予想外の形で転生しちゃいました。

ミサ

文字の大きさ
2 / 2

第二話 ステン

しおりを挟む
俺は、鏡に映る自分の姿を見て、数秒固まる。
間違いなく鏡には、俺が書いた小説の主人公、ステン・フィルメリが映っている。


勉強に疲れ、家に居場所が無くなった俺の唯一の楽しみが、異世界小説を書くことだった。
主人公のステンを俺そっくりにし、自分が異世界で生活しているのを、想像しながら小説を書くのが、俺にとって最高に楽しかった。
主人公のステンも俺と同じく、優秀な双子の兄、リアと比較され、両親に見捨てられた男の子という設定だ。
年齢は、14歳。俺が、両親に見捨てられた時の年齢だ。
しかし、この世界では、勉強では無く魔法で二人の差が開いたという設定だ。
この世界の人々は、それぞれ属性を持っている。火、水、風など様々な種類がある。
しかし、自分の属性の魔法だけしか使えないというわけではない。
ただ自分の属性の魔法を使うと、他の人に比べて威力が高くなる。
俺、ステンは、氷という平凡な属性だったが、兄であるリアの属性は、最強であり最も珍しい三つの属性の一つ、光だった。
ちなみに残りの二つは、闇と爆裂だ。
魔法だけでなく、体術や剣術の才能も持っていた兄は、国内でトップクラスの魔法学校、パレラ魔法学校に通っている。
俺が住む国、エリクス国は、魔法では右に出る国はないと言われている。
それほどエリクス国の国民の魔術が優れているのだ。
そんな国が建てた国立魔法学校が、リアが通うパレラ魔法学校。
王族や貴族、また魔法の才能を持つもの、もしくは、珍しい属性を持つ者しか通うことができない。
このどれにも当てはまらない俺は、ほとんどの国民が通うダノン魔法学校に通っている。
両親や兄に見捨てられた俺は、この学校でやがて兄を超える魔術師になるために、必死に勉強している。


これが、この世界の大まかな設定だ。
設定を思い出すたびに前世の楽しかった記憶が蘇って来るが、別に悲しくもなんともない。あの家族のもとで暮らすよりよりは、この自分で作った理想の世界で暮らすほうが何倍もいい。
それにここは自分で作った世界だ。何もかも把握している俺なら無双できる日もそう遠くない!
そう思った俺だったが、現実はそう甘くない。
どうやら今は、最後に更新したエピソードの続きらしい。
深夜にエピソードを書き終えた俺は、もちろん続きを考えずにすぐ寝た。つまりこれから先の出来事は、自分でも予想ができない。
最後のエピソードでは、水曜日だったはずだ。つまり今日も学校がある。
この世界でも曜日や学校の仕組みは、同じだ。
一週間は月曜日から日曜日の七日間で、月から金は、学校。土日は、休みだ。
単細胞な俺には、こういう細かい設定が思いつかなかった。
まあ同じほうが分かりやすいしいいだろう。
俺は制服に着替え、学校に行く準備をする。
制服には、もちろんローブがある。理由はもちろんかっこいいからだが、実際に来てみると邪魔でしょうがない。
準備を終えた俺は、階段を降り、キッチンへ向かった。


俺の事を全く気にしていない親は、俺の分の家事もしないし、食事も用意しない。
しかし、実際にこの世界で生活すると、この設定で小説を書いたことに後悔しかない。
前世では、いつもキッチンでパンを取り家を出ていたが、この世界ではパンは貴重品だ。祝いの場にしか出てこない。
なので俺は、パンの代わりに数個の果物をキッチンから取り、俺が入っても気にせず食事を取る家族を横目に家を出た。
転生しても、俺の生活はほとんど変わらさそうだ。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

転生後はゆっくりと

衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。 日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。 そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。 でも、リリは悲観しない。 前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。 目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。 全25話(予定)

n番煎じの脇役令嬢になった件について

momo
ファンタジー
ある日、突然前世の記憶を思い出したレスティーナ。 前世、知識モンスターだった研究者の喪女であった事を思い出し、この世界が乙女ゲーム『光の聖女と聖なる騎士』だった事に驚く。 が、自分は悪役令嬢でも無く、ヒロインでもない成金のモブ令嬢だったと気付いて本編始まったら出歯亀しようと決意するのだった。 8歳で行われた祝福の儀で、レスティーナは女神イリスに出会う。女神の願いを叶える為に交換条件として2つの祝福を貰い乙女ゲーそっちのけで内政に励むのだった。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

処理中です...