【完結】貰い屋さん 【全13話】

なつ

文字の大きさ
11 / 13

ギャンブル依存の男②

しおりを挟む
少年の目は本当に透き通っていた。男性の過去を全て知っているかのような笑み。男性は今まで隠していたツライ悲しい感情を語るのだった。

「俺には妻が居た。でも妻は1年ほど前に死んで俺は一人になったんだ。それからだよ。現実から目をそらしたのは。恥ずかしい話俺は妻より稼げなかった。妻はすっげー出来る人で俺の憧れだった。こんな俺でも好きだって言ってくれた。でも喧嘩しちまって妻は家を飛び出していったんだよ。俺も怒ってたからすぐに追いかけなくて次に会った時は亡骸だった…。」

「ゆっくりで大丈夫ですよ。吐き出せば楽になれます。」少年はまた優しい瞳で男性に微笑む。

「それで後から聞いた話では車に轢かれたらしい。妻は周りが見えないほど頭が真っ白だったと思う。横断歩道とはいえ車が来ているのかも確認せずに細道から道に飛び出したんだ。自殺するような人じゃねぇから事故処理されたんだけど、車にも責任が問われたけどあまりにもギリギリに飛び出したから保険はあんまり下りなかった。俺はせめて葬式だけでも奮発して…と考えたけど俺の稼ぎじゃどうしようもなかったから妻の貯金で葬式を開いた。」

「そのことが周りの人からはありえなかった。ですよね?」

「詳しく知ってるじゃねぇか。そうだよ。俺は最低人間として周りから見られた。妻が優秀だから仕方ないとは思ったよ。誰だって喧嘩はするだろ?それで死んじまうなんて誰が考えるんだよ。事故死したのも俺のせいだと裏で言われまくって妻は騙されたとかどうして俺を選んだのか理解が出来ないとか散々言われてたんだ。飯もなんでも任せてばっかだから右も左もわからないまま俺は何からすればいいかもわからなかった。俺は自暴自棄になりギャンブルにハマったってわけだ。」

目線を落として話していた男性はあきれた顔でまた話す。

「酔ってもねぇ時に自分の口から話すとますます惨めだな。分かってるんだ、現実から逃げてるだけだって。でも人間そんな簡単に忘れねえし、強くないんだよ。お前らみたいに乗り切れる人間ばっかじゃねぇんだよ!!」

感情的になった男性は急に叫んだ。今までずっとため込んできた不満をぶちまけるように話して泣いてしまった。心を保つために逃げた先がギャンブルだったために周りから冷たい目で見られ頼れる人も居ないなか頑張って生きてきたのは男性だった。周りの人が手を差し伸べてくれたのにと言われても差し伸べてきたのは裏で色々言っていた人たち。その手を取れる訳もなく沼にハマっていったのだ。

男性は嘆く。「俺に勇気があればすぐにでもあいつの元に行くのに…」と
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...