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91.正体

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悪魔の羽と天使の羽…。その姿を見るやいなや悪魔たちは平身低頭して詫びた。

クラーリ「まさかっ貴方様とはつゆ知らず…ご無礼をお許しくださいっ!!」

リン「そんな詫びで許されるとでも?」右手の人差し指で指した手をクイっと下にすると詫びていた悪魔たちが地面に叩きつけられる。耐えている悪魔は居たが我慢出来なくなり地面を這いつくばる。重力を何倍にもして無理矢理平伏させる姿は魔王そのもの。

ジン「リン…。人間じゃなかったんだな。お前は敵か?味方か?」

話しかけることすら勇気がいる気迫。恐る恐る聞くも十士隊と呼ばれていた天使が返事をする。

天使「気軽に話しかけないでもらえる?!貴族と呼ばれている貴方でもお目にかかれるだけで奇跡なんだからっ!」

リン様「大丈夫だ。混乱するのも無理はない。敵か味方か…と聞いたな。そう聞かれればどちらでもないとしか言えない。基本私は何かに影響を与えてはならない。膨大な魔力ですべてを変えてしまう力は多くの制限がかかる。」

マリア「悪魔と思っていたら片方は天使の羽…。貴方は魔王ではないの?」

悪魔「魔王だ?!そんなダサい名前で呼ばれては困る!ここにおられるは《ドラキュール・リ・ミザエラ》様我ら有翼人を統べるお方ですぞ!」

ミザエラ「やめろ。その説明だと人間にしたら魔王という存在になるらしい。呼び方の違いだ。そして人間の歴史には誤りだらけだということも知った。だが魔王という名前とは…複雑な気持ちだな…。ダサいのは共感するぞ。」

カナ「ドラキュール・リ・ミザエラ…。」

アクムちゃん「呼び捨ては不敬だよぉ~?」

ミザエラ「よい…。不敬など人間にそんな気持ちは持つな。カナリア・マーベラス…。私は君の一族には弱いらしい。その魔力…懐かしく思う。」

カナ「あの…どういう。いや、そんなことよりリンは…。」

ミザエラ「申し訳ない。リンは私自身なのだが記憶を取り戻したことにより以前抱いていた人間の感情を感じれなくなってしまった。私はリンではあるが別人として考えた方がいい。カナの知るリンはもう帰ってこない。」

カナリアを愛称で呼ぶにも関わらず別人だと言われ呆然と立ち尽くす。

シノ「リンちゃんが…。もういない…?」

ミザエラ「シノ…。貴方たちとの思い出は実に楽しかった。だがもう今はその楽しいという感情がわからない。すまないとしか言えないな。でも守れてよかった。リンは最後までみんなの無事を願ってたよ。無事でなによりだ。」

エリーダ「お話中申し訳ない。味方ではないが敵でもないといってましたね。人間の歴史に誤りがあると。教えていただけるのでしょうか?悪魔や天使の存在。そして有翼人の事を。」

ミザエラ「もちろんだ。まず根本的に間違っているのは悪魔と天使の存在。」

そうして語りだした。人間側の誤った情報を正すために。
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