【完結】貰い屋さん 【全13話】

なつ

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ギャンブル依存の男③

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男性は嘆いた。「俺に勇気があればすぐにでもあいつの元に行くのに…」と。どうすればいいのかわからず逃げてきたのだ。少年は問う。

「今の貴方の願いはなんですか?」

男性はその言葉を聞くと呆れた顔で言う

「安らかな死と答えられたらいいのに今の俺は金しか思いつかねぇ。今の生きる喜びは当たる感覚なんだよ。それには金がいる。嘘ついて誤魔化せられるなら嘘でもつくだろうがどうも全部見透かされているような感覚で嘘を言う気にもならねぇ。最低だろ?妻が聞いたら悲しむんだろうな…」

それを聞き少年はニヤッと笑い本当の少年のようにはしゃぎだした。

「実はですね?僕おとぎ話に出てくる貰い屋さんなんです!もしあなたの【なにか】を貰えるなら対価として貴方の望むお金を差し上げましょう!どうです??やりますか?!」

話ながら男性の座る椅子の後ろに立ち提案した。

「どうせ健康とか臓器っていうんじゃねぇの?かといって俺他に何も持ってねぇしな。それ以外ならなんでもいいよ。」

その言葉でまた少年の雰囲気がガラリと変わり男性の顔を覗き込みさっきの口調で話出す。

「もちろん体に関わるものは貰いません。なんでもいいっておっしゃいましたね?何も聞かずに貰ってもいいのですか?」

「いいって言ってるだろ!!俺にはもう何にも残っちゃいないんだから…」
叫ぶと同時に少年を振りのけて立つ男性に静かな声でこう言う。

「わかりました。ではお望みのお金は現実に戻ってからっということで…では、いただきますね!貴方の【幸せ】を…。」

「え?」

その言葉を聞いた瞬間体の力が抜け地べたに倒れ意識が朦朧とする。

幸せってなんだ。なにを取られるんだ。くそ、話す力も入らねぇ。くそっ

そして男性は目を覚ました。

「なんだか長い夢を見てた気がする」その一言で体を起こしもう朝だった。ギャンブルにハマっても会社は辞めなかった。お金が必要だから。ブラック企業で安い給料の中必死に働いて稼いだお金も全てギャンブル。それでも幸せ。だった。

仕事終わりに必ず行くパチンコ。何故だか今日は行く気になれない。昨日飲みすぎて頭が動いてないからか、とも思ったが毎日毎日店の前に行っても入る気になれない。日課だったから試しにやってみてもどうしても楽しくない。

そんな日々の中、一通の手紙が男性の家に届く。それは銀行から。

内容は亡くなった妻の貯金が溜まったとの通知。仕組みはよく分からなかった男性だが妻の給料を自動的に貯めていた機能で男性は大金を手にした。

100万という大金を。今の男性にとっては救世主。でもこの瞬間忘れかけていた感情を思い出した。

「これで当てればもっと多くなる。」

そう思いパチンコに向かう男性。お気に入りの台があるのだがなんだか今日は違う台を選んでいた。理由はわからない。けどなんだかこの台に引き寄せられたように椅子に座る。

結果は大当たり。妻の貯めたお金で当たったのだ。

でも男性は全く嬉しくなかった。お金が手に入ったのは助かるし、本当に良かったと思う。しかし当たった事に対する幸せが全く感じ取れなかった。妻のお金でしたのが罪悪感なのかはわからない。

家に帰って来てもう一度届いた通知を見てみるとそこには妻のメッセージがあった。

「誰がなんと言おうと私はあなたを愛しています。」

こう書いてあった。何故死ぬ前に書いた内容が何故自分宛なのかはわからない。けどこれは妻が正しい道に戻るためのきっかけを作ってくれた。そう思った。

この日から男性がパチンコに行くことは無くなった。

妻に恥ずかしくない生活を送る。そう心に決め男性は新しい道に進んだのであった。
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