身代わり吸魔が暴君騎士に思うこと

鹿音二号

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松田成分

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なるほど、これが時間が途切れる、か。
納得ぅ。
どこかでぷちっと意識が消えて、気がついたらぜんぶが終わってた。
ダインがたまに時間が途切れるって言ってるの、何のことか分からなかったんだけどやっと理解した。いきなり時間が飛んでるもんな。

俺は、第七の災禍に乗っ取られた、らしい。

なぜ!?俺自体災禍ダヨ!?
クリスティナやアエリアーナどころか……ダインにも泣かれた。お、おお……?スマン?

3人が落ち着いたら、めずらしく全員慌てたように封印の場所から離れた。
アエリアーナを全員「???」みたいな驚きと疑いの目で見てて、あれ?知り合ったばっかりの俺を見る目に似てる?
アエリアーナはアエリアーナで、なんかしまったー!みたいな、松田の顔に似てる。……本人に本人が似てるのは当たり前だな?

俺は俺でなにがなんやらで宇宙猫?とかいう感じで連れて行かれ……そう、ダインが、俺を抱きかかえて離さなかった。落ち着くところ行くまで俺は歩かせてもらえなかったんだ……恥ずかしっ。

で、落ち着くところに到着。
封印の場所からそんなに離れていないところに、教会の宿泊所っていうのがあったんだ。古い教会がこの先にあって、巡礼者はここに泊まれるんだって。
旅の途中にそういう施設を何回か利用したよ、タダだってフレェイが喜んでた。

今日は封印が解ける日だったから、念のために閉鎖して、数名だけ残った教会関係者と、俺たちが戦い終わってヘロヘロだと想定してここを使わせてもらう話になってたよ。
まあまあへろへろの俺たちがそこに駆け込んで、色々怪我やら瘴気やら、変なところがないか医療系の魔法の使い手さんにも診てもらって。ごはんもお風呂ももらって。

「……」
「「「……」」」

……不思議な光景だな、ひとりでソファーに座るアエリアーナの、正面に並んで座るコンラート・フレェイ・クリスティナ。
アエリアーナはものすごく肩を縮こませて、冷や汗かいてる。
……松田成分多くない?

「それでは、説明をしていただけますでしょうか」

おおう、コンラート、冷静な中に鋭いものが。

「……どゆこと?」
「……わからない」

お返事ありがとうダインくん。
俺だけ事情がわからず、ダインは分からないのをわからないままでもいいみたいで、俺をやっぱり抱き締めたまま別の椅子に座ってる。
あのう、俺、吸魔だから、吸っちゃうよ?
アエリアーナが、うろうろと目をさまよわせている……

「……その、きゅ、急に神託が……」
「ほう、神託が下るとあのように激変する、と」
「……え?っ」

……やっちまったのか、松田よ。
俺が声を上げかけて口を手で塞いだのを、コンラートはしかたないな、みたいな目でちらっと見た。
……俺がアエリアーナが箱入り娘じゃないって言ったのを結びつけたのか。あい、正解。

「……リュートがどういうことか知っているのではないか」

お、コンラートどうした?
名前呼ばれたのは初めてじゃね?しかも俺に投げた。

「そ、そうなんだ……」

俺も適当に言い訳するしかないんだけど……
……バラしてもいいかなって、思ったけど、この前のコンラートの反応だと神様と世界のこと言うとよけいに混乱しそうなんだよな。

だから、今はごまかして、俺が災禍について話したり考えたりしたのは、実はアエリアーナもいくつか同じ神託を受けていたことにした。
交信?の影響でアエリアーナがあんなん(松田だよ)になるから、神託をしょっちゅう受けてることは内緒にしてたってことに……イメージの問題よって。
……ご、ご満足いただけましたか?

「……まあ、うん」
「そういうことにしておきましょうか」

及第点っぽい。
くっそー即興で頑張ったのに!
アエリアーナこと松田くん、ほっとした様子。

「……」

コンラートが無反応なのが怖いな。
で、そろそろ俺に何があったか聞かせてもらえませんかー?
……
…………
………………

「な、なんか、ごめん」

思い出すのはゲームスチルの第一の災禍……
すまん、その、ごめん。

「いえ、誰も思いも寄りませんでしたから」
「リュートのせいじゃないでしょー?」

親切なクリスティナとめっちゃ聖職者になってきたフレェイはペカペカの笑顔だ。
俺が無事でよかったって。
う、うう……ありがとうなあ……
ダイン、話を聞くと、お前からさんざんエネルギー奪ったんだろ俺。もう近寄んな。
べりってはがしたら、うお、ダイン泣きそう……その顔に弱い……!

「無駄なことはよせ」

えええコンラート、そんな諦めろみたいな……諦めたけど。
こんなわちゃわちゃしてる間、アエリアーナが暗ーい顔してる。

「責任感じるなよ、お前どころか俺もみんなも考えてもなかったんだし」
「……ですが」
「俺は無事だし。お前も頑張ってくれただろ?ありがとうな、俺を助けてくれて」
「……」
「……え!?また泣くの!?」
「リアちゃん……」

ちょ、クリスティナさっきまで笑顔だったじゃん!
よしよしって、あんまり良くないけど髪を伸ばして頭撫でたら……大泣きされた。あっれー!?

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