【完結】貰い屋さん 【全13話】

なつ

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夫婦の話①

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「お母さん!貰い屋さんって知ってるー?友達が言ってたんだけど貰い屋さんって何でも貰ってくれるの~?」

10歳の男の子がお母さんにそう尋ねる。

「えぇ、知ってるわよ。貰い屋さんはね本当に辛い人の所に招待状が届くのよ。」

「招待状~?僕にもくるかな~?」

「そう。招待状。でもね、何でも貰ってくれるけど対価を払わなきゃ行けないのよ。」

「対価?なにそれ」

「ちょっと難しかったかな?物を買う時にお金を渡すでしょ?それと同じ感じで貰い屋さんに何かを貰ってもらったら、お礼として何かを渡さなきゃいけないの。それはお金だったり、命だとも言うわ。だからね本当に困ったときにしか頼ってはダメよ?」

「わかった!!」

昔母から教えてもらったお話。10歳の少年は今30歳になる。男性は願う。「もし貰い屋さんが実在するのならば貰ってください。妻の病気を…」





彼は27歳過ぎに結婚し、幸せな生活を送っていた。妻が病気で倒れるまでは。
彼の妻は難病で余命宣告をされ宣言された月も残り少ない。妻もだんだん衰弱していくのが見ていてわかる。彼は孤独だった。シングルマザーだった母は21歳の時に亡くなってしまい仕事仕事の毎日。母が居なくなった部屋は一人で使うには広すぎて寂しい夜を過ごしていた。友達も少なからず居た。でも周りはどんどん結婚して孤独を感じる日々。そこに現れたのが妻だった。

妻と出会ってから灰色の日々は色がつくようになりこれが幸せなんだと知った矢先の出来事。お金で解決するなら彼は必死に働いただろう。しかしどれだけのお金を用意しようと意味がない。彼はまた一人大きな部屋で夜を過ごすのだった。

今の彼の生きがいは妻だ。妻を亡くしてしまったら彼は生きている意味が無くなってしまう。だから彼は願った。命でもなんでも捧げます。だから妻の病気をもらってください。神様でも貰い屋さんでも誰でもいいです。どうか…どうかっ。もう彼は祈るしかなかった。妻の為にもらえる休みも少なかった。それでもよかった。今はお金がいる。そう思えていたから。でももう妻を助けれる方法はない。妻はほぼ昏睡状態。彼は絶望した。

妻が死ぬなんて考えられない。どうか生きてくれ。その一心で願い続けた。

そうその願いは届いた。貰い屋さんに。
「彼をこの場所に…」その一言で彼は招待される。不思議な空間に…
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