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1章 出会いのクッキー

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◇◇◇

「へぇ~、じゃあ犯人見つかったんだ。間宮くんのこと心配だったから、無事解決したって聞いて俺もほっとしたよ」
「店長にも、ホントご心配おかけしてすみませんでした」

バイト先の休憩室。仕事も終わり、各々が帰り支度をしている中、久志はストーカーの件について犯人が見つかり、事件が解決したとバイト仲間たちに報告していた。

いま残っているのは久志も含め、店長とマネージャー、主婦の鈴木と大学生の大森の5人。いつも少しだけ雑談をしてから帰る流れの中で、久志はストーカー事件のことを話すことにしたのだ。

「俺、久志の部屋泊まりにいきましたけど、周りもひと気がないから、ちょっと怖かったですよ」
「大森もサンキューな、マジであのときは助かった」

久志が手を合わせて礼を述べると「解決祝い金として、ジュースよろしく」だなんて言って笑っている。現金な奴だ。

「で、結局犯人はどんな人だったの?」
「あんま話すの、ちょっとアレなんですけど……40代くらいの男の人で……」

鈴木に聞かれた久志が少し言いにくそうに、そう話すと「え、間宮っちにストーカーしてたのって、男だったの⁈」とマネージャーが驚いた様子で近寄ってきた。

「まあ……」
「そういうこともあるんだな。勝手に相手は女の人かと思ってたけど」
「今の時代、いろいろありますからね~」

店長と大森も驚いているのは同じようで、久志はただただ曖昧に笑って返すしかなかった。あまり根掘り葉掘り聞かれても困るような話題だからだ。

「とにかくこの件は、解決したので。皆さん、相談に乗ってくださって本当にありがとうございました!」

頭を下げた久志は、ロッカーを閉めてリュックを背負った。

「今日は友達と駅前の餃子屋さんに飲みに行く予定なんで。じゃあ、お疲れ様でした~」

「では」と続けると、「お疲れ様~」「気をつけて帰るんだよ」などとバイト仲間から見送られ、久志はすっかり暗くなった夜道を歩いていった。
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