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53.リンについて

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エリーダとレイル先生が小さなカフェで話している。

エリーダ「急に呼び出してなんだよ…リンについて何かわかったのか?」

レイル先生「サドワール学園が競技会の校内戦をしたのは知っているだろう?」

エリーダ「あぁ。どこかで聞いたな…」

レイル先生「リンはそこで透視能力を発現した。」

エリーダ「なっなんだって?!」と思わず机を叩く。

エリーダ「ホルスの目でも珍しいのに透視能力だと!?魔法士の中でも10人いるかいないかだぞ!」

レイル先生「あぁ。だからお前をわざわざ呼び出したんだよ…」

エリーダ「なるほどな…そりゃ呼び出されるわけだ。」

レイル先生「お前こそリンについて調べると言っていたが何かわかったのか。」

エリーダ「残念ながら何も出てこなかったし、片っ端から調べたけどリンが存在してた証拠も出てこない。しかも透視能力者…。記憶が無いのに競技会で運良く発動したと考えるより昔使ったことがあったと考えるのが普通だろ?元々透視能力者だとしても普通の子供だとしてもこんなにも情報がないとか正直異常だ。」

エリーダ・チャーロ。情報が欲しければエリーダに…と言葉が出来たほどエリーダは情報屋として貴族の間では名が知られている。チャーロ家は電気魔法を得意とする家系。エマールさんは戦闘するための魔法だったがエリーダは違う。小さな電力を操り機械系に入り込む。時には情報を抜き取り、時には大きな機械を操りながら魔物と戦う。

エリーダ「本当に記憶が無いかも分からなくなってさぁ、部下に記憶を見ることが出来るやつがいたからリンに接触させたんだよ。本当に何も覚えてない。断片的な物もだ。リンって名前と親が居ないことしか出てこなかったとよ」

レイル先生「記憶喪失と言っても今のこの時代じゃ医療や身体強化の魔法が発達しすぎて記憶喪失になる程のダメージは受けにくい。魔力が少なくてされるがままだとしてもだ…。」

エリーダ「レイル。リンに何かあるのは確実だ。姉さんがリンを見つけたという森へ私は向かおうと思う。記憶は人間じゃなくても見れる。植物の記憶は便利だぞ」

レイル先生「それは助かるがお前しっかり当主しているのか?」

エリーダ「失礼だな。またそれを言われるとは思わなかったよ。私は元々旅癖があるんだから仕方がないだろ??」

レイル先生「その癖のせいで何回周りが振り回されたと思ってるんだ。」

エリーダ「悪かったよ(笑)まぁやらなくちゃいけないことはしっかりやってるよ。姉さんほどには上手く出来ねぇけどさ。」

レイル先生「リンのことについては頼んだぞ。わかり次第連絡頼む。」

エリーダ「わかってるよ。いい知らせを持ってくる」

透視能力という貴重な能力を持つリン。2人は何とかリンの記憶を戻し、力があるならこの終わりのない戦いを終わらせたいと日々思う。
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