上 下
33 / 97

31.見学

しおりを挟む
今日は会長エルティア・アルトリスさんのクラス3年3組の見学させて貰えることになり、魔法も教えて貰う約束をしたらしくリンとカナ、シノの3人で行くことになった。

1年生は特定のクラスに「教えてほしい」と言えば教えて貰える制度がある。大体10月ぐらいまでだ。それ以降は個人のやりとりとなる。

その特定のクラスと言うものは3-1は1-2.1-4。3-2は1-3.1-7で3-3は1-1.1-5。そして3-4が1-6。

それはランダムでくじ引きなどで決められる。
リンたちは当たりクラスといって会長直々に教えて貰えるのだ!

サドワード学園1年生のクラスは7クラス。そこからどんどんと生徒が減っていく。それは各学校それぞれだ。3年生の優秀な生徒は実践活動を行い、実際の魔法師の元で戦い方を学ぶ。会長の実践活動回数は他の生徒とは比べ物にならない。

その中で挫折したり、怪我をし、戦えなくなったり、時には命をも落としてしまう。

その事を事前に説明され契約の元戦場へ出ているのだ。危ない遠征などは基本的にいかないが悪魔はいつ出てくるかわからない。生徒を含め全滅だった例もあるという。

会長の学年は今4クラスしかない。

魔法師は不足しているにも関わらず悪魔などを見たことない生徒が多いため、見てしまった最後自主退学をする生徒が続出するらしい。

やはり自分が1番可愛くて死にたくないのだろう。
どれだけ「国民のため。」「世界の平和のため」など言っていても自分の最後を自覚した時には魔法師になったことを後悔するものも少なくないだろう。

今のところ自主退学が1番多い理由だと言う。

夏休みなどで一旦家に帰ったときに魔獣と出くわし、戦い、命を落とす。サドワール学園の生徒だから戦えるなどと周りの勝手な思い込みで戦いをするしかない状態など様々だ。

魔法師部隊に戦えると判断された生徒が実際に厳しい戦場へ派遣される実践活動もある。会長の他にも書記のエレノアさんもその実践活動を経験している。かつて副会長だったアルアインと言う3年がいたらしいがリンたちが入学する少し前に悪魔と戦い死亡した。魔法師としての素質があり、みんなから愛されていたという。

亡くなった次の日には全校生徒での黙祷が行われた。

それだけ命と隣り合わせの仕事だということ。それを理解しなければならない。

生半可な気持ちで魔法師を目指してはいけない。

会長のクラスとは言っても1年生みたいにクラス対抗がある訳ではなく、個人戦やグループ戦が主な競技。

実践ではクラスほどの大人数では動かないためだろう。

3年3組が練習しているという演習場にはきたもののみんなそれぞれ自分の練習をしており、1年生とは比べものにならないほどの魔法と目つき。覚悟が出来ている目だった。

リンたちはこんな所にきてよかったのかと3人で目を合わす。そこに...。

会長「あっ!来たのね!ようこそ!3組へ!」

カナ「エル姉...。私たちこんな所に来てよかったの?!ものすごく場違いな気がするんだけど...。」
と小さな声でコソコソ言う。

会長「全然大丈夫よ! 気にしないで?」

カナリア「気にするに決まってるじゃない!」と思わず叫んでしまった大きな声で集中していた周りの人達も3人に気がついた。

「会長~!今日来ると言っていた子達だよね?」
「あ!貴族のカナリア・マーベラスさんね!よろしく!」

カナリア「あっ。はい。あ!よろしくお願いします!」

「緊張しているの?そんなに身構えなくても大丈夫よ!」と笑顔で話してくれる人。

「会長~この子達の指導さ~会長自ら教えるんだよな~?」と会長に尋ねる男の先輩。

会長「まぁそうなるかしら、時間が許す限りだけどね。あまり時間もないし、さっそく始めるわよ?」

3人は声を揃えて「はい!お願いします!」と頭を下げた。
しおりを挟む

処理中です...