様…それはちょっと…」
「………ヘタレ」
「勇者ですら無くなったッ!?それにアリアまで…」
うぅぅ…やっぱり聞くべき…なんだろうな…後でちゃんと話さなきゃ…!
「……それで?ヘタレは何処に行くつもり?」
「そ、それなんだけど……イリーナの様子がおかしかったから、その…何かプレゼントでもと思って……」
「わぁ!それは良いですね!」
「…まぁ、ヘタレ勇者にしてはなかなか良いんじゃないですか?」
あ、勇者呼びが復活した…
「そうだ、康介様!いっそのことサプライズにしたらどうですか?」
「そうですね…下がりきった好感度を上げるにはちょうど良いでしょう」
「さ、下がりきった………」
どうしよう…イリーナに嫌われてしまったんだろうか…?俺はどうしたら………
「も、もう!ユリアったら!━━大丈夫ですよ康介様。イリーナはまだ嫌いになったんじゃ無いですから」
「ま、まだ……」
アリアの何気ない一言に打ちのめされ、落ち込みつつ………これ以上嫌われないため、イリーナに送るプレゼントを選びに向かうのだった…
*****
「はぁ~………ダメだな…私………」
どうしてかな…康介に私も認めてもらいたくて頑張ったのに…康介にケガさせちゃった………二人だった時は互いに支え合えてたのに…
ユリアさんとアリアが増えてから…守られる様になっちゃった………始めは大事にされて嬉しかった、けど………それじゃダメだと気付いた。封印されてた私を助けてくれた康介を…今度は私が助けてあげたいのに、助けられてばかりか、守られるなんて………
ううん、それだけじゃない…ユリアさんやアリアみたいに頼って欲しい…康介のパートナーになりたい…守られる存在じゃなく支え合えるパートナーが………
そんな事をずっと考えてる内に…気がつくと、私は孤児院の跡地に来ていた…
建物も…シスターも…トトお婆ちゃんも…誰もいなくなったけど………ここはやっぱり私の家で、落ち込んだ時に帰りたくなる場所なんだな…
落ち込んだところに、帰る場所が無くなった事実が重なり…自然と涙が溢れてきた………私はとっさに手で顔を覆い、俯いて…静かに涙を流した━━━
「━━━イリーナ…?イリーナ!」
「…えっ?」
不意に名前を呼ばれ…振り向くと━━━私と同じ、魔族の男の人が息を切らしてそこに立っていた。
「えっ…と………どちら様で━━」
「イリーナッ!!!」
彼が誰かわからず…尋ねようとした私を遮り━━私を抱きしめてきた。
「━━ッ!イヤッ!!!」
「なっ!?」
私はいきなりの事でビックリして━━康介以外に抱きしめられてる事に気付き、嫌悪感から彼を突き飛ばした!
彼は彼で拒否されるとは思わなかったのか、突き飛ばされた先で愕然としていた。しかし、私の怯えた様子から自分が誰かわからなかったと思ったのか、自分の名前を伝えた。
「イリーナ、僕だよ…!サライカだ」
「サライカ……?サライカって…私の後ろにいつも隠れてた、あのサライカ!?」
「うっ…それは思い出して欲しくなかった…」
「あ、ゴメン………でもさっきは本当にビックリしたんだよ?」
「あぁ…悪かった。でも無事で本当に良かった…本当に無事で…」
「サライカ………」
感極まったような表情のサライカに、先ほど感じた嫌悪感も無くなり、また会えた喜びがじわじわと浮かんできた。
「心配してくれてありがとう。私はこの通り元気だよ。康介に助けてもらったから」
「コウスケ………そう…そいつが………」
あれ…?今一瞬雰囲気が変わったような…?なんだろ…スゴい怖い感じがしたんだけど…気のせいかな…?
「━━ここ、孤児院があったとこだよね…」
「うん…サライカも知らなかったんだ…?」
「あぁ、イリーナが封印された後すぐに町を出たからね…さっき薬屋のコットンおばさんから聞いて知ったんだ」
「コットンさんにも会ったんだ。じゃあユリちゃんも?」
「いや、出掛けてて会えなかったから、また後で行こうと思てる。━━━そうだ、待ってる間どこかご飯でも食べに行かないか?」
「え…?」
「さっきも何か泣いてるようだったし━━━僕でよければ話を聞くよ?」
「み、見ちゃったんだ…」
うぅぅ…恥ずかしい…でも、せっかく会えたんだし…私もいろいろ話したいし…ちょうど良いかな…?
「わかったよ。何食べに行こうか?」
「本当!?じゃあ是非行きたい店があったんだよね━━━」
久しぶりに会ったサライカに、昔とは違い大人の男性を感じ………康介に申し訳ない気持ちを持ちつつも、サライカと二人でその店に向うのだった。
ここはイリーナが封印されていた洞窟………そこに1人の男が現れた。
「やっと…やっとだ…なんとか間に合った………待っててくれ、イリーナ…」
そう男は呟くと洞窟の中へと進んでいく━━━そして、隠し部屋へのスイッチを押し中へ入り………狂乱した。
「何故だ!何故だ!何故だ!なぜ、なぜ、なぜ、なぜ、なぜッ!!!彼女がいないッ!?まだタイムリミットはあったはずだ!なのに…なのに、なぜ彼女がいないッ!!!」
その様子は…待ち焦がれた相手が消えてしまい、狂ったように暴れ、頭をかきむしり、絶叫をあげる狂人そのものだった………しかし、しばらくすると急に落ち着いたかと思うと、辺りを確認しだした。
「はぁ、はぁ、はぁ………ふぅ…何か手がかりは………ん?これは━━━クリスタルの欠片か?」
男が地面で見つけたのは、まさに粉々に砕けた━━イリーナを封印していたクリスタルであった。
「…砕けてるということは…封印が解けたのか…まさかあの男が…?いや、アイツはイリーナが死に、クリスタルと化した物を欲してたはず……解除するはずがない…だとすると、誰が…?━━━いや、そこはどうでもいい…イリーナを…探さないと………」
男はブツブツ呟くと…結論が出たのか、おもむろに立ち上がると━━クリスタルの欠片を踏み砕いた。
「待っててね…僕のイリーナ…今迎えに行くから…」
狂気を孕んだ瞳で、イリーナを自分のものだと語る男は手がかりを求め━━━産まれ故郷であるユーカリアの町へと向かった…
*****
「━━━お待たせしました。合計で61,300クルドになります。素晴らしいですね、こんなに早く”暗き森”を攻略された方は初めてですよ」
俺たちはダンジョンから帰り、俺の腕のケガを治してもらいに行き…治療してもらうと、その日の内にギルドへと足を運び、ダンジョンの攻略の報告と素材の買い取りをお願いしたところ━━ヘレナさんから嬉しい言葉を貰えたという訳だ。
「い、いや~、それほどでも~………イッ!?」
「……?」
「あ、あはは、何でもないです…(ちょ、ユリアさん!?痛いんですけど!?)」
「(調子に乗りすぎです。1人だけケガした残念勇者が)」
「(うぐっ…!)」
うぅ…良いじゃないか…テンプレはいつでも男のロマンなんだ…嬉しいんだから…
とりあえず換金も終わり、ダンジョンの攻略も達成した中、数日休養を取ろうという話を皆としていた。
「……じゃあ休むのは2日として、今からちょっと買い物に行きたいんだけど…一緒に来ない?」
「あ、わたし行きたいです」
「…はぁ…マスターが行くならワタシもですね…チッ」
「舌打ちした!?……えっとイリーナは…?」
「…え?あ、ごめんなさい…私は…ちょっと行きたいところがあるから…」
「そ、そっか…わかったよ」
…本当はイリーナに付いてきて欲しかったんだけど…仕方がないんで…どこかへ向かうその後ろ姿を見送った。
「…やっぱりイリーナの様子がおかしいよね…アリアは原因わかる?」
「えぇっと…その…」
「愚鈍勇者…気になるなら直接聞けば良いでしょ」
「うっ…でも、何か考え事してるようだし…あまり話しかけるのは…」
「…康介様…それはちょっと…」
「………ヘタレ」
「勇者ですら無くなったッ!?それにアリアまで…」
うぅぅ…やっぱり聞くべき…なんだろうな…後でちゃんと話さなきゃ…!
「……それで?ヘタレは何処に行くつもり?」
「そ、それなんだけど……イリーナの様子がおかしかったから、その…何かプレゼントでもと思って……」
「わぁ!それは良いですね!」
「…まぁ、ヘタレ勇者にしてはなかなか良いんじゃないですか?」
あ、勇者呼びが復活した…
「そうだ、康介様!いっそのことサプライズにしたらどうですか?」
「そうですね…下がりきった好感度を上げるにはちょうど良いでしょう」
「さ、下がりきった………」
どうしよう…イリーナに嫌われてしまったんだろうか…?俺はどうしたら………
「も、もう!ユリアったら!━━大丈夫ですよ康介様。イリーナはまだ嫌いになったんじゃ無いですから」
「ま、まだ……」
アリアの何気ない一言に打ちのめされ、落ち込みつつ………これ以上嫌われないため、イリーナに送るプレゼントを選びに向かうのだった…
*****
「はぁ~………ダメだな…私………」
どうしてかな…康介に私も認めてもらいたくて頑張ったのに…康介にケガさせちゃった………二人だった時は互いに支え合えてたのに…
ユリアさんとアリアが増えてから…守られる様になっちゃった………始めは大事にされて嬉しかった、けど………それじゃダメだと気付いた。封印されてた私を助けてくれた康介を…今度は私が助けてあげたいのに、助けられてばかりか、守られるなんて………
ううん、それだけじゃない…ユリアさんやアリアみたいに頼って欲しい…康介のパートナーになりたい…守られる存在じゃなく支え合えるパートナーが………
そんな事をずっと考えてる内に…気がつくと、私は孤児院の跡地に来ていた…
建物も…シスターも…トトお婆ちゃんも…誰もいなくなったけど………ここはやっぱり私の家で、落ち込んだ時に帰りたくなる場所なんだな…
落ち込んだところに、帰る場所が無くなった事実が重なり…自然と涙が溢れてきた………私はとっさに手で顔を覆い、俯いて…静かに涙を流した━━━
「━━━イリーナ…?イリーナ!」
「…えっ?」
不意に名前を呼ばれ…振り向くと━━━私と同じ、魔族の男の人が息を切らしてそこに立っていた。
「えっ…と………どちら様で━━」
「イリーナッ!!!」
彼が誰かわからず…尋ねようとした私を遮り━━私を抱きしめてきた。
「━━ッ!イヤッ!!!」
「なっ!?」
私はいきなりの事でビックリして━━康介以外に抱きしめられてる事に気付き、嫌悪感から彼を突き飛ばした!
彼は彼で拒否されるとは思わなかったのか、突き飛ばされた先で愕然としていた。しかし、私の怯えた様子から自分が誰かわからなかったと思ったのか、自分の名前を伝えた。
「イリーナ、僕だよ…!サライカだ」
「サライカ……?サライカって…私の後ろにいつも隠れてた、あのサライカ!?」
「うっ…それは思い出して欲しくなかった…」
「あ、ゴメン………でもさっきは本当にビックリしたんだよ?」
「あぁ…悪かった。でも無事で本当に良かった…本当に無事で…」
「サライカ………」
感極まったような表情のサライカに、先ほど感じた嫌悪感も無くなり、また会えた喜びがじわじわと浮かんできた。
「心配してくれてありがとう。私はこの通り元気だよ。康介に助けてもらったから」
「コウスケ………そう…そいつが………」
あれ…?今一瞬雰囲気が変わったような…?なんだろ…スゴい怖い感じがしたんだけど…気のせいかな…?
「━━ここ、孤児院があったとこだよね…」
「うん…サライカも知らなかったんだ…?」
「あぁ、イリーナが封印された後すぐに町を出たからね…さっき薬屋のコットンおばさんから聞いて知ったんだ」
「コットンさんにも会ったんだ。じゃあユリちゃんも?」
「いや、出掛けてて会えなかったから、また後で行こうと思てる。━━━そうだ、待ってる間どこかご飯でも食べに行かないか?」
「え…?」
「さっきも何か泣いてるようだったし━━━僕でよければ話を聞くよ?」
「み、見ちゃったんだ…」
うぅぅ…恥ずかしい…でも、せっかく会えたんだし…私もいろいろ話したいし…ちょうど良いかな…?
「わかったよ。何食べに行こうか?」
「本当!?じゃあ是非行きたい店があったんだよね━━━」
久しぶりに会ったサライカに、昔とは違い大人の男性を感じ………康介に申し訳ない気持ちを持ちつつも、サライカと二人でその店に向うのだった。
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