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61.リード

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あいつは何者なんだとジン自身も肌で感じた。

ジン「最初は半信半疑だったんだ。でもあの人の頼みだからって挑発したのにまさかこっちが驚かされるとはな…。リード…。俺は本格的にあいつの正体を暴く。協力してくれ。」

リード「もちろんですよ。我が主の仰せのままに。」

ジン「さっきも言ったようにクラス対抗で俺は一度離れる。その時は任せたぞ。俺たちの切り札はお前だ。リード。お前の透視能力じゃおそらくあいつより劣るだろう。だが貴重な透視能力には変わりない。勝つぞ。絶対に。」

リード。彼は昔からジンのお世話役だった。年が同じであり完璧なボディーガードであり、最高の親友となるだろうと二人は昔から一緒に居る。マリアとマルクスのような関係だろう。しかしリードは透視能力があるからボディーガードに選ばれたわけではない。ジンのボディーガードとなった後に発現した。

それはジンが一度森に迷い、いなくなった時の事。リードは必死に探した。探して探しても見つからないその絶望から必死に願った。どうか主が無事に見つかりますようにと。その願いに答えるように透視能力は発現した。その覚醒のような透視能力のおかげで泣いているジンを発見できたという。

その発現にベアード家は喜び、家族は誇りだと喜んでくれた。ジンの為に魔法も沢山練習した。でも透視能力という特別な力には敵わない。リードにとって透視能力は自分の自慢であり誇りだった。

リードの家はベアード家に仕える家の一つでありベアード家に忠誠を誓っている。ベアード家はすごいのだと昔から教え込まれてきた。そしてジンに仕えることになったリードは家の事情…ジンの事情を知った。家の為に必死に努力しているジンを家の繋がりではなく自分自身が一生ついて行きたいと思うほどに依存し狂った忠誠に変わっていた。きっかけなんてもうわからないほど…。

そんなジン様の意識を急に出てきた透視能力を使うリンという少女にとられ気にしていたのにテレパシーをも使いだした少女に嫉妬する。

尊敬するジン様に「お前の透視能力じゃリンに敵わない」その言葉がどれだけリードを傷つけただろうか。でも顔には出さない。きっとこの狂った忠誠はジン様を困らせるだけ。

リードは静かに主を横取りする少女の正体を突き止めジン様を勝利させると心に誓う。

ジンはリードの狂った忠誠を当然知らない。クラスの人にも気づかれていない。クラスの人たちは口調を見れば仕えているとわかるがそこに深い忠誠があるとは全くしらない。

自分の知らないところであの人と呼ばれる人物と接触していたというのも気に入らない。でも自分は従者。主のやる事には全て「はい」と答え嫉妬はしつつも全ての行動は正しい。だってジン様は自分の唯一の主なのだから。
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