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晴天の霹靂
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◇◇◇
「ただいま」
私、ユリス・クロフォードはご就寝になるというアリシア様と付き添いのナツメを部屋まで送り届け、他の守護騎士たちが集まる談話室へと戻ってきた。ここはアリシア様が過ごすお部屋からは一番遠いところにあり、私たち守護騎士は彼女が寝た後、この談話室で会議を開くのが定例となっていた。
部屋の中央には、三人掛けの長ソファと、ローテーブルを挟んだ対面に一人掛けのソファが二脚、そしてその向こう、執務机がある場所に私の席が用意されている。「お疲れ様です」と労いの言葉をかけてきたルカに手で応えつつ、私は自分の席へと向かい、どさりと腰を下ろした。
「ほら、飲め。コーヒーだ」
ティーカップを持ってきたリヒトに礼を述べ、苦いコーヒーを口にすれば頭がすっきりと冴えていく。この後、報告書を書く仕事が残っているからありがたい。
「で、今日の聖女様のご様子はどうだったんだ?」
すると、長椅子にごろんと寝そべっていたジルベールが起き上がり、鋭い切れ長の瞳を私に向けてきた。ジルは今日、主に外の見回り仕事でアリシア様と関わる時間が少なかったから、彼女の様子が気になるのだろう。
「特に変わりなく、というところかな。ナツメによると今日はイチゴを使ったムースをお気に召したようで、二つ召し上がっていたそうだ」
私がそう答えると、調理も任されているルカがメモを取りながら「そうでしたか」と頷いた。
「昨日もイチゴのタルトが美味しいとおっしゃっていたので、明日のティータイムもイチゴを使ったスイーツを多めにしてみましょうか」
「アーリー・モーニング・ティーは、ミルクとはちみちをたっぷり入れておけ。苦みのある紅茶は苦手そうだったぞ」
リヒトの助言に「分かりました」と、律儀にメモを続けるルカ。膝に頬杖をついてそんな二人を見るジルベールは、はあと大きなため息を吐く。
「それにしても、聖女様のご機嫌取りは大変だな」
その言葉に、部屋中がしんと静まり返った。
「……ジルベール、不謹慎な言動は慎め」
私がそう返すと、ジルベールは鼻を鳴らして笑う。
「事実を言ってまでだ。お前だって、そう思っているだろう?」
「聖女様にこの身を捧げ、お仕えすることが俺たち守護騎士の使命だ」
「その仕事がこれかよ」
「ジルベール、お前――」
「おい、二人ともやめろ」
リヒトに仲裁された私は次の言葉を飲み込んで、はあとため息をついて背もたれに体を預けた。
「国のとって聖女の力は脅威……。他国に横取りされるわけにはいかない。聖女の心を掴むための、そのご機嫌取りとやらも、俺たちにとって重要な任務の一つだ」
ジルベールに改めてそう言うと、「馬鹿らしい、とは俺も思うがな」と続けたリヒトに再び室内に気まずい沈黙が走った。
私たち守護騎士は、歴代聖女の守護騎士を輩出してきた名家生まれの者たちばかりで構成されている。
ハルシュタイン家、クレイン家、ウィストリア家、そして我がクロフォード家。この四家から選ばれた私たちは、幼い頃から聖女様の守護騎士としての役目を果たすために、さまざまな厳しい訓練を受けてきた。
けれど、現状は聖女を懐柔するために「聖女様にとって心地いい世界を用意すること」が目下の最重要任務となっており、それに対して不満を言いたくなるのも分からなくはない。
ちなみにアリシア様の専属侍女ナツメは、ジルベールと同じクレイン家出身で、ああ見えて彼女も武術訓練を受けた聖女様の護衛係の一人。同性同士で、何かと距離が近いため、私たちが知りえない情報を提供してもらっている。
「とにかく、しばらくは様子見だ。まだまだここへ来たばかりで、アリシア様ご自身も慣れないことが多いだろうから」
「少なくとも僕らのことを好意的に見てくださっている感じはありますよね」
「あの調子だと、俺たちの手に堕ちるのも時間の問題だと思うがな」
「はっ、たかが小娘ひとりに手こずってられるかよ」
とりあえず、現状の再確認は終わった。それから私たちが明日のスケジュールを確認しようとした、その時だった──。
「ふーん、なるほど。何かおかしいと思ったけれど、そんな思惑があったとはね」
部屋の扉が開いたかと思うと、扉の向こうから今まさに話題の中心人物だったアリシア様が入ってきた。その瞬間、動きが止まった私たち四人。
「え、アリシア様……?」
「不思議だと思ってたのよね、聖女の力を持っているっていうだけで、こんな好待遇を受けられるなんて。でも、他国に逃げられたら困るという皇国サイドの言い分はよく分かるわ」
当の本人は腕組みをしながら、うんうんと深く頷いていた。守護騎士としても凄腕揃いの私たちが、誰一人として彼女が部屋の外にいると気づけなかったことに、ひやりと背中に悪寒が走る。
(まさか、それほどまでに彼女の能力は高いのか……?)
そんな推測が頭をよぎったが、何はともあれ、今は目の前の彼女だ。
「ア、アリシア様、これはですね~……」
どうしたものかと困った笑みを浮かべながらも、ルカがアリシア様に近寄れば、返ってきたのは怒りや罵倒の言葉……ではなく、にっこりと眩しい笑顔だった。
「あら、別に私は怒ってないわよ。あなたたちの正直な本音を聞けて、むしろスッキリしたというか」
どうやら先ほどの話は全て聞かれていたらしい。だが、気まずさを感じる我々とは違って、彼女はどこか楽しげな様子である。
そんなアリシア様の態度を見て、最初に猫被りを辞めたのはリヒトだった。
「バレてしまったのであれば、仕方ありません。今さら、取り繕ったところで説得力などありませんから、はっきり言わせていただきますが、我々は貴女にここから出ていかれては困ります。だから脱走しようなどと試みないでいただきたい」
「おい、リヒト!」
ドストレートにこちら側の思惑を伝えるリヒトに、思わず私は声を荒げた。一方、ジルベールもリヒト同様に諦めた様子で、足を組んでソファの背に両手を広げて座っている。
確かに私たち守護騎士に与えられた使命は、聖女であるアリシア様を守ること。そして、彼女の心を掴み懐柔することだ。誉高い守護騎士の仕事が、こんなものかとがっかりする気持ちは私にだって少しはあったと認めるが……。
「分かったわ」
そんな風に頭を抱える私をよそに、アリシア様はそう言った。思いがけない反応に、私たち守護騎士は目を見張る。それから彼女は腕組みをして、勝気な笑みを浮かべて私たちを見つめた。
「その代わり私は、私の好きなようにさせてもらうから」と言って――。
「ただいま」
私、ユリス・クロフォードはご就寝になるというアリシア様と付き添いのナツメを部屋まで送り届け、他の守護騎士たちが集まる談話室へと戻ってきた。ここはアリシア様が過ごすお部屋からは一番遠いところにあり、私たち守護騎士は彼女が寝た後、この談話室で会議を開くのが定例となっていた。
部屋の中央には、三人掛けの長ソファと、ローテーブルを挟んだ対面に一人掛けのソファが二脚、そしてその向こう、執務机がある場所に私の席が用意されている。「お疲れ様です」と労いの言葉をかけてきたルカに手で応えつつ、私は自分の席へと向かい、どさりと腰を下ろした。
「ほら、飲め。コーヒーだ」
ティーカップを持ってきたリヒトに礼を述べ、苦いコーヒーを口にすれば頭がすっきりと冴えていく。この後、報告書を書く仕事が残っているからありがたい。
「で、今日の聖女様のご様子はどうだったんだ?」
すると、長椅子にごろんと寝そべっていたジルベールが起き上がり、鋭い切れ長の瞳を私に向けてきた。ジルは今日、主に外の見回り仕事でアリシア様と関わる時間が少なかったから、彼女の様子が気になるのだろう。
「特に変わりなく、というところかな。ナツメによると今日はイチゴを使ったムースをお気に召したようで、二つ召し上がっていたそうだ」
私がそう答えると、調理も任されているルカがメモを取りながら「そうでしたか」と頷いた。
「昨日もイチゴのタルトが美味しいとおっしゃっていたので、明日のティータイムもイチゴを使ったスイーツを多めにしてみましょうか」
「アーリー・モーニング・ティーは、ミルクとはちみちをたっぷり入れておけ。苦みのある紅茶は苦手そうだったぞ」
リヒトの助言に「分かりました」と、律儀にメモを続けるルカ。膝に頬杖をついてそんな二人を見るジルベールは、はあと大きなため息を吐く。
「それにしても、聖女様のご機嫌取りは大変だな」
その言葉に、部屋中がしんと静まり返った。
「……ジルベール、不謹慎な言動は慎め」
私がそう返すと、ジルベールは鼻を鳴らして笑う。
「事実を言ってまでだ。お前だって、そう思っているだろう?」
「聖女様にこの身を捧げ、お仕えすることが俺たち守護騎士の使命だ」
「その仕事がこれかよ」
「ジルベール、お前――」
「おい、二人ともやめろ」
リヒトに仲裁された私は次の言葉を飲み込んで、はあとため息をついて背もたれに体を預けた。
「国のとって聖女の力は脅威……。他国に横取りされるわけにはいかない。聖女の心を掴むための、そのご機嫌取りとやらも、俺たちにとって重要な任務の一つだ」
ジルベールに改めてそう言うと、「馬鹿らしい、とは俺も思うがな」と続けたリヒトに再び室内に気まずい沈黙が走った。
私たち守護騎士は、歴代聖女の守護騎士を輩出してきた名家生まれの者たちばかりで構成されている。
ハルシュタイン家、クレイン家、ウィストリア家、そして我がクロフォード家。この四家から選ばれた私たちは、幼い頃から聖女様の守護騎士としての役目を果たすために、さまざまな厳しい訓練を受けてきた。
けれど、現状は聖女を懐柔するために「聖女様にとって心地いい世界を用意すること」が目下の最重要任務となっており、それに対して不満を言いたくなるのも分からなくはない。
ちなみにアリシア様の専属侍女ナツメは、ジルベールと同じクレイン家出身で、ああ見えて彼女も武術訓練を受けた聖女様の護衛係の一人。同性同士で、何かと距離が近いため、私たちが知りえない情報を提供してもらっている。
「とにかく、しばらくは様子見だ。まだまだここへ来たばかりで、アリシア様ご自身も慣れないことが多いだろうから」
「少なくとも僕らのことを好意的に見てくださっている感じはありますよね」
「あの調子だと、俺たちの手に堕ちるのも時間の問題だと思うがな」
「はっ、たかが小娘ひとりに手こずってられるかよ」
とりあえず、現状の再確認は終わった。それから私たちが明日のスケジュールを確認しようとした、その時だった──。
「ふーん、なるほど。何かおかしいと思ったけれど、そんな思惑があったとはね」
部屋の扉が開いたかと思うと、扉の向こうから今まさに話題の中心人物だったアリシア様が入ってきた。その瞬間、動きが止まった私たち四人。
「え、アリシア様……?」
「不思議だと思ってたのよね、聖女の力を持っているっていうだけで、こんな好待遇を受けられるなんて。でも、他国に逃げられたら困るという皇国サイドの言い分はよく分かるわ」
当の本人は腕組みをしながら、うんうんと深く頷いていた。守護騎士としても凄腕揃いの私たちが、誰一人として彼女が部屋の外にいると気づけなかったことに、ひやりと背中に悪寒が走る。
(まさか、それほどまでに彼女の能力は高いのか……?)
そんな推測が頭をよぎったが、何はともあれ、今は目の前の彼女だ。
「ア、アリシア様、これはですね~……」
どうしたものかと困った笑みを浮かべながらも、ルカがアリシア様に近寄れば、返ってきたのは怒りや罵倒の言葉……ではなく、にっこりと眩しい笑顔だった。
「あら、別に私は怒ってないわよ。あなたたちの正直な本音を聞けて、むしろスッキリしたというか」
どうやら先ほどの話は全て聞かれていたらしい。だが、気まずさを感じる我々とは違って、彼女はどこか楽しげな様子である。
そんなアリシア様の態度を見て、最初に猫被りを辞めたのはリヒトだった。
「バレてしまったのであれば、仕方ありません。今さら、取り繕ったところで説得力などありませんから、はっきり言わせていただきますが、我々は貴女にここから出ていかれては困ります。だから脱走しようなどと試みないでいただきたい」
「おい、リヒト!」
ドストレートにこちら側の思惑を伝えるリヒトに、思わず私は声を荒げた。一方、ジルベールもリヒト同様に諦めた様子で、足を組んでソファの背に両手を広げて座っている。
確かに私たち守護騎士に与えられた使命は、聖女であるアリシア様を守ること。そして、彼女の心を掴み懐柔することだ。誉高い守護騎士の仕事が、こんなものかとがっかりする気持ちは私にだって少しはあったと認めるが……。
「分かったわ」
そんな風に頭を抱える私をよそに、アリシア様はそう言った。思いがけない反応に、私たち守護騎士は目を見張る。それから彼女は腕組みをして、勝気な笑みを浮かべて私たちを見つめた。
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