【完結】貰い屋さん 【全13話】

なつ

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夫婦の話②

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彼はいつの間にか自分の知らない場所にいた。「ここは…」そう言って前に進む彼。彼には後が無い。必死の思いで彼は前に進む。そして小さなウエルカムボードが目に入り彼は必死にそこへ向かう。ここがどこだかはしらないし、ただの夢かもしれない。けれどもし本当に存在するならば…。そう思って彼はウエルカムボードがあったお店みたいなところに入る。

お店みたいな外観とは裏腹に神秘的な本屋さんみたいな不思議な空間だった。水が静かな滝のように流れ魚が泳ぎ、周りは本だらけ。その小さな滝の横で本を読む少年がいた。そして優しい笑顔で彼に言った「いらっしゃいませ。」と。

黒と青が混ざったような髪色に綺麗な青の瞳。とても吸い込まれたと同時に夢か…と自覚する。そりゃー夢に決まっている。気付いた時にはここに居てこの世の物とは思えないこの空間。夢なら納得だ。それだけ追い詰められているのか…と自覚していたら少年は話した。

「夢で終わらせていいのですか?後悔しませんか?」

「夢じゃない…?じゃあここは…」

「夢か夢じゃないかは自分で決めてください。全ては貴方の想像次第ですよ。」

見た目は少年なのに雰囲気がまるで何百年も生きてきたかのような不思議な感じ。ただの夢で終わりたくない。もしそれが願いが叶うなら妻と一緒に居たい。

「夢で終わらせたくありません。私の話を聞いてくれませんか?」

「もちろんです。その話を聞きたくてお呼びしました。時間ならたっぷりあります。だからゆっくり聞かせてください。貴方の願いを…」

彼は話した。ずっと思っていた事を全て。相談できる友達も少なく、ため込んできた感情が一気に流れ出す。少年は全ての話に頷き静かに聞いていた。全てを吐き出した後に彼は少年に聞いた。

「貴方は何者なんですか…ここはもしかして…」と

彼がここに訪れた時少年は「いらっしゃいませ」と言った。それはここがお店ということになる。気になってそのままの勢いで質問してしまったと後悔する彼を察し少年は答える。

「なんでも聞いてくれていいんです。貴方はお客様なのですから。何者かと聞かれたら難しいですがお客様の話を聞き望みをかなえる…。」

そして少年は少し微笑み口を開いた。

「お店の名前はありません。ですが人々からはこう呼ばれています。『貰い屋さん』と。」
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