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出会いを楽しむ吸血少女
ヘリオポリスの神々
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二人組の男女の神様は、イチャイチャをしている。それこそ、二人きりになった時の私とアカリくらいに。
「こんにちは。私はヌト。天空の神よ」
「僕はゲブ。大地の神だ。息子と娘が世話になったね」
「ハクです。息子と娘ですか?」
私が知り合っているここの神様は、オシリスさんとイシスさんくらいだ。なので、後ろにいるイシスさんを見た。すると、イシスさんは嫌そうに頷いた。
「このイチャつきカップルが両親です。子供の前でも変わらないのですよ。見ているこちらの方が恥ずかしくなります」
「あらあら、あなたもオシリスが大変だった時に奔走していたでしょうに」
「母様、うるさいですよ」
イシスさんも夫婦仲は良いらしい。まぁ、話の内容的にオシリスさんとイシスさんは兄妹みたいだけど、そこは気にしないでおこう。神話ではありがちな話っぽいし。
「それじゃあ、私達も祝福を授けるわね」
「息子達がお世話になったお礼と今後の事も考えて、君との交流は深めておきたいのでね」
「今後の事ですか?」
一体何のことだか分からないので、一応聞き返してみた。
「ああ。人と神々の交流をどうするのかというところだ。君のように、ここに至る人も出て来るだろう。それを考えれば、先に君達との交流を深めていき、今の人がどういう存在なのか確かめたい。君の世界には、君の他にも人はいるのだろう?」
「はい。一応、沢山人はいますが、元々土地神がいたって方々なので、神様には慣れていると思いますよ」
「ふむ。それはそれで交流しておきたいところだな」
そう言って、ゲブさんとヌトさんが祝福を授けてくれた。
────────────────────
【古代埃の大地の神の祝福】:土、大地、地下、山に関するスキルの効果が上昇する。【古代埃の天空の神の祝福】を所持している場合、互いの効果が増加する。ギルドエリアの大地が祝福される。控えでも効果を発揮する。
【古代埃の天空の神の祝福】:風、天候、空、星に関するスキルの効果が上昇する。【古代埃の大地の神の祝福】を所持している場合、互いの効果が増加する。ギルドエリアの大気及び空が祝福される。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
二つを同時に所持する事で相乗効果が得られる祝福みたい。二人が仲良しだから、それが祝福にも現れているって感じかな。
祝福を授けられて、ゲブさんとヌトさんは離れていった。他にも挨拶する神様がいるから、これ以上は遠慮してくれたらしい。有り難いけど、ちょっと申し訳なくも思う。
でも、挨拶しないといけないのは本当の事なので、次の神様の元に向かう。次の神様は腕を組んでおり、私を見下ろしていた。
その顔は、何とも言えない動物の顔で、耳が四角く、首の後ろの方は先端が分かれた尻尾のようになっており、鼻大きく突き出しているので馬系の動物かアリクイのようにも見える。
「遅い。いつまで待たせる気だ」
「すみません。近い方から順番に挨拶させていただいていたもので」
「イシスがいるのなら、俺のところに回すのが普通だろう」
「何故、私があなたの事を優先的に紹介すると思ったの? 馬鹿なの? 死ね」
容赦のないイシスさんの言葉に、少し驚いてしまう。そんなイシスさんの罵倒を浴びせられた神様は、頬を引き攣らせていた。まぁ、ド直球な罵倒だったから、仕方ないのかな。
「ちっ……俺の名はセト。砂漠と戦争の神だ。良く覚えておけ」
「はい。ハクです。よろしくお願いします」
普通に挨拶をすると、セトさんはやりにくそうな表情になる。動物の顔でも、しっかりと表情が分かるというのは有り難い。目で感情が表現されているとかなのかな。
「貴様は相当強いらしいな」
「神様の祝福のおかげです。私自身の力で言えば、他に強い人がいますし」
「神々の力を己が物と主張しないのは、良い心がけだ。祝福は神が与える力ではあるが、それが貸与である事を知れ」
「つまり……祝福は没収も出来ると?」
私の確認に対して、セトさんは頷く。つまり肯定ということだ。祝福は与えられるだけでなく、没収もあり得る。それらは神様の気分次第……いや、神様が与えた相手の行動をどう思うか次第という事かな。この説明がこれまでなかったのは、皆が没収するつもりがなかったからって事なのかもしれない。
それだけ信用されているという風に受け取っておこう。逆を言えば、セトさんは、私を信用していないという事だ。こっちの神界では、私の話は大きく広まっていないだろうし、それも仕方ない事かな。ハデスさんと同じでゆっくり信用を勝ち取ろう。
「そういう事だ。その力を使いたければ、道を踏み外さぬ事だな」
「忠告ありがとうございます」
そう言って感謝すると、やっぱりセトさんはやりにくそうな表情になる。素直な人が嫌いなのかな。
「ひねくれ者のクズ野郎なだけだから気にしないで」
「おい……」
イシスさんのセトさんに対する言動は、ハデスさんに対するデメテルさんみたいな感じがする。セトさんが何かやらかしたのは間違いない。
「とにかく祝福に胡座をかくなという事ですよね。こうして授けて下さるだけでも有り難いものです。その信用を裏切らないよう肝に銘じて行動します」
私がそう言うと、イシスさんが頭を撫でてくる。これは私を褒めてくれているのだと思う。正直褒められるような事はしていないと思うけど、神様からしたら、私が心掛けようとしている事は、褒めるべき事なのかもしれない。ニュクスさんとかも撫でてきそうだし。
その中、セトさんは深々とため息をついた。
「はぁ……そこまでの覚悟があるのなら、祝福を授けてやる」
「えっ? 良いんですか?」
「ああ」
てっきり私を警戒しているから、祝福は無しのパターンだと思っていたのだけど、セトさんは祝福を授ける事にしてくれたみたい。
────────────────────
【古代埃の砂漠と戦争の神の祝福】:砂、風、暴風、攻撃力上昇系スキルの効果が上昇する。全ステータスが大幅に上昇する。砂漠にいる間、全ステータスが大幅に上昇する。闇、暗黒、混沌に対する耐性が上昇する。ギルドエリアの砂漠が祝福される。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
風にも関係する神様だったらしい。砂漠での戦闘がやりやすくなるのも有り難い。
「上手く活用する事だな」
「はい。ありがとうございます」
セトさんは最後までやりにくそうにしていた。そんなセトさんから離れた私は、最後の神様の元に向かう。身体に羽根や宝石などのアクセサリーを付けた女神様だ。
女神様の元に向かう途中、イシスさんは、そのまま背中を押して素通りさせようとしていた。
「あれは素通りしましょう」
「ちょっとぉ!! 私にも挨拶させなさいよぉ!」
女神様は涙目になりながら訴えていた。
「第一! あの事はもう水に流したでしょ!?」
「オシリスの復活のためだけに協力しただけです。許したと思わないで欲しいですね」
「うぐっ……」
イシスさんって、色々な神様と問題を抱えているのだなと思わされる。基本的に被害者みたいな立ち位置みたいだけど。
「世界が再構築されても、変わらない事もあるのですよ」
「だ、だからって! その子とは関係ないでしょ!?」
女神様はうるうるとした目で私を見てくる。
「私も挨拶はしたいです」
「そうですか? ハクさんがそうおっしゃるのであれば」
そう言うと、イシスさんは私の後ろに控えた。女神様は嬉しそうな笑顔で私に向き直る。
「初めまして! 私はネフティス。葬祭の神だよ」
「ハクです。よろしくお願いします」
「よろしくね!」
ネフティスさんは嬉しそうにそう言うと、私を抱きしめた。割と人懐っこい神様みたい。
「長く話したいけど、あまり時間はなさそうだから、また今度あなたの世界で話そうね」
「え? あ、はい」
ネフティスさんは、流れるように祝福を授けてくれる。
────────────────────
【古代埃の葬祭の神の祝福】:死、冥界、復活に関するスキルの効果が上昇する。他者へのなりすましの精度が高まる。ギルドエリアの自宅が祝福される。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
多分、イシスさんになりすまして何かをしたのかな。そういう事が祝福になっている気がする。
「あっ、やっぱり時間はなかったね。ほら、待っていた神が来たよ」
ネフティスさんが指差す方から強い光が差してきた。
「こんにちは。私はヌト。天空の神よ」
「僕はゲブ。大地の神だ。息子と娘が世話になったね」
「ハクです。息子と娘ですか?」
私が知り合っているここの神様は、オシリスさんとイシスさんくらいだ。なので、後ろにいるイシスさんを見た。すると、イシスさんは嫌そうに頷いた。
「このイチャつきカップルが両親です。子供の前でも変わらないのですよ。見ているこちらの方が恥ずかしくなります」
「あらあら、あなたもオシリスが大変だった時に奔走していたでしょうに」
「母様、うるさいですよ」
イシスさんも夫婦仲は良いらしい。まぁ、話の内容的にオシリスさんとイシスさんは兄妹みたいだけど、そこは気にしないでおこう。神話ではありがちな話っぽいし。
「それじゃあ、私達も祝福を授けるわね」
「息子達がお世話になったお礼と今後の事も考えて、君との交流は深めておきたいのでね」
「今後の事ですか?」
一体何のことだか分からないので、一応聞き返してみた。
「ああ。人と神々の交流をどうするのかというところだ。君のように、ここに至る人も出て来るだろう。それを考えれば、先に君達との交流を深めていき、今の人がどういう存在なのか確かめたい。君の世界には、君の他にも人はいるのだろう?」
「はい。一応、沢山人はいますが、元々土地神がいたって方々なので、神様には慣れていると思いますよ」
「ふむ。それはそれで交流しておきたいところだな」
そう言って、ゲブさんとヌトさんが祝福を授けてくれた。
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【古代埃の大地の神の祝福】:土、大地、地下、山に関するスキルの効果が上昇する。【古代埃の天空の神の祝福】を所持している場合、互いの効果が増加する。ギルドエリアの大地が祝福される。控えでも効果を発揮する。
【古代埃の天空の神の祝福】:風、天候、空、星に関するスキルの効果が上昇する。【古代埃の大地の神の祝福】を所持している場合、互いの効果が増加する。ギルドエリアの大気及び空が祝福される。控えでも効果を発揮する。
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二つを同時に所持する事で相乗効果が得られる祝福みたい。二人が仲良しだから、それが祝福にも現れているって感じかな。
祝福を授けられて、ゲブさんとヌトさんは離れていった。他にも挨拶する神様がいるから、これ以上は遠慮してくれたらしい。有り難いけど、ちょっと申し訳なくも思う。
でも、挨拶しないといけないのは本当の事なので、次の神様の元に向かう。次の神様は腕を組んでおり、私を見下ろしていた。
その顔は、何とも言えない動物の顔で、耳が四角く、首の後ろの方は先端が分かれた尻尾のようになっており、鼻大きく突き出しているので馬系の動物かアリクイのようにも見える。
「遅い。いつまで待たせる気だ」
「すみません。近い方から順番に挨拶させていただいていたもので」
「イシスがいるのなら、俺のところに回すのが普通だろう」
「何故、私があなたの事を優先的に紹介すると思ったの? 馬鹿なの? 死ね」
容赦のないイシスさんの言葉に、少し驚いてしまう。そんなイシスさんの罵倒を浴びせられた神様は、頬を引き攣らせていた。まぁ、ド直球な罵倒だったから、仕方ないのかな。
「ちっ……俺の名はセト。砂漠と戦争の神だ。良く覚えておけ」
「はい。ハクです。よろしくお願いします」
普通に挨拶をすると、セトさんはやりにくそうな表情になる。動物の顔でも、しっかりと表情が分かるというのは有り難い。目で感情が表現されているとかなのかな。
「貴様は相当強いらしいな」
「神様の祝福のおかげです。私自身の力で言えば、他に強い人がいますし」
「神々の力を己が物と主張しないのは、良い心がけだ。祝福は神が与える力ではあるが、それが貸与である事を知れ」
「つまり……祝福は没収も出来ると?」
私の確認に対して、セトさんは頷く。つまり肯定ということだ。祝福は与えられるだけでなく、没収もあり得る。それらは神様の気分次第……いや、神様が与えた相手の行動をどう思うか次第という事かな。この説明がこれまでなかったのは、皆が没収するつもりがなかったからって事なのかもしれない。
それだけ信用されているという風に受け取っておこう。逆を言えば、セトさんは、私を信用していないという事だ。こっちの神界では、私の話は大きく広まっていないだろうし、それも仕方ない事かな。ハデスさんと同じでゆっくり信用を勝ち取ろう。
「そういう事だ。その力を使いたければ、道を踏み外さぬ事だな」
「忠告ありがとうございます」
そう言って感謝すると、やっぱりセトさんはやりにくそうな表情になる。素直な人が嫌いなのかな。
「ひねくれ者のクズ野郎なだけだから気にしないで」
「おい……」
イシスさんのセトさんに対する言動は、ハデスさんに対するデメテルさんみたいな感じがする。セトさんが何かやらかしたのは間違いない。
「とにかく祝福に胡座をかくなという事ですよね。こうして授けて下さるだけでも有り難いものです。その信用を裏切らないよう肝に銘じて行動します」
私がそう言うと、イシスさんが頭を撫でてくる。これは私を褒めてくれているのだと思う。正直褒められるような事はしていないと思うけど、神様からしたら、私が心掛けようとしている事は、褒めるべき事なのかもしれない。ニュクスさんとかも撫でてきそうだし。
その中、セトさんは深々とため息をついた。
「はぁ……そこまでの覚悟があるのなら、祝福を授けてやる」
「えっ? 良いんですか?」
「ああ」
てっきり私を警戒しているから、祝福は無しのパターンだと思っていたのだけど、セトさんは祝福を授ける事にしてくれたみたい。
────────────────────
【古代埃の砂漠と戦争の神の祝福】:砂、風、暴風、攻撃力上昇系スキルの効果が上昇する。全ステータスが大幅に上昇する。砂漠にいる間、全ステータスが大幅に上昇する。闇、暗黒、混沌に対する耐性が上昇する。ギルドエリアの砂漠が祝福される。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
風にも関係する神様だったらしい。砂漠での戦闘がやりやすくなるのも有り難い。
「上手く活用する事だな」
「はい。ありがとうございます」
セトさんは最後までやりにくそうにしていた。そんなセトさんから離れた私は、最後の神様の元に向かう。身体に羽根や宝石などのアクセサリーを付けた女神様だ。
女神様の元に向かう途中、イシスさんは、そのまま背中を押して素通りさせようとしていた。
「あれは素通りしましょう」
「ちょっとぉ!! 私にも挨拶させなさいよぉ!」
女神様は涙目になりながら訴えていた。
「第一! あの事はもう水に流したでしょ!?」
「オシリスの復活のためだけに協力しただけです。許したと思わないで欲しいですね」
「うぐっ……」
イシスさんって、色々な神様と問題を抱えているのだなと思わされる。基本的に被害者みたいな立ち位置みたいだけど。
「世界が再構築されても、変わらない事もあるのですよ」
「だ、だからって! その子とは関係ないでしょ!?」
女神様はうるうるとした目で私を見てくる。
「私も挨拶はしたいです」
「そうですか? ハクさんがそうおっしゃるのであれば」
そう言うと、イシスさんは私の後ろに控えた。女神様は嬉しそうな笑顔で私に向き直る。
「初めまして! 私はネフティス。葬祭の神だよ」
「ハクです。よろしくお願いします」
「よろしくね!」
ネフティスさんは嬉しそうにそう言うと、私を抱きしめた。割と人懐っこい神様みたい。
「長く話したいけど、あまり時間はなさそうだから、また今度あなたの世界で話そうね」
「え? あ、はい」
ネフティスさんは、流れるように祝福を授けてくれる。
────────────────────
【古代埃の葬祭の神の祝福】:死、冥界、復活に関するスキルの効果が上昇する。他者へのなりすましの精度が高まる。ギルドエリアの自宅が祝福される。控えでも効果を発揮する。
────────────────────
多分、イシスさんになりすまして何かをしたのかな。そういう事が祝福になっている気がする。
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