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吸血少女は救いの手を差し伸べる
リリィルーナ攻略に向けて
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夕食までは時間があるので、開拓領域に戻った私は海に向かう。すると、すぐにメイリーンが顔を出してきた。
「メイリーン、丁度良かった。ちょっと話があるんだけど」
「何々?」
メイリーンは楽しそうに砂浜に身体を乗り出した。これが空元気なのかは分からないけど、普段通りに振る舞っているのは確かだ。
「私達がシキドウジを倒したから、これから先十の存在は倒せると思う人が増えると思う。そうしたら、メイリーンを倒そうと考える人が出るかもしれないの。だから、なるべく私達の敷地にいて欲しいんだ。色々な問題を解決するために、海側にも壁を作ってメイリーンと港を守りたいの。どうかな?」
メイリーンと私達の港などを守るために海に壁を作る。海に暮らすメイリーンが拒むのなら、この壁は作らない。なるべくメイリーンとの親密度は高くしておきたいからだ。
「良いよ。ここで暮らして良いって事でしょ?」
「うん。海に壁を作っても大丈夫?」
「うん。海流に大きな影響を与えないようにサポートしてあげる」
「ありがとう。実は、それも頼もうと思ってたんだよね。ソイル、レイン」
壁を作るのなら、二人が適任だ。レインが壁を作った時に生じる波を打ち消して、陸への影響を封じるという感じだ。
「大きな船が入るように調整しつつ、防衛が出来るようにして欲しいかな。港が出来るから、壁はなるべく離してくれると嬉しいかも」
「オッケー。二人ともよろしくね」
『よろしく』
『うん……』
三人に海の壁をお願いして、私は血液兵達を出す。騎馬兵にして遠くまで探索出来るように調整した。そして、空を飛びながら指示出しをしているメイリーンと少し話す。
「リリィルーナについて何か知ってる事ってない?」
「ん? リリィルーナ? そうだなぁ……リリィルーナとは、話した事はあるし、ライブにも何度か来てくれたけど、シキちゃんほど深く入り込んでないからなぁ。まずプロフィールで言えば、帝国のお姫様」
「古代文明で世界を統一した国って言ってた帝国?」
「そう。帝国についてどのくらい知ってる?」
「何も。シキドウジをあんな風にしたくらい。帝国のものっぽい遺跡を調べたけど、帝国についてはなかったから」
メイリーンに関して調査していた遺跡には、帝国について詳しく知る事が出来るようなものはなかった。だから、帝国について何を知っているかと言われると全く知らないという風になる。
「まぁ、前提知識として、繁栄したってところを知っていれば良いかな。じゃあ、何故滅んだのか。それは皇帝の錯乱が原因」
「錯乱?」
「うん。まぁ、本当に錯乱なのかは分からないけど、少なくとも狂ったのは本当の事。皇帝は自分の妻と子供、それだけでなく人類殲滅させようとしたの」
「何で?」
「知らない。私が知ってるのは、唐突に人類殲滅用のAIを作り出して自分も殺されたって事」
「何それ……」
思ったよりも設定が凄い事になっている。ただ、自分も殺してしまうようなAIを作り出したという点は、確かに錯乱状態にあったと言えなくもない。
「ただ自分の家族だけは自分の手で殺していたみたい。母親が殺されて、自分を守ろうとした兄が殺されて、妹達と逃げようとしたら、妹達が転んでしまって追いつかれて殺されて、自分も大怪我を負いながら逃げて、海の近くに来て別の島にある研究施設に連れてって頼まれて、そこに連れて行ったら空に打ち上がって、ミズチと何か交渉したのか、そのまま更に空に上がっていったの」
思っていたよりも重い話だった。
父親に母親を殺される。その父親は自分達も殺そうとしてくる。父親から守るために兄が前に出たが、兄も殺される。
せめて、妹達だけでも守ろうと逃げていたら妹達が転んでしまう。多分、年の差があって走る速度の違いが出たせいだと思う。手を繋いで引っ張って貰っていても引っ張ってくれる人が速すぎたら、足が回らなくなるから。
それくらい必死に逃げていたという事だと思う。転んだ妹達は追いついてきた父親に殺される。自分も重傷を負わされながらも海岸まで逃げてきた。
そこでメイリーンに会って、研究施設に連れて行って欲しいと頼む。この研究施設は、恐らく十の存在ミズチを研究していた場所なのかな。そこの何かを使って空に打ち上がり、ミズチと何か交渉をして宇宙空間に耐えられる存在となり、現在に至る。
この中で一番重要な情報はミズチの研究をしていた施設かな。
「リリィルーナに会いに行くの?」
「うん。宇宙空間でも、私は普通に活動出来るから」
「十の存在とか呼ばれてる私達よりもハクの方が異常な気がする」
「失礼な。ちょっと神、天使、悪魔、精霊、竜、鬼、吸血鬼が混ざってるだけだよ」
「異常でしかないよ。話を戻すけど、リリィルーナに会いに行くなら、まずはミズチと会った方が良いと思う。あの子をあんな場所まで上げて守るくらいには、リリィルーナの事を気に入ってるみたいだから、下手に会いに行こうとしたら妨害されると思う」
私を星に落としたのはリリィルーナのはず。でも、その後、すぐにミズチがやって来ていた。周回ルートだっただけと思っていたけど、実はそんな事無かったとしたら。リリィルーナが私を落としたのを見て守りに来ていたという可能性は否定しきれない。
「なるほど……一つ聞きたいんだけど、リリィルーナが連れて行ってって言った研究施設はどこにあるの?」
まずはミズチ攻略から挑む。そのための情報を集めるためにミズチに関する遺跡を調べないといけない。その遺跡はリリィルーナが打ち上がったと言う研究施設のはずだ。
メイリーンは眉を寄せながら唸り始めた。
「う~ん……えっと……どこだっけ? ぽつんとした島だった気がする」
千年以上も前の話だろうし、研究施設自体も海岸にあるとは限らないから、メイリーンもしっかりと覚えているわけじゃないと思う。人との思い出は残っていても、そういった土地の場所とかは抜けているという事は割とありがちだと思うし。
「小さい?」
「うん。少なくとも大陸とは呼べないかな。後は……何かでっかい塔みたいなのが立ってた。そこからリリィルーナが打ち上がったから」
「小さい島に塔ね。それが分かれば、海を飛べば良いだけだから大丈夫。ありがとう」
「ううん。気を付けてね」
「うん。アスタロト、全力で飛ぶけど、そのまましがみついて付いてくる気?」
「レメゲトンに入っているわねぇ」
海の上を全力で飛びながら探すつもりなので、ずっと後ろから抱きついているアスタロトが死にかける事になる。さすがにあれを快感にはならないらしく、大人しくレメゲトンに入っていった。付いてくる気ではいたみたい。
私はメイリーン達に手を振って島探しのために飛び立った。
「メイリーン、丁度良かった。ちょっと話があるんだけど」
「何々?」
メイリーンは楽しそうに砂浜に身体を乗り出した。これが空元気なのかは分からないけど、普段通りに振る舞っているのは確かだ。
「私達がシキドウジを倒したから、これから先十の存在は倒せると思う人が増えると思う。そうしたら、メイリーンを倒そうと考える人が出るかもしれないの。だから、なるべく私達の敷地にいて欲しいんだ。色々な問題を解決するために、海側にも壁を作ってメイリーンと港を守りたいの。どうかな?」
メイリーンと私達の港などを守るために海に壁を作る。海に暮らすメイリーンが拒むのなら、この壁は作らない。なるべくメイリーンとの親密度は高くしておきたいからだ。
「良いよ。ここで暮らして良いって事でしょ?」
「うん。海に壁を作っても大丈夫?」
「うん。海流に大きな影響を与えないようにサポートしてあげる」
「ありがとう。実は、それも頼もうと思ってたんだよね。ソイル、レイン」
壁を作るのなら、二人が適任だ。レインが壁を作った時に生じる波を打ち消して、陸への影響を封じるという感じだ。
「大きな船が入るように調整しつつ、防衛が出来るようにして欲しいかな。港が出来るから、壁はなるべく離してくれると嬉しいかも」
「オッケー。二人ともよろしくね」
『よろしく』
『うん……』
三人に海の壁をお願いして、私は血液兵達を出す。騎馬兵にして遠くまで探索出来るように調整した。そして、空を飛びながら指示出しをしているメイリーンと少し話す。
「リリィルーナについて何か知ってる事ってない?」
「ん? リリィルーナ? そうだなぁ……リリィルーナとは、話した事はあるし、ライブにも何度か来てくれたけど、シキちゃんほど深く入り込んでないからなぁ。まずプロフィールで言えば、帝国のお姫様」
「古代文明で世界を統一した国って言ってた帝国?」
「そう。帝国についてどのくらい知ってる?」
「何も。シキドウジをあんな風にしたくらい。帝国のものっぽい遺跡を調べたけど、帝国についてはなかったから」
メイリーンに関して調査していた遺跡には、帝国について詳しく知る事が出来るようなものはなかった。だから、帝国について何を知っているかと言われると全く知らないという風になる。
「まぁ、前提知識として、繁栄したってところを知っていれば良いかな。じゃあ、何故滅んだのか。それは皇帝の錯乱が原因」
「錯乱?」
「うん。まぁ、本当に錯乱なのかは分からないけど、少なくとも狂ったのは本当の事。皇帝は自分の妻と子供、それだけでなく人類殲滅させようとしたの」
「何で?」
「知らない。私が知ってるのは、唐突に人類殲滅用のAIを作り出して自分も殺されたって事」
「何それ……」
思ったよりも設定が凄い事になっている。ただ、自分も殺してしまうようなAIを作り出したという点は、確かに錯乱状態にあったと言えなくもない。
「ただ自分の家族だけは自分の手で殺していたみたい。母親が殺されて、自分を守ろうとした兄が殺されて、妹達と逃げようとしたら、妹達が転んでしまって追いつかれて殺されて、自分も大怪我を負いながら逃げて、海の近くに来て別の島にある研究施設に連れてって頼まれて、そこに連れて行ったら空に打ち上がって、ミズチと何か交渉したのか、そのまま更に空に上がっていったの」
思っていたよりも重い話だった。
父親に母親を殺される。その父親は自分達も殺そうとしてくる。父親から守るために兄が前に出たが、兄も殺される。
せめて、妹達だけでも守ろうと逃げていたら妹達が転んでしまう。多分、年の差があって走る速度の違いが出たせいだと思う。手を繋いで引っ張って貰っていても引っ張ってくれる人が速すぎたら、足が回らなくなるから。
それくらい必死に逃げていたという事だと思う。転んだ妹達は追いついてきた父親に殺される。自分も重傷を負わされながらも海岸まで逃げてきた。
そこでメイリーンに会って、研究施設に連れて行って欲しいと頼む。この研究施設は、恐らく十の存在ミズチを研究していた場所なのかな。そこの何かを使って空に打ち上がり、ミズチと何か交渉をして宇宙空間に耐えられる存在となり、現在に至る。
この中で一番重要な情報はミズチの研究をしていた施設かな。
「リリィルーナに会いに行くの?」
「うん。宇宙空間でも、私は普通に活動出来るから」
「十の存在とか呼ばれてる私達よりもハクの方が異常な気がする」
「失礼な。ちょっと神、天使、悪魔、精霊、竜、鬼、吸血鬼が混ざってるだけだよ」
「異常でしかないよ。話を戻すけど、リリィルーナに会いに行くなら、まずはミズチと会った方が良いと思う。あの子をあんな場所まで上げて守るくらいには、リリィルーナの事を気に入ってるみたいだから、下手に会いに行こうとしたら妨害されると思う」
私を星に落としたのはリリィルーナのはず。でも、その後、すぐにミズチがやって来ていた。周回ルートだっただけと思っていたけど、実はそんな事無かったとしたら。リリィルーナが私を落としたのを見て守りに来ていたという可能性は否定しきれない。
「なるほど……一つ聞きたいんだけど、リリィルーナが連れて行ってって言った研究施設はどこにあるの?」
まずはミズチ攻略から挑む。そのための情報を集めるためにミズチに関する遺跡を調べないといけない。その遺跡はリリィルーナが打ち上がったと言う研究施設のはずだ。
メイリーンは眉を寄せながら唸り始めた。
「う~ん……えっと……どこだっけ? ぽつんとした島だった気がする」
千年以上も前の話だろうし、研究施設自体も海岸にあるとは限らないから、メイリーンもしっかりと覚えているわけじゃないと思う。人との思い出は残っていても、そういった土地の場所とかは抜けているという事は割とありがちだと思うし。
「小さい?」
「うん。少なくとも大陸とは呼べないかな。後は……何かでっかい塔みたいなのが立ってた。そこからリリィルーナが打ち上がったから」
「小さい島に塔ね。それが分かれば、海を飛べば良いだけだから大丈夫。ありがとう」
「ううん。気を付けてね」
「うん。アスタロト、全力で飛ぶけど、そのまましがみついて付いてくる気?」
「レメゲトンに入っているわねぇ」
海の上を全力で飛びながら探すつもりなので、ずっと後ろから抱きついているアスタロトが死にかける事になる。さすがにあれを快感にはならないらしく、大人しくレメゲトンに入っていった。付いてくる気ではいたみたい。
私はメイリーン達に手を振って島探しのために飛び立った。
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