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2章 神様仕事

8.約束の日

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霊体の私は睡眠も必要としないみたいで睡魔がない。
ハルが寝た後自分が居た家に時々帰っている。私の部屋はそのまま残してくれているみたいでホコリもない。仕事が忙しいのに合間合間に掃除をしてくれているのはすぐわかった。

そしてその部屋で考え事をする。

ハルちゃんには会いたい。でも私の事は覚えていないし、会えたとしても私はハルになってて、、
あ、そっかハルの体に入るってことは私自身がハルになるということ。お母さんたちに話して信じてもらえるの?生き延びたとしても私はハルちゃんに会いたいってだけでハルを死なせてしまうの?

やっぱり私は生き返るべきじゃない。そう思う。ハルちゃんは確か今15歳って神様が言ってたな。最後に様子だけ見れるか神様に頼んでみようかな。

まだ決断したわけじゃないけどハルには生きてほしい。

今日は12月3日。ついにこの日が来てしまった。とても一瞬だった。死ぬ気満々なハルはいつも通りに学校へ行き変わった様子はない。

学校が終わって風呂も夕飯も終えて部屋に戻った。
椅子に座って急にハルが話し出した。

「話すタイミングがきたね。別に大したことないけど聞いてほしい。」

「私の親はね、私が産まれたその日に2人とも死んだ。母は私を産んだから死に、父は自殺だった。自殺した理由は母が死んでしまった悲しみと母が危ないと連絡が来てパニックのまま病院に急ぎその道中で人を轢いてしまったこと。焦りからなのかはわからないけどその場を去ったらしいよ、最低だよね。ものすごいスピードだったからその子は即死。何歳だっけな。小学3年ぐらいだったとおもうけど、まぁそんな感じで私はこの家に引き取ってもらった。幼い頃の私は本当の親は死んだよと聞かされてたけどまさか人を轢いてるまでは聞いてなかったよ。」

「知るきっかけはなんだったの、」

「簡単だよ、ある日急に避けられるようになった。中学生の時にどうやら私の親が子供を轢いて自殺したっていう噂が流れたんだよね、その時私は知らなかったし、何がなんだかわからなかったよ。で、聞いたら本当にそうだっていうじゃん。びっくりだよね。しかも私の面倒をみるのがストレスだったお母さんが周りの人に言いふらしてたんだよ!?「人殺しの子供をなぜ家で世話しないといけないの?!」ってね。まさかそんな事を言われてるなんて想像もできなかったよ。高校に入ってもその噂は流れてたからみんなから距離を取られてるってわけ。」

「その時のニュースとかネットにある…?」

「え?あーあると思うけど、待ってね」

話を聞いているうちに嫌な予感がした。この家は私の家から近かった。しかもハルちゃんは9歳で死んだ。同じひき逃げ。そのあとに犯人が自殺したってことも、、共通点が多かった。ハルのお父さんなわけない。違うという確信が欲しかった。

この世界は嫌なことばかりが的中し望んだことは自分手で掴まなければならない。

ハルのお父さんが起こしてしまった事故のニュースを見せてもらった。

このページを私は何回も見ていた。忘れたくても忘れることはできない記憶。ハルちゃんを轢いていった男。まさか、ハルのお父さんだったなんて、これは完全に神様にはめられたかもしれない。

あいつの血を引き継ぐのは嫌だ。でもハルも死にたがっている。
ハルには生きて欲しい。そう思う。そう思っていたのに、今この瞬間、あいつの子供なら「いいのでは?」と思ってしまった。
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