身代わり吸魔が暴君騎士に思うこと

鹿音二号

文字の大きさ
13 / 28

魔道士クリスティナ

しおりを挟む



ん、ううん、机のうえで寝ちゃった……
書きかけのメモの上にちょっと水玉があるのは見なかったことにしよう。……顔汚れてないかな。

最近始めたことだけど、ぜんぜんうまくいかない。
昨日も夜寝るのも惜しくて……昼寝になっちゃった。
今は災禍を倒す旅も、ちょっとゆっくりでよかったよ。
聖女様のお供になるって聞いたときは……まさかこんなゆっくり魔法の研究する暇があるとは思わなかったよ。順調に旅が進んでるんだって。

世界を滅ぼすという7つの災禍。
教会から発表があって、当代聖女アエリアーナ様が討伐の旅に出る。
それに付き添う魔道士が必要って、私ですかー!?って、叫んじゃったよね。魔道協会の偉い人の前だったからすごい怒られた。
……でも、あとから考えてみたら、私が選ばれるのは当たり前のことだったんだ。
私のお祖母さんが、魔物の子を産んだ魔女って言われてる。
ほんとかどうか、その魔物の子の父さんは私が小さい頃に亡くなってるし、お祖母さんも。
何が真実かなんて、どうでもいい人たちは、私を見ては嘲笑う。私は魔物の特徴をいっこも持ってないんだけど。
……だから、死ぬかもしれない危険な旅に、重要な人間を選ばないでしょ。気づいたときに、ちょっと泣いた。

でも、聖女様はとってもかわいくて、私の歳が近いからって愛称で呼んでもいいって!友達ってことだよね!?
他の男の人たちはちょっと怖かったけど……騎士様ってそうなのかな?って、そのときは思っていた。
でも、聖女様――リアちゃんが、すごくダインって人のことを怖がってた。暴君騎士って呼ばれてて、すごく乱暴な人っていうのはあとから聞いた。
……その意味が、一番最初に封印が解けた災禍の討伐の時に、よくわかった。
あの時のことは………………………………うん、忘れた。忘れたよ。

そう、その第一の災禍って、人間みたいな人だった。
リュートって名前の、明るい人。色々あって、一緒に旅することになった。
本当は、何百年も封印されてた、世界を滅ぼすものなのにね。
見た目はちょっと怖い?んだけど、今のところぜんぜん災禍っぽくなくて……むしろ、すごくいい人に見える。
私ともよく話してくれるから、なんか同い年の友達みたい。友達だったら、いいな、初めて、ふたりも友達ができた。
そう、リュートはアエリアーナちゃんとも仲がいいよ。
この間もふたりでリュートの部屋に入ってくところ見ちゃった。えーそーなのー?って聞きたいけど、……ううん、聞けないなあ、いろんな意味で。

……リュートって、ダインのことをどう思ってるんだろう。
怖いなって思ったダインは、本当はかわいそうな人だった。
今回の討伐隊の任命も……私と同じ理由じゃないかなって。
昔のことをちょっとだけ聞いて、私は怒る気がなくなっちゃった。
私がひどい目にあったわけじゃないもの。
リュートがすごく同情してたのもある。リュートがそういうなら、私はもう何も言わない。
リアちゃんは、なんだかまだ怒ってるけど。

――だからなんだけど、私もなにか出来たらなって。
たまにすごく役立たずになるんだ、私。魔道士だから仕方がないんだけど……力もないから体張れないし、瘴気に有効な魔法って少ないんだよ。
第四のとき、何も出来なかったから、ものすごく悔しかったから……
今は、みんなには秘密。失敗したらすごく恥ずかしいし。
もうちょっと、のような気もするんだけど……まだ、次の第五までには時間があるから、完成まで仕上げたいよね。

っと、リア?戻ってきたんだ。
……ふふ、またリュートと話してきたの?いつもふたりきりで話したあとってなんか嬉しそうだよね、リアちゃんって。

「急ですが、明後日の朝に旅立とうと思うのですが……」
「うん分かった。荷物まとめとくよ」

数日過ごしたこのお宿ともあと2日か。
まだ旅は続くんだな。

「なんか楽しいことあったの?」

特に今日は嬉しそうなリアちゃん。
なにもないっていうけど、あやしーなー。
ほんとに、前から仲良かったけど、第四のあとにもっと仲良しになったよね、リアちゃんとリュートって。
これはもしや……世に言う三角関係ってやつなのでは?
ダインは、リュートのこと気に入ってるでしょ、ねえ?じゃなきゃ、あんな何度も、むふ。
私は別に男同士って気持ち悪いとか思わないよ?

「ねえ、リアちゃんはリュートのことどう思ってるの?」

聞いちゃった。
そしたら……えっ、すっごい、すんっ……顔になっちゃったアエリアーナちゃん……

「そういうんじゃ、ないんで」

……はい。分かりました。もう言いません。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙にはAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。 校正も自力です(笑)

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。

寄るな。触るな。近付くな。

きっせつ
BL
ある日、ハースト伯爵家の次男、であるシュネーは前世の記憶を取り戻した。 頭を打って? 病気で生死を彷徨って? いいえ、でもそれはある意味衝撃な出来事。人の情事を目撃して、衝撃のあまり思い出したのだ。しかも、男と男の情事で…。 見たくもないものを見せられて。その上、シュネーだった筈の今世の自身は情事を見た衝撃で何処かへ行ってしまったのだ。 シュネーは何処かに行ってしまった今世の自身の代わりにシュネーを変態から守りつつ、貴族や騎士がいるフェルメルン王国で生きていく。 しかし問題は山積みで、情事を目撃した事でエリアスという侯爵家嫡男にも目を付けられてしまう。シュネーは今世の自身が帰ってくるまで自身を守りきれるのか。 ーーーーーーーーーーー 初めての投稿です。 結構ノリに任せて書いているのでかなり読み辛いし、分かり辛いかもしれませんがよろしくお願いします。主人公がボーイズでラブするのはかなり先になる予定です。 ※ストックが切れ次第緩やかに投稿していきます。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

処理中です...