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4.魔力の差

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マリア「え…?貴方いきなりなんですの?」

見たこともない生徒にいきなり文句を言われて動揺するマリア。マリアは持っているタブレットを見てリンを調べる。

マリア「リン??全く聞いた事のない名前ですけれど私に意見しようなんて貴方何様ですの?無礼すぎますわ。」

リンは自分でもなんで反論したのかわかっていない様子だったが言ってしまった事は仕方ないと思った事をマリアにぶつける。

リン「なんでぶつかっただけなのにこの子が悪い事になってるの?お互い様でしょ!しかもこの子の得意魔法は回復なんだから他の魔力が低くても問題はないはず!」


マリア「私は貴族ですよ?そこら辺の凡人は避けて歩くのが当然。貴族は英雄であり、敬意をはらえと、そう習いませんでしたの?回復魔法が得意?もっと上はたくさんいるのよ?何甘い夢に浸ってますの?回復魔法の使い手だからって最前線で戦わないとしても貴方たち平民は努力をしてもっと魔力を上げないと役に立たないじゃない。」


リン「それを決めるのは貴方じゃない。この学園が入学を許可したからには何も問題ないはず!貴方にそんな事を言われる筋合いはない。確かに私を育ててくれた人は貴族は偉大だと、この国を救ったと教わりました。」

マリア「なのに貴方は今私に意見している。可笑しいと思わなくて?それともただの馬鹿なんですの?」

リン「でも、敬意をはらえなんて教えられてない!確かに目上の人には敬意をはらわなくてはいけない、なのになんで同じ学園の同じ学年の人に敬意をはらわなくちゃいけないの?この学園は皆平等を掲げているでしょ!みんな同じ生徒であり貴族とか関係がないと。私はそう聞いた。」

そう。それはこの学園の問題視されている事。貴族は目上の人ではあるが、同じ学園内に入学した時点で皆平等というものを掲げている。貴族に関わらず魔法力が上のものには逆らえないというのが風習になっていた。そういう差別制度が生まれているのが今の現状。こんなの間違っている。と不満を抱えている生徒も多い。

貴族は英雄だが、立場が上ではない。しかし、国を救ったという事と貴族と呼ばれている事で敬意をはらえと代々親から子に伝えられてしまった。それは目を付けられると潰されるかもしれないという不安から。

学園に関わらずこれはこの国問題。その差別制度に影響が出やすいのは魔法学院。確かにカナリア様や会長のように優しい貴族もいる。だがそれはほんの一部に過ぎない。差別せずに接してくれる。カナリア様と会長が人気なのはこういう理由かもしれない。

リンは思った。こんな世界間違っていると。何故そう思ったかは分からない。理由もない。あの人がそう言っていたから。
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