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1.転生

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ミレイは日本人として生きていた時にある事件をきっかけに部屋から出れなくなった。その様子を心配して友達が今ハマっているという乙女ゲーム「溺愛物語」というタイトルがダサいゲームをすることになった。タイトルの名前とは反対に物語はしっかりとしていてそこそこに楽しめると思った矢先の推しの登場。

推しの名前はマリア・エルトリス。腰まである長い黒の髪に紫の瞳。強くてカッコいいその姿にミレイは好きになってしまった。物語での主人公は男爵令嬢で学園に入学し攻略対象者と出会い恋をする。マリアはそれを邪魔する悪女令嬢。マリアが一番出てくる皇太子ルートばかりを選んで攻略しマリアが幸せになるルートは無いかと本来の遊び方ではないやり方で楽しんでいた。その日もいつもと同じようにゲームをして眠りについた。

そして次に目を開けた時には全く知らない天井が見えてミレイは焦った。「またあの男が何かしたのではないか」と。そんな心配はすぐに吹き飛ぶほど横にはメイドらしき人がいて着替えから全てしてもらいミレイは理解が出来なかった。ミレイ様と呼ばれ顔も自分の顔そのままだったから余計にわけがわからない。

でも家の周りの風景は日本とは思えないほど土地が広くて言葉が出なかった。その綺麗な風景をみて落ち着き記憶が混乱していてたが整理してみると自分がいま今前世の記憶を思い出したことに気がついた。たしかにミレイはこの世界に生まれて育った。そしてたった今記憶が戻ったのだ。戸惑ってる自分の前に見慣れた顔。そこには前世と同じ顔をしたお母さんとお父さんがいた。なんで今まで前世を思い出さなかったのかはわからない。

「お母さんとお父さんも転生したの?」と聞いても少し黙って「疲れているのね…」しか言われなかった。自分の知ってる2人じゃないと気が付いたものの心配させたくないミレイはもう何も聞かなかった。

ここはドラリル王国。貴族の娘として皇太子の名前は知っている。皇太子の名前はアスカルド・カラリ・ドラリル。「溺愛物語」に出てくる名前と同じ。しかも今日来たという手紙は学園への入学通知。ミレイは確信した。乙女ゲームの世界だと。記憶が戻ったのは物語が始まる直前だからなのかわからないことばかり。

だけどたった一つ嬉しいことがある。推しに実際に会えること!この世界のミレイは15歳。少なからず15年以上前に日本の自分は死んだか何かあったことになる。自分を心配してくれた友達、日本の両親。今考えてももう遅いかもしれない。それでも後悔せずにはいられなかった。
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