離縁宣言から始まるオリビアの下剋上

なつ

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帝都に入るための大きな扉が開いたのは13時過ぎの事。

「皇帝陛下よ!」
「もう少し滞在期間は長いはずだが…。」
「新たな皇太子殿下が誕生したのだから飛んで帰ってくるのは当たり前だろ!これで皇太子殿下は皇帝陛下となるのか。」
「子供が誕生し水晶瞳を確認してはじめて皇帝陛下と皇后様になるものね!」
「陛下おめでとうございます!!ばんざーい!」
「陛下が帰還なさるから13時を過ぎてもまだ報告がないんだな!」

ハロルドは子供が産まれた事は知っていたものの皇宮内で水晶瞳ではないことが発覚したのは知らない。皇太子が情報を流せば罪になると宣言したからだ。早馬で報告するための従者の耳にすら入っていない。

「くそっ目の色も確認せずに発表しおって!!しかも昼から直々に発表だと?!どうせ水晶瞳じゃないことが発覚して何も対応できとらんのだろう。使えないやつめ!やはり血は底辺貴族。人間の作りが違うのだな。さっさと洗脳させて余計なことをしないようにしておくんだったっ!」

ハロルドは自身の寿命を使わずに能力を使う方法を帰っているなかで必死に考えた。思いついた方法はこれからの考えを変える方法。過去の自分と現在の矛盾に違和感を抱え洗脳が溶けてしまう可能性は高いが愛していた人に裏切られ本当の愛に気が付いたという風に洗脳する作戦を考えた。

「さっさとこの仕組みに気が付くべきだったんだ!あのバカに本当の事を話してもボロが出る。何も話さずただの操り人形になれ!オリビアのようにな…。」

宮殿が見えるとまだ小さい姿しか見えないにも関わらずオリビアはもう既に頭を下げてお出迎えをしていた。

憎まれすぎたためにオリビアは離縁と同時に宮殿を追い出されていたり逃げ出していたら…と心配していたがその様子を見てオリビアの洗脳が健在だったことに安堵する。

洗脳されていなければ逃げ出したいほど惨めな状況なはずだから。

「皇帝陛下にご挨拶申し上げます。長旅ご苦労様でした。お変わりないでしょうか?」

淡々と話すオリビアに苛立ったのかハロルドは「そんな場合ではないっ!」とオリビアの頬をひっぱたいた。八つ当たりする相手が仮にも息子の妻という立場なのにハロルドは本当に人を道具としか思っていない。

「陛下っ…女性の頬を叩くのは…」

近くの従者が驚きつい口から言葉が出てしまったのだろう。プライドの高いハロルドがそんな言葉を許せるはずもなく…。

「なぜお前如きがワシに進言する?お前はもう帰れ。もう用済みじゃ。こやつはどうせ何も思わない。自我というのを持ち合わせてないからのぉ。」

殺されないだけ運がいいがフレデリックと同じようにたった一言で職を失わせる。

オリビアは心の中で(本当になんで私叩かれなければいけませんの?全然余裕でイライラしましたが…。しかも感情を無くした本人が何をおっしゃっているのです?でも私の為に発言してくれた男の人はクビになってきた人、殺された人沢山見てきたはずなのに頬を叩かれたぐらいで心配してくれるだなんて…。私がこの国を取り返した時にはあなたをもう一度雇います。だからもうしばらく待っていてください。心優しい人。)

今まで何も思えなかった代償か、洗脳が解けた後に初めて接触したハロルドへの言葉が止まらない。

オリビア心に思った言葉を誤魔化すために薄ら笑いを浮かべる。

「気色悪いやつめ。恋しくて仕方ないのに子が産まれてもこの調子か。フレデリックはどこにいる?」

「はい。執務室に。」

「子と母親は?」

「申し訳ございません。私は別の宮に移動しておりお見かけする事自体なかったため存じ上げておりません。自室にいらっしゃるとは思いますがその自室の場所も…。お子様については発表する際の情報しか持ち合わせておりません。」

「使えないな。別宮のぉ。子を作って離縁宣言するほどお前が嫌いだったとは…。フレデリックの感情の隠し方は上手らしい。ワシにはわからなかったよ。オリビア…これからフレデリックとの間に起きた事柄をすべて報告せよ。食事などではない。夜のことも全てだ。」

ハロルドは従者に見えないように目を光らせ耳元で呟いた。まさかこんな堂々と洗脳を仕掛けられるとは思っておらずオリビアは能力の影響を受けた。指示されたのが報告せよではなく"再び愛せ"や"子を作れ"なら一体どうなっていたのだろうか。洗脳は解けていてフレデリックを好きではない今は簡単に解ける洗脳だったが油断してはならない。

ハロルドはオリビアに指示した後、フレデリックが居る執務室に向かっていった。ハロルドに夜の指示までもされてしまい一人になった瞬間気分が悪くなる。なんでそんなところまで管理されないといけないのだろうと。常に持ち歩いている手鏡を取り出し自身にかけられた報告の洗脳を解く。

さっさと皇族の血を引く子供を産めという事だろう。フレデリックは洗脳されるのか本当の事を話し協力させるのか。その違いで今後の対応が変わってくる。

「それにしても中々強くたたかれたわね…。まだ赤みが残ってるし…さて、皇帝陛下様は一体どのような手段に出るのか楽しみだわ。」
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