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聖女アエリアーナ
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俺の名前は松田公一郎。
前世はオタク大学生、今は、陵辱系エロゲのヒロインやってる。
数ヶ月前に転生トラックで死んで、流行りすぎて目新しくもなくなった(あくまで二次元での話だが)異世界転生とやらをやったら、少し前に人気が出たエロゲの、陵辱されまくるヒロインになっていた。
……拒否できたか分からねえが、作品タイトルを神様に聞かなかったのは俺のミスだな……
ともかく、この数ヶ月、生きた心地がしなかった。
脳裏に駆けめぐるエロスチルの数々ぅ……見るのはいいが、え、俺が……?無理、吐きそう。
本当に、そんなのいくらも見て、なんなら抜いてた前世の俺が、今となっては犯罪者に見える。
……恩情なのか、執行猶予なのか。せめてゲーム開始まで数ヶ月時間があることだけは気に入った。
運命を変えろ。俺は、陵辱されとうない。
けど、何をやってもうまく行かない……そう、俺は、陰キャオタク!人に話しかけるだけで1日分の気力を使う!
それでもジタバタやれることやったんだ――余計にこじれた気がする。
なにも有効な手立てがないまま――とうとう、そのエロスチル1枚目の時がやってきた。
第一の災禍っつー、まあ雑魚なボスだ。
髪の長い人間のようなかたちをしたモンスター型。そいつの髪が自在に伸びて、俺ともうひとりのヒロインを触手プレイする……
…………嫌だ!全力で!逃げ切ってやる!
すでに緊張で吐きそうになりながら、その第一の災禍の封印が解ける、あのシーンを……
………………え?土下座?
めっちゃ、綺麗な土下座。
そいつは触手プレイなんか知らんと、必死になって命乞いした。
見逃して。戦う気はない。敵対する気はない。なんなら隠れて出てこない。
聖女の、邪魔をしない――と。
(お前が、なんで聖女を知っている?)
お前は、なんなんだ。
まさか……俺と一緒なのか。
そして、奇跡が起きて、しまった。
理性を飛ばして暴れまくり、ヒロインを犯しまくる暴君騎士が、聖女(おれ)を狙わず、なぜか――雑魚ボスに目をつけた。
な。
……なんで、BL展開。
なんで、雑魚ボス犯されて喜んでんの。
理解不能。ゲームにないシーンの連続に、驚きすぎて見守ってしまった。
……だめだ。
このまま、そいつを暴君騎士の犠牲にできない。
そいつは、転生者に間違いない、気がする。
一番冷静らしい聖騎士が、こいつも予想外の展開にげんなりとしているっぽいな。
「今なら、聖女の浄化のお力で災禍を消せますが」
うるせえ聖騎士。そしたらあいつ(第一)死ぬだろ。
「はわ……はわ」
クリスティナ……分かるぜ、その体に悪そうな青くなったり赤くなったりするかわいい顔。
うわ、僧侶、てめえガン見してんじゃねえよ、ムッツリが。
と、ともかく、暴君騎士を止めて……なに?近づけない!?
身体が前に進まないし、足が……すくむ。
「……『覇気』です。魔力ではない、肉体に備わった『氣』というものを増幅し、周囲を圧倒するのだとか。これは、魔力と相性が悪く、効果が激減します」
聖騎士、そこだけはナイス。
ゲームに欠片も出てきてねえよその設定。
前から思ってたが、どうもこの世界後付けっぽいのがいっぱい出てくる。まあ、いいかげんなシナリオだったんだ、辻褄合わせようとどっかで力が働いてんのかもな。……俺がそこまでこのエロゲを好きになれなかった理由だな。手抜きに見えたんだ。
……って、助けないと!
じりじりとこっちが手を出せずに、時間だけが過ぎていく。
様子が変わって、第一だか転生者だかも、哀れっぽく悲痛な声を上げ始めた……抜かずに何発よ、あれ。
……俺のせいじゃない。
でも、俺の身代わりになってしまう。
……ほっとしたんだ、俺じゃなかったって。
最低だ。
だが、何も出来なかった。
満足したのか、暴君騎士が覇気を収めた。
……ゲーム通りってか。
俺は、何も考えられずに走っていって、暴君騎士からそいつを引き剥がした。
……軽い、ほそい。
こんな聖女(おれ)より小さい体で……ひどい。
涙と怒りが湧いてくる。
女になったせいか、それとも俺がそういう対象になっているのを嫌ほど思い知ったからか、敏感になっているらしい。
――俺は、暴君騎士ダインを敵と見なした。
だが、この春崎龍兎とかいう転生者。
呑気すぎねえか!?
なにがごはんだよ!?
お前犯されまくって泣いてただろ!?
こっちが余計な気を回しすぎているのか、やはり災禍のひとつだったそいつは、暴君騎士にやたら甘い。
俺は、お前を身代わりに……してはいけない。
のうのうと、ああ良かったって、喜んではいけない。
……前世はこんなじゃなかった。
俺はもっと自分本位で、俺に何もなければそれで良かった。
けど、ひどい目にあうって分かっていてその時間が迫ってくる、あの恐怖が俺を変えた。
そんで、棚ぼた的に救われてしまって……俺は、ずっと、龍兎に言っていない。
俺も転生者ってことも、ありがとうも、ごめんも。
気がかりだった第四の災禍の討伐後。
またしてもダインにあんまりにもひどい目に遭う龍兎に、俺はもう黙っていられなかった。
だいたい最初からこの暴君騎士を野放しにするようなシナリオが気に食わない。なにか理由があるのは予想できるが、今は俺が、聖女がそれを納得できないんだ、討伐隊から外すことも考えた。
だが、また龍兎は何でもないと言って……隠し玉を投げてきやがった。
……龍兎、お前、何を言ってるのか分かってんのか?
あれだけの目に遭って、ダインを許すって。
俺は、許せない。ずっと怖い思いをしていたんだ、俺も。
……話そう、何もかも。
勇気振り絞って、全部ゲロった。
さすがの龍兎も驚いて、今まで言わなかった俺にちょっとだけ怒ったようだった。
そこじゃない。身代わりにされたことはどうなんだ。
……助けてくれたからって。
違う、気づけよ、俺は俺が助かるためにお前を利用しようとしたんだぞ。
「うん、アエリアーナが無事でよかったよ」
実は、お前が聖女なんだろ。
前世はオタク大学生、今は、陵辱系エロゲのヒロインやってる。
数ヶ月前に転生トラックで死んで、流行りすぎて目新しくもなくなった(あくまで二次元での話だが)異世界転生とやらをやったら、少し前に人気が出たエロゲの、陵辱されまくるヒロインになっていた。
……拒否できたか分からねえが、作品タイトルを神様に聞かなかったのは俺のミスだな……
ともかく、この数ヶ月、生きた心地がしなかった。
脳裏に駆けめぐるエロスチルの数々ぅ……見るのはいいが、え、俺が……?無理、吐きそう。
本当に、そんなのいくらも見て、なんなら抜いてた前世の俺が、今となっては犯罪者に見える。
……恩情なのか、執行猶予なのか。せめてゲーム開始まで数ヶ月時間があることだけは気に入った。
運命を変えろ。俺は、陵辱されとうない。
けど、何をやってもうまく行かない……そう、俺は、陰キャオタク!人に話しかけるだけで1日分の気力を使う!
それでもジタバタやれることやったんだ――余計にこじれた気がする。
なにも有効な手立てがないまま――とうとう、そのエロスチル1枚目の時がやってきた。
第一の災禍っつー、まあ雑魚なボスだ。
髪の長い人間のようなかたちをしたモンスター型。そいつの髪が自在に伸びて、俺ともうひとりのヒロインを触手プレイする……
…………嫌だ!全力で!逃げ切ってやる!
すでに緊張で吐きそうになりながら、その第一の災禍の封印が解ける、あのシーンを……
………………え?土下座?
めっちゃ、綺麗な土下座。
そいつは触手プレイなんか知らんと、必死になって命乞いした。
見逃して。戦う気はない。敵対する気はない。なんなら隠れて出てこない。
聖女の、邪魔をしない――と。
(お前が、なんで聖女を知っている?)
お前は、なんなんだ。
まさか……俺と一緒なのか。
そして、奇跡が起きて、しまった。
理性を飛ばして暴れまくり、ヒロインを犯しまくる暴君騎士が、聖女(おれ)を狙わず、なぜか――雑魚ボスに目をつけた。
な。
……なんで、BL展開。
なんで、雑魚ボス犯されて喜んでんの。
理解不能。ゲームにないシーンの連続に、驚きすぎて見守ってしまった。
……だめだ。
このまま、そいつを暴君騎士の犠牲にできない。
そいつは、転生者に間違いない、気がする。
一番冷静らしい聖騎士が、こいつも予想外の展開にげんなりとしているっぽいな。
「今なら、聖女の浄化のお力で災禍を消せますが」
うるせえ聖騎士。そしたらあいつ(第一)死ぬだろ。
「はわ……はわ」
クリスティナ……分かるぜ、その体に悪そうな青くなったり赤くなったりするかわいい顔。
うわ、僧侶、てめえガン見してんじゃねえよ、ムッツリが。
と、ともかく、暴君騎士を止めて……なに?近づけない!?
身体が前に進まないし、足が……すくむ。
「……『覇気』です。魔力ではない、肉体に備わった『氣』というものを増幅し、周囲を圧倒するのだとか。これは、魔力と相性が悪く、効果が激減します」
聖騎士、そこだけはナイス。
ゲームに欠片も出てきてねえよその設定。
前から思ってたが、どうもこの世界後付けっぽいのがいっぱい出てくる。まあ、いいかげんなシナリオだったんだ、辻褄合わせようとどっかで力が働いてんのかもな。……俺がそこまでこのエロゲを好きになれなかった理由だな。手抜きに見えたんだ。
……って、助けないと!
じりじりとこっちが手を出せずに、時間だけが過ぎていく。
様子が変わって、第一だか転生者だかも、哀れっぽく悲痛な声を上げ始めた……抜かずに何発よ、あれ。
……俺のせいじゃない。
でも、俺の身代わりになってしまう。
……ほっとしたんだ、俺じゃなかったって。
最低だ。
だが、何も出来なかった。
満足したのか、暴君騎士が覇気を収めた。
……ゲーム通りってか。
俺は、何も考えられずに走っていって、暴君騎士からそいつを引き剥がした。
……軽い、ほそい。
こんな聖女(おれ)より小さい体で……ひどい。
涙と怒りが湧いてくる。
女になったせいか、それとも俺がそういう対象になっているのを嫌ほど思い知ったからか、敏感になっているらしい。
――俺は、暴君騎士ダインを敵と見なした。
だが、この春崎龍兎とかいう転生者。
呑気すぎねえか!?
なにがごはんだよ!?
お前犯されまくって泣いてただろ!?
こっちが余計な気を回しすぎているのか、やはり災禍のひとつだったそいつは、暴君騎士にやたら甘い。
俺は、お前を身代わりに……してはいけない。
のうのうと、ああ良かったって、喜んではいけない。
……前世はこんなじゃなかった。
俺はもっと自分本位で、俺に何もなければそれで良かった。
けど、ひどい目にあうって分かっていてその時間が迫ってくる、あの恐怖が俺を変えた。
そんで、棚ぼた的に救われてしまって……俺は、ずっと、龍兎に言っていない。
俺も転生者ってことも、ありがとうも、ごめんも。
気がかりだった第四の災禍の討伐後。
またしてもダインにあんまりにもひどい目に遭う龍兎に、俺はもう黙っていられなかった。
だいたい最初からこの暴君騎士を野放しにするようなシナリオが気に食わない。なにか理由があるのは予想できるが、今は俺が、聖女がそれを納得できないんだ、討伐隊から外すことも考えた。
だが、また龍兎は何でもないと言って……隠し玉を投げてきやがった。
……龍兎、お前、何を言ってるのか分かってんのか?
あれだけの目に遭って、ダインを許すって。
俺は、許せない。ずっと怖い思いをしていたんだ、俺も。
……話そう、何もかも。
勇気振り絞って、全部ゲロった。
さすがの龍兎も驚いて、今まで言わなかった俺にちょっとだけ怒ったようだった。
そこじゃない。身代わりにされたことはどうなんだ。
……助けてくれたからって。
違う、気づけよ、俺は俺が助かるためにお前を利用しようとしたんだぞ。
「うん、アエリアーナが無事でよかったよ」
実は、お前が聖女なんだろ。
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