吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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新たなる地へと向かう吸血少女

役割と合流

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 マップを見て、自分が移動した場所が埋まっている事を確認した。マップは3Dになっている。なので、宇宙までマッピングされていた。逆に言うと、ニュクスさんと飛んだ空はマッピングされてもその地上はマッピングされていない。つまりは全部回れという感じみたいだ。

「う~ん……石材はこっちで、鉱石はこっちの方が効率が良い。薬草系の群生地がこっち。意外と近くにあるから、素材は回収しやすそう。護衛を付ければ、皆でも出来そうですよね?」
「そうね……何人か……常駐させれば……安心出来ると……思うわ……」
「アーサーさん達に頼んでみます。英雄の皆なら安心出来ますので」
「そうね。それが良いと思うわ」

 ニュクスさんとガイアさんも同じ意見だった。英雄の皆なら安心出来る。開拓領域に戻ってきた私は、モートソグニルさん達が用意してくれた資材入れに石材などを入れていく。
 そして、【血中生産】で地図を生産して石材などが採れる場所を記して、看板に立てておく。これだけだと迷子になるかもしれないので、持ち運び用の地図も用意しておいた。

「これで良し。アーサーさんを」
「呼んだか?」

 いつの間にかアーサーさんがいた。本当に皆いつも突然現れるから驚いてしまう。

「呼んでいるのが分かったから来たが、どういう状況だ?」
「この場所の開拓中です。ここを作るための資材が開拓領域の外側にあるので、モートソグニルさん達が資材を取りに行く時の護衛をお願いします。ランスロットさん達にもお願いしたいです。しばらくは派遣よりもこちらを優先します」
「分かった。こっちに何人か常駐させよう。開拓の手伝い自体はどうする?」
「アーサーさん達は護衛のみでお願いします。モンスターの襲撃がないとも言い切れませんので。常に帯剣を」
「なるほど。その方向で指示を出そう」
「お願いします」

 アーサーさんがランスロットさん達に指示を出しに向かったので、私はモートソグニルさんの元に向かう。

「モートソグニルさん。資材についての話なんですが」
「ん? 目処が付いたか?」
「はい。この地図のこっちに石材が、こっちに鉱石が採れる岩山があります。基本的に何度でも採れる事をガイアさんと確認済みです。採取に向かう際は、アーサーさん達に護衛を頼んでから行くようにしてください。モンスターがいますので。モートソグニルさん達が強くても、戦闘にしっかりと慣れているアーサーさん達がいた方が安全ですので」
「おうよ。安全に多くの資源を採れるようになるからな。ひとまず嬢ちゃんの家の広さを決定したが、こんなもんで良いか?」

 モートソグニルさんに言われて、私の家予定地を見る。広さ的には、私の屋敷よりも狭い。でも、普通の一軒家くらいはある。

「今後増築予定だ。限られた資源で良いものは作るがな」
「基本的にはヘスティアさんの暖炉を置ければ良いですよ」
「ふむ。なら、この形のままでいけるな。野郎共! このまま進めんぞ!」
『うす!!』

 建築が始まっていくので、取り敢えず家の建築は大丈夫そう。次にやらないといけないのは、資材を集めて住人用の家を建てていくのと畑を作る事。そして壁を作る事だ。これはモンスター対策として必要なものだ。

「壁の建設……最初は木の柵で良いかな。どうせ広がるし」
「広げるには住人が必要だよ」
「護衛で常駐する人達がいるから住人としては問題なく突破すると思う。モートソグニルさん達も常駐するだろうし。ところで、アカリはいつの間に来たの?」

 気が付いたら隣にアカリがいた。私が開放して、ギルドエリアから直接飛べるようになっているから、アカリでもすぐにダウンロードコンテンツを遊ぶ事が出来る。ギルドエリアで色々とする事があるから、今日中に来られるか分からないと言っていたけど、何とか来られたらしい。

「ところで、ここどこ? 私の地図だと、この場所しかマッピングされてないから分からなくなってて。掲示板とかの情報と違うみたいなんだけど……」
「そうなの? 掲示板情報だとどうなってるの?」
「取り敢えず、海は見当たらない。近くに城の跡のようなものがある。遺跡が近くにある。そんな感じ」

 ここに来るまでに城の跡はなかったし、遺跡も見ていない。森ばかりが続いていた。

「ふっ……そんなアカリに教えてあげよう。私はまともな始まり方をしていないという事を」
「あっ、そうなんだ。まぁ、ハクちゃんだもんね」

 アカリは私がまともな始まり方をしていない事を即座に納得していた。ちょっと不服である。

「私だって邪神の空間に突っ込むとは思わなかったし、その後に宇宙空間に出されて、巨大な少女をみたり、大気圏突入中に馬鹿でっかい龍を見るとは思わなかったし」
「わぁ……何言ってるか分からない。邪神って邪神の依り代ってやつじゃないよね?」
「うん。真っ黒空間で真っ黒な靄の攻撃をひたすら受けた感じ。神殺しがボロボロになったけど、空間を割って出た感じ。最後は手を振って別れたよ」

 私が手を振り合ったというと、アカリは訝しむような表情になっていた。

「黒い靄と?」
「ううん。その時は常に身体が変化しているよく分からない生物だった」
「え? てか、なんで手を振ったの?」
「え? 何か振られた気がしたから」

 アカリがジト目になった。ジト目のアカリも可愛い。

「……ハクちゃんってそういうところあるよね」
「何が?」
「相手に合わせちゃうやつ。相手が特別うざい相手じゃなかったらそうなるでしょ?」
「まぁ……そうかもね」
「というか、そういう特徴の邪神って……ナイアルラトホテップじゃない?」
「何か聞いた事あるような気がする……何も覚えてないけど」

 名前は引っ掛かるけど、その邪神に関する情報は一切出てこない。

「色々な姿に変身する邪神だよ。クトゥルフ神話のやつ。行動的にはちょっと微妙な気もするけど、何かその可能性がありそうじゃない? 姿を変えるのと邪神ってところから考えたものだけど」
「う~ん……そもそも分かっても会えないから意味ないしなぁ。お母さんとかは知ってます?」

 実際に名前が出てくれば、ニュクスさんとガイアさんが知っているかもと思って二人を振り返ったけど、二人とも首を横に振った。

「知らないわ……」
「聞いた事がないわね」
「なるほど……まぁ、考えても仕方ないから考えるのをやめましょう。取り敢えず、アカリに色々と説明するね」
「うん。よろしく」

 こうしてアカリも合流し、開拓が進んで行く事となる。
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