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52.対策

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会長「チャーロ家の元当主、エマール様の訃報は聞いていたけれどリンさんが関わっていたとは想像も出来なかったわね。現当主のエリーダ様が試験を受ける為に準備してくれたというわけね。」

カナリア「エリーダ様の性格もそうだけどサドワール学園側が贔屓することは無い。」

会長「えぇ。1000点満点は実力…。」

リン「えっ。待ってください。私が1000点満点をとったのですか?」

会長「まぁ普通は点数なんて公開されませんもんね。あなたは不正をせずに1000点満点をとった前代未聞の生徒となっています。1000点とは行かずとも筆記だけは自信があったのでは?」

リン「いや、恥ずかしながら勘で書いたような答案だったんです。なんの根拠もなしに書いたものばかりで…」

会長「そう…。ますます記憶を思い出して欲しいわね…。記憶がなくてその頭脳なのですから…」

カナリア「エリーダ様がリンの記憶が無いと知っているならレイル先生も知ってるかもしれないね。」

会長「そうね。エリーダ様とレイル先生は古い同僚だと聞くし、学園長も知っているでしょう。そしてリンさん。貴方は恐らく魔力をほぼ必要としない魔法が得意だったのでしょう。高速移動の上位魔法、瞬間移動も近々出来るようになるかもしれないわね。透視能力の頭痛は記憶と関係していると考えるのがいいわね。」

会長「と!に!か!く!リンさんには1組の指示を任せたいの。透視能力の練習と作戦の立て方。本戦では1.2.3校の3クラスで戦うのだから今までとは全然違う戦いになるけれど、やるだけやって見てほしいの。」

リン「大丈夫です。自分でもそうすべきだと思っていましたから。」

会長「3校はやはりジン・ベアードのクラスが本戦に上がったらしいし、影魔法の対策も考えないとね…。」

影魔法。ジン・ベアードは黒い髪に赤みがかった黒色の目をしている。影魔法はベアード家にしか扱えない古代魔法。影を操り、影の中を移動する。光魔法を得意とする会長の魔法とは相性が悪すぎる魔法。

ベアード家は魔法の情報が外に出るのを嫌う。息子にしか影魔法は教えず教えれるのは3人までと決まっている。息子の誰かが当主を引き継いだその日にほかの息子達は影魔法封印の儀が行われる。

そんな古風なやり方ではいつか貴重な影魔法が途絶えると言われてもそのやり方をし続けている貴族なのである。

しかし、ジン・ベアードはそんな古い家の言うことを聞くわけないだろといいテレビには普通に出るし、競技会でも影魔法を使う。長男であり、1番の問題児。でもそんな問題児の魔法を封じ込めないのはジンが歴代当主以上の魔力の持ち主だから。

そんな貴重な息子の魔法を封印出来るはずもなく、今はジンがやりたい放題というのが世間の認識。

ジンはもちろん透視能力者の情報を手に入れている。そしてジンのクラスには透視能力者がいる。しかし、競技会の時にその能力を使わせていない。完全に本戦を意識した戦い方。影魔法はとことん使うが、秘密兵器はまだ見せたくないというのがジンの考えだろう。
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