【全94話】魔力一般人以下、最強少女の秘密【完結】

なつ

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72.反撃

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影の中から出てきたリンに驚き、ただ叫ぶことしかできなかった。

ジン「お前…なんでその魔法の使い方を知ってるんだよ!それは…。その魔法はベアード家が代々受け継いできた特別な力なんだよっ!なんでお前みたいなやつが…それは簡単に使っていいものじゃねぇ!!」

ベアード家だけが使える特別な力…そう思っていた魔法を使われ一撃与えられただけでもプライドが許せなかった。なによりリンも影の中にいたってこと自体気づけなかったことが悔しい。影の中で戦ったことなどないジンは相手の場所がわからないと思うことはなにもおかしくない。ただ使えないはずの奴が自分の居場所まで当ててきたことに腹がたって仕方がない。

するとさっきまでは気づかなかったことにジンは気が付く。そう目の色に。

ジン「お前、そんな目の色じゃなかったろ。普段はカラコンだっていうのか?それともなんだ…。お前…悪魔だとか言わねぇよな。」

その言葉を無視するようにジンの背後にリンは瞬間移動。そしてお腹あたりを押さえて猫背になっているジンの顔の前で左手をかざした。炎のような赤い光がパチッと見えた瞬間にジンは「さっきギリギリで避けたあの魔法がくる…くっそこの距離は避けれねぇ。」と傷を覚悟したものの攻撃を受けなかった。

覚悟してつぶっていた目を開けてみるとリンは不思議そうに首をかしげている。ジンは思った「魔力が足りねぇんだ。」と。これをチャンスと見るやジンは反撃にシフトした。

ジンは右手の甲に左手を添えて唱えた「影まとい」と。

ジン「出し惜しみしてる場合じゃねぇ。本気で行くぞ。」

影まといとは自分の影を体にまとい体の基礎能力を上昇させる魔法。

ジンの行動は正解だった。魔力が無くなったリンが取る行動は一つ。素手による肉体ダメージ。ジンはとにかくリンを戦闘不能にし、この競技から離脱させることを考えた。今のリンがリンなのかまた違う何者かなのかわからない以上ジンが倒れて野放しになる状態が一番最悪のケース。

戦闘不能と判断させるほどの魔法を打ち込むために必死で隙を探しながら殴り合いが始まった。

膨大な魔力を使う魔法の心配はないが、瞬間移動しつつ戦っている様子からして透視能力を使える魔力も残っているはず。

ジン「早めに決着つけねぇとまずいかもな。」

影まといで基礎能力を上げているにもかかわらず高速移動や瞬間移動でその差を埋められている。距離をとったら真後ろに、詰めたら一瞬で消える。影に入ってもリンも入って追いかけてくる。影の中ではリンの居場所がわからないのにリンは影の中でもジンの場所がわかる。おそらく透視能力で影の中を見ているからこそできる技だ。

ジン「このままじゃらちがあかねぇ。」

そういって影まといの影を強化し、先ほどとは比べ物にならない速度でリンの周りをまわる。目では追いかけれないはずの速度。リンの右斜め後ろに来た時に「今ならいける。」と背後から木を踏み台にしてリンの方に飛んでいきながら魔法を放つ。

リンの影を利用し、リンの足を拘束。そして右手の手首を左手でつかみながら唱えた。

「シャドウバレット」と。
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