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第2章 過労死した俺、リリアが顔を隠してる理由に迫る。
第22話
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イザークがそう言うと、影の中に溶け込むようにしてその場から姿を消した。静寂が広がり、悠斗、リリア、リリーナの三人は祭壇の上で残されたまま互いに顔を見合わせる。
「リリアさん……本当に無事でよかった。もう、何も言わないでいなくならないでくれ」
悠斗が怒りも含んだ安堵の声を漏らすと、リリアは微かに微笑んで頷いた。依然としてローブに隠れた顔はまだ、覇気がないようにも見える。
「ありがとう……」
リリアが身を起こし、まだ重たそうな体を少しずつ動かしながら言った。影の浄化のために縛られていた疲労が色濃く残っている様子だ。
「大丈夫か?まだ無理に起きないほうが……」
「大丈夫。でも、ここにはもう長くはいられない。浄化の儀が中断されたと奴等が知れば、影の一族がすぐに動き出すはず。イザークが来たらすぐにここを出なきゃ」
間もなく戻ってきたイザークが、冷静な口調で言った。
「王国は君たちに協力を要請する。影の一族の暴走もこれ以上見過ごせない。影の一族の掃討を命じられた。その後のリリアを含めた君たちの安全は僕を含めて王国が保障しよよう」
「王国は影の一族の根絶に本気ってことか」
「そうだ。王国はリリアが一族を脱したのも、君たちがここまで来た経緯も把握している。これから、王国と共に影の一族を完全に封じ込める。影の力を使って国の秩序を乱す物を野放しにしておく分けには行かない」
リリアはそれを聞き、口元の表情を和らげた。
「…ありがとう、イザーク」
イザークは静かに頷いたが、その目には強い決意が浮かんでいる。
「リリア、君を守るためにも、そして今後君や悠斗のような、一族ではないのに影の力を持つものが現れたときのためにも影の一族を徹底的に排除する」
その時、館の廊下に足音が響き、複数の気配が迫ってくるのが分かった。悠斗が影を拳に集中させると、リリーナもまた風の精霊たちを呼び寄せ、辺りに緊張が走る。
「来たな……!」
「儀式の中断に気づいて、一族が来たみたいだ。王国の増援が来るまで僕たちで凌ぐぞ」
イザークがそう告げる。
館の扉が開くと、そこには黒い影を纏った数名の影使いの姿があり、その中にはあのアルバジルの姿もあった。彼は悠斗たちを睨みつけ、不敵に笑みを浮かべる。
「まだリリアを守ろうとしているとは、愚かな連中だ。影の力を持ち、一族に加わりながらも掟に逆らう者は、影の浄化を受けるのみだ」
イザークは剣を構え、毅然と答えた。
「貴様ら影の一族が今まで王国の眼を盗んで、国の秩序を乱してきたこと決して赦しはしない。散れ」
その言葉に怒りが浮かんだアルバジルが影を大きく膨らませ、刃の形に変えて悠斗に向かって襲いかかった。悠斗はイザークの助けを受けつつ、リリーナも風の精霊を使い攻撃を防ぎ、連携しながら応戦を始める。。
「オラァッ!」
アルバジルが再び猛攻を仕掛けてきたが、悠斗の影が絡みつき、イザークの剣が隙を見つけるように切り込み、リリーナの精霊が巻き起こす風が影を弾き飛ばす。影の一族たちも次々にその攻撃に押され、やがて戦闘の勢いが弱まっていくのが分かった。
「お前ら、覚悟しておけよ。後ものの数分で私たちの長が現れる」
アルバジルがそう口にする。
「長?」
悠斗はそう溢すが次の瞬間、横の岩が砕け散る大きな音がした。
「なっ!なんだ⁉︎」
「リリアさん……本当に無事でよかった。もう、何も言わないでいなくならないでくれ」
悠斗が怒りも含んだ安堵の声を漏らすと、リリアは微かに微笑んで頷いた。依然としてローブに隠れた顔はまだ、覇気がないようにも見える。
「ありがとう……」
リリアが身を起こし、まだ重たそうな体を少しずつ動かしながら言った。影の浄化のために縛られていた疲労が色濃く残っている様子だ。
「大丈夫か?まだ無理に起きないほうが……」
「大丈夫。でも、ここにはもう長くはいられない。浄化の儀が中断されたと奴等が知れば、影の一族がすぐに動き出すはず。イザークが来たらすぐにここを出なきゃ」
間もなく戻ってきたイザークが、冷静な口調で言った。
「王国は君たちに協力を要請する。影の一族の暴走もこれ以上見過ごせない。影の一族の掃討を命じられた。その後のリリアを含めた君たちの安全は僕を含めて王国が保障しよよう」
「王国は影の一族の根絶に本気ってことか」
「そうだ。王国はリリアが一族を脱したのも、君たちがここまで来た経緯も把握している。これから、王国と共に影の一族を完全に封じ込める。影の力を使って国の秩序を乱す物を野放しにしておく分けには行かない」
リリアはそれを聞き、口元の表情を和らげた。
「…ありがとう、イザーク」
イザークは静かに頷いたが、その目には強い決意が浮かんでいる。
「リリア、君を守るためにも、そして今後君や悠斗のような、一族ではないのに影の力を持つものが現れたときのためにも影の一族を徹底的に排除する」
その時、館の廊下に足音が響き、複数の気配が迫ってくるのが分かった。悠斗が影を拳に集中させると、リリーナもまた風の精霊たちを呼び寄せ、辺りに緊張が走る。
「来たな……!」
「儀式の中断に気づいて、一族が来たみたいだ。王国の増援が来るまで僕たちで凌ぐぞ」
イザークがそう告げる。
館の扉が開くと、そこには黒い影を纏った数名の影使いの姿があり、その中にはあのアルバジルの姿もあった。彼は悠斗たちを睨みつけ、不敵に笑みを浮かべる。
「まだリリアを守ろうとしているとは、愚かな連中だ。影の力を持ち、一族に加わりながらも掟に逆らう者は、影の浄化を受けるのみだ」
イザークは剣を構え、毅然と答えた。
「貴様ら影の一族が今まで王国の眼を盗んで、国の秩序を乱してきたこと決して赦しはしない。散れ」
その言葉に怒りが浮かんだアルバジルが影を大きく膨らませ、刃の形に変えて悠斗に向かって襲いかかった。悠斗はイザークの助けを受けつつ、リリーナも風の精霊を使い攻撃を防ぎ、連携しながら応戦を始める。。
「オラァッ!」
アルバジルが再び猛攻を仕掛けてきたが、悠斗の影が絡みつき、イザークの剣が隙を見つけるように切り込み、リリーナの精霊が巻き起こす風が影を弾き飛ばす。影の一族たちも次々にその攻撃に押され、やがて戦闘の勢いが弱まっていくのが分かった。
「お前ら、覚悟しておけよ。後ものの数分で私たちの長が現れる」
アルバジルがそう口にする。
「長?」
悠斗はそう溢すが次の瞬間、横の岩が砕け散る大きな音がした。
「なっ!なんだ⁉︎」
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