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6-5 モルドペセライ帝国
オリヴァー達が会議室に入ると、視察をしていたジュノ辺境伯もいて空気が凍り付くのを感じた。対面にオリヴァーが座ると、やれやれとため息を吐き、ジュノ辺境伯はにこりと微笑む。
「さすがはエッカルト様のお孫様ですね」
「え?」
「あの方も周りが止めるのを無視してよく単騎で突撃しておりましたから」
祖父らしい行動に噴き出してしまうと周りの雰囲気も一変して柔らかくなった。ジュノ辺境伯なりの気遣いなのか、勝手な行動を戒められたような気まずい雰囲気を感じていたオリヴァーも話しやすくなった。
「早速ですが、オリヴァー様には帝国側の協力者を紹介しましょう」
「協力者?」
「ええ、帝国も一枚岩ではありません。先の戦争で痛い思いをした記憶がまだ残っていますからね。意外と王国と友好関係を結んだままで居たい人もいるんですよ」
一人で躍起になっていた気持ちが徐々に落ち着いていく。一人で出来ることはあまり多くない。分かっていたはずなのに、戦争を止めるために手段を選ばず、周囲の声にも耳を貸さず一人で突っ走っていた。これでは前回と同じように失敗するのが目に見えている。
「シェフィールド大公。オリヴァー様も名前ぐらいはご存じでしょう?」
「え!? ……現皇帝の弟、でしたよね」
隣国の上級貴族の名前はほとんど頭に入っているし、さすがに皇帝の弟を忘れるわけもなく、そんな大物がこちらの味方だということに驚きが隠せなかった。ジュノ辺境伯がやり手なのは知っていたが、大公とまで繋がっているのは予想外だった。
「オリヴァー様にはパトリックと共に帝国へ行っていただきます。第二王子とは偶然を装ってお会いになるほうがいいでしょう。彼の性格から考えて、あなた様から第二王子を追って帝国までやってきた、と言えば、受け入れてくれるはずです」
とても脚色された出会いであるが、ジュノ辺境伯の言う通りオリヴァーがルドルフを追って帝国まで来たと言えば受け入れてくれるだろう。ただまだ十五歳のパトリックを連れて行くのは気が引ける。いくら大物が味方にいると言っても、潜入調査が危険極まりないのは言うまでもない。
「行くなら俺一人で……」
「いえ、それは絶対にダメです。一人ぐらい身内を連れて行かないと、シェフィールド大公があなた様に協力するとは限りませんから」
シェフィールド大公との信頼関係は長年交流を続けたジュノ辺境伯だからこそ築かれたものだ。王国の侯爵家とは言え、オリヴァーとの信頼は無いに等しい。シェフィールド大公を紹介した時点で信頼されている証拠にはなり得そうだが、話ぶりからすると気難しい人物なのかもしれない。
「バルナバスは第二王子に顔を知られています。それにこのパトリックはそれなりにやるほうなんですよ。護衛にもばっちりです」
隣を見るとパトリックもにこりと微笑んでジュノ辺境伯の言葉を肯定する。
「あとは名目ですね。ぶらりと帝国に来ました、とだけでは第二王子は騙されても、その他には怪しまれるでしょう」
「王国貴族だけではルドルフ殿下を後押しできないと考えて、帝国に協力者を探しに来た、と言うのはどうでしょう。スコット家にも繋がりのある帝国貴族がいますので、そちらを頼ってきたと説明します」
「いいですね」
あとは突然、オリヴァーが自分の考えをコロッと変えてしまったことをルドルフにどう説明するか、だが、彼が前回の記憶を持っていて、それでもなお、前回と同じような道を歩くというならばオリヴァーにも考えはある。
ただ成り上がりたいとだけ思っているつまらない男になればいいのだ。
ルドルフが王位に就いた後は、自分に宰相の地位を約束させる。やはり自分にはあなたしかいないのだ、と言えば、きっとルドルフは落ちる。
その代わりに色々と差し出さなければならないだろうが、前回の人生でも我慢してきたのだから今回も我慢できるだろう。
ふと脳裏にアレクシスの顔がよぎった。
「さすがはエッカルト様のお孫様ですね」
「え?」
「あの方も周りが止めるのを無視してよく単騎で突撃しておりましたから」
祖父らしい行動に噴き出してしまうと周りの雰囲気も一変して柔らかくなった。ジュノ辺境伯なりの気遣いなのか、勝手な行動を戒められたような気まずい雰囲気を感じていたオリヴァーも話しやすくなった。
「早速ですが、オリヴァー様には帝国側の協力者を紹介しましょう」
「協力者?」
「ええ、帝国も一枚岩ではありません。先の戦争で痛い思いをした記憶がまだ残っていますからね。意外と王国と友好関係を結んだままで居たい人もいるんですよ」
一人で躍起になっていた気持ちが徐々に落ち着いていく。一人で出来ることはあまり多くない。分かっていたはずなのに、戦争を止めるために手段を選ばず、周囲の声にも耳を貸さず一人で突っ走っていた。これでは前回と同じように失敗するのが目に見えている。
「シェフィールド大公。オリヴァー様も名前ぐらいはご存じでしょう?」
「え!? ……現皇帝の弟、でしたよね」
隣国の上級貴族の名前はほとんど頭に入っているし、さすがに皇帝の弟を忘れるわけもなく、そんな大物がこちらの味方だということに驚きが隠せなかった。ジュノ辺境伯がやり手なのは知っていたが、大公とまで繋がっているのは予想外だった。
「オリヴァー様にはパトリックと共に帝国へ行っていただきます。第二王子とは偶然を装ってお会いになるほうがいいでしょう。彼の性格から考えて、あなた様から第二王子を追って帝国までやってきた、と言えば、受け入れてくれるはずです」
とても脚色された出会いであるが、ジュノ辺境伯の言う通りオリヴァーがルドルフを追って帝国まで来たと言えば受け入れてくれるだろう。ただまだ十五歳のパトリックを連れて行くのは気が引ける。いくら大物が味方にいると言っても、潜入調査が危険極まりないのは言うまでもない。
「行くなら俺一人で……」
「いえ、それは絶対にダメです。一人ぐらい身内を連れて行かないと、シェフィールド大公があなた様に協力するとは限りませんから」
シェフィールド大公との信頼関係は長年交流を続けたジュノ辺境伯だからこそ築かれたものだ。王国の侯爵家とは言え、オリヴァーとの信頼は無いに等しい。シェフィールド大公を紹介した時点で信頼されている証拠にはなり得そうだが、話ぶりからすると気難しい人物なのかもしれない。
「バルナバスは第二王子に顔を知られています。それにこのパトリックはそれなりにやるほうなんですよ。護衛にもばっちりです」
隣を見るとパトリックもにこりと微笑んでジュノ辺境伯の言葉を肯定する。
「あとは名目ですね。ぶらりと帝国に来ました、とだけでは第二王子は騙されても、その他には怪しまれるでしょう」
「王国貴族だけではルドルフ殿下を後押しできないと考えて、帝国に協力者を探しに来た、と言うのはどうでしょう。スコット家にも繋がりのある帝国貴族がいますので、そちらを頼ってきたと説明します」
「いいですね」
あとは突然、オリヴァーが自分の考えをコロッと変えてしまったことをルドルフにどう説明するか、だが、彼が前回の記憶を持っていて、それでもなお、前回と同じような道を歩くというならばオリヴァーにも考えはある。
ただ成り上がりたいとだけ思っているつまらない男になればいいのだ。
ルドルフが王位に就いた後は、自分に宰相の地位を約束させる。やはり自分にはあなたしかいないのだ、と言えば、きっとルドルフは落ちる。
その代わりに色々と差し出さなければならないだろうが、前回の人生でも我慢してきたのだから今回も我慢できるだろう。
ふと脳裏にアレクシスの顔がよぎった。
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