吸血少女ののんびり気ままなゲームライフ

月輪林檎

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吸血少女と邪神?

謎の街

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 アカリと一緒に歩き始めて一時間程。私達がいる崖の下の方に新しい景色が見えてきた。それはとても大きな街だった。谷の中にある街なので、特徴的な感じがする。他にも特徴的な壁やらなんやらがあるけど、普通に安全に過ごせそうな雰囲気はあった。
 そしてここに着くまでの間、本当に襲われる事はなかった。というか、モンスターの姿すら見当たらない。まぁ、危険がないのは良い事なのだけど、それ以上に不気味だった。
 普段は私に見える前に皆が倒してくれていたりするから、モンスターの姿を見ないという状況だけど、今回はその皆がいない。この状況なら、普通に現れてもおかしくないはず。それがいないという事が本当に不気味だった。

「若干思う事はあるけど、とうとう着いたね。安全そうな場所」
「……あ、うん。そうだね」
「アカリ?」

 せっかく街が見えたのに、アカリは少し浮かない顔をしていた。私よりもこういうものに詳しいアカリだから、何かしら危ない予兆みたいなものを感じ取ったのかな。

「あれが何か分かる?」

 アカリが指を差す方を見ると、私も知っているものがあった。実際に見た事はないけど、写真や映像で何度も見た事があるもの。

「ビッグベンだっけ? ロンドンの……あれ?」

 ここにイギリスのロンドンにあるはずのビッグベンが存在する。細部に違いがある可能性はあるけど、ぱっと見ではビッグベンにしか見えない。
 目の前の光景は、ビッグベンがあるという事だけなのだけど、それが違和感に繋がる。だって、ここは現実でもなければ、地球でもないはずなのだから。いや、地球ではないって事は確定していなかったっけ。

「ここって地球なの?」
「別世界のはずだけど、一応、こういう面もあるの。とは言っても、最初からあるわけじゃなくて、後から作られたんだ。でも、ロンドンじゃなくてコーンウォールだった気がするんだよね……ロンドンにしては、何か昔の雰囲気だし、範囲も少し狭いような気がしなくもないんだけど……」
「まぁ、ロンドンとか行った事ないし、私達には分からなくても仕方ないと思うけどね」

 ロンドンとかコーンウォールとか地名だけは知っているけど、そこの景色とか正確な場所などは詳しくない。ロンドンは首都だから、まだ分かるけど、コーンウォールとかイギリスのどこにあるのか分からない。
 そもそもイギリスの正式名称はグレートブリテン及び北アイルランド連合王国とかいうので、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの四つの国から構成される国でって考えると、一気に訳が分からなくなる。
 あれが本当にイギリスのロンドンかと訊かれるとビッグベンっぽいものがあるからくらいなのだけど理由でしか答えられないくらいには私も曖昧だ。
 まぁ、外国の事なんて、大抵はこんな感じだと思うので、曖昧な感じなるアカリを責める事はない。問題は、アカリの知識の中にロンドンの風景がある場所というのはないという事だ。

「それじゃあ、ここはアカリが知ってる場所じゃない?」
「分からないけど、イギリス繋がりで考えれば、多分セレファイスって場所じゃないかな。でも、こうなると私の知識は役に立たないかも」
「まぁ、ある程度危険性が分かれば良いよ。危険な場所ではない?」
「うん。それどころかここに来る人に対して友好的な王様がいたはず。元々人間だから。でも、問題はここが東の方だったはずってところかな。出入口の真逆かな……」
「おぅ……」

 どうやらアカリが現実の方の物語で知っている出入口の逆に来てしまったみたい。まぁ、こればかりは仕方ない事だと思う。そもそもの方角も分からなかったし。

「でも、世界の再構築の範囲内だったら、そういうのも全部変わってるかもしれないし、ここでどうにか情報を得よう」
「そっか。それじゃあ、行ってみようか」

 アカリの言う通り、世界の再構築がここでも行われていたとしたら、出入口がこっちにある可能性も十分にあり得る。何はともあれ、一旦情報を得ないと行動の指針も出来ない。
 私達は谷の中にある街へと降りていく事にした。ちゃんと道があるので、そこを通って中に入っていく。色々な塔が並び、他にもちょっと現代っぽくない街並みとなっている。
 その中で、私達は周囲からチラチラと見られていた。

「滅茶苦茶見られるんだけど、これって私の中に気付いてる?」

 邪神を気取られて避けられているという状況なのではと考えたのだけど、アカリは首を横に振る。

「ううん。ハクちゃんの中よりも私達よそ者が珍しいんだと思う。この世界で眠って別世界に行ったって話がないから、かなり長い間そういう人は来なかったと思うし」
「なるほどね」

 よそ者が珍しいから見られているだけで、邪神に関しては感じ取られてはいないというのがアカリの考えだった。まぁ、確かに邪神を感じ取られているという目ではないか。

「私の中を感じ取れるような相手はいるのかな?」
「えっと、ここにも大いなるものがいるから、あっちにある神殿の近くにはいかない方が良いと思う。さすがに喧嘩にはならないと思うけど、良い顔をされるとは限らないから」
「なるほどね。この感じだと、話を聞くのは難しそうかな」
「ちょっと厳しいかもね。ひとまずビッグベンのある方向に行ってみようか。向こうの奥の方に話が出来る王様がいるかもしれないから」
「ん? お城じゃなくて?」

 王様と言えばお城にいるというイメージだから、そっちの方に王様がいる気はしなかった。

「うん。故郷を忘れられなかった王様は、こっちにそこと同じような土地を作っちゃったの」
「それがコーンウォール?」
「うん。ロンドンがある理由がよく分からないから、そこの確認も出来ると良いかな」
「だね。そもそも王様も話せるかどうかも分からないけど。私の中を感じ取られる可能性は?」

 私の中の邪神が、どこまで嫌われているかにもよるけど、私の中の異物を感じ取れる素養を持っていたら色々と厄介な事になりかねない。
 アカリは難しい顔をしながら答える。

「う~ん……あり得なくはないかな。それでどうなるのかは分からないから、本当に出たとこ勝負かな」
「まぁ、いつも通りだね。このロンドンの向こうにコーンウォールに住む王様がいる事を祈ろう」
「そうだね」

 私達はロンドンっぽい街の方に向かって足を進めていった。
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