上 下
7 / 97

5.存在価値

しおりを挟む
「でも、敬意をはらえなんて教えられてない!確かに目上の人には敬意をはらわなくてはいけない、なのになんで同じ学園の同じ学年の人に敬意をはらわなくちゃいけないの?この学園は皆平等を掲げているでしょ!みんな同じ生徒であり貴族とか関係がないと。私はそう聞いた。」

リンは思っていること全てみんなが見ている前で言ってしまった。
これはみんなが思っていること。周りの人たちはうつむいたり、コクコクと頷いている人もいた。
逆に貴族に気にいられようとするものはリンの言葉を否定する。

「マリア様にむかって失礼だぞ!」
「どうせそんな事を言う奴はきまって魔力がないんだよ笑」
「そういう奴は目立ちたがりと昔から決まっている笑」

マリア「まぁまぁそんな事図星過ぎて可哀想よ~まずは確かめないとね!魔力量」

そう言うとタブレットを見てフフッと笑った

マリア「貴方どうやってこの学園にご入学されましたの?お世辞が言えないぐらいの魔法力ですけど…お金にでも頼りましたの?先程シノーラさんの魔法は回復だから問題ないとか喚いていらっしゃいましたけど貴方はどれも平凡以下、いえ、生活に支障がでるほどの魔力量ではなくて?この方が実戦で役に立つとは思いませんわ。学園長は何を考えてご入学させたのかしら。」

それはリンも思っていた事。リンには魔法力がほぼない。それでもこの学園に入れた事。言い返す言葉が見つからないぐらい図星…そんなことを思って下を向いていたリンの所に誰かが来た。

「そこまでよ。皆さん自分たちの寮に帰りなさい。」

透き通る凄く綺麗な声。聞いた事ある声の先に会長…エルティア様がいた。

流石は会長その言葉だけでみんなの意識が会長に向く。

「少しの間話を聞かせてもらいました。マリア、上には逆らえないのよね?今日は大人しく自分の部屋に戻りなさい。」

その言葉にマリアが意見をする。

「し…しかし、会長」

「戻りなさい。」とマリアを睨む。

その威圧に負けたのか「私が悪いのではないわ!態度を怒っていたのです。この方の魔力の少なさを見れば会長も分かるはずです!行きますわよ!」

と取り巻きらしい人を連れてマリアは去っていった。

マリアが帰る事で周りにいた生徒も徐々に帰り出す。いつの間にリン、カナリア様、シノーラさん、そして会長だけになっていた。

「やっと静かになったわね…。」

何かを企んでそうな笑顔でニコッと笑った。

「笑っても綺麗…。」と口から洩れてしまっていた。でもこの企んだ顔に違和感を覚えるリン。きっと私の魔力量を知っているからだと俯く。

その時のマリアは去りながら怒っていた。

「もう!なんなんですの!誰でしたっけ!?リン?むかつきますわ!!何故私が憧れの会長…エルティア様が…」

と言いながら廊下に居る人たちに道をあけさせてズカズカと歩いていく

「全てはリンのせいですわ!覚えてらっしゃい!次こそ会長様に気に入られて見せますわ!リンに目にものをみせてあげますわ…。」

不気味に笑い自分の部屋へ戻っていった。
しおりを挟む

処理中です...