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第二章 ダンジョン調査
アイリスを探して
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アイリスが落とし穴に落ちてから、一日が経過した。その間にキティ達は、二層から五層まで降りてきていた。そして五層の探索もほぼ終えたため、安全地帯に入り休憩を取る事になった。
「ここで休憩にする」
「ん。分かった」
ライネルの言葉に、キティは素直に従う。三層での休憩の時には、すぐにでもアイリスの元に行くべきだと言い、休憩せずに進もうとした。しかし、ライネルに『俺達も休憩を取らなければ、アイリスを確実に助けることは出来ない。度々の休憩は、アイリスを助けるために必要なことだ。こっちまで疲労困憊になってしまえば、アイリスを助けられる確率が減ってしまうだろう』と言われ、キティは考えを改めた。
ライネルが言うように、アイリスを助けるには、万全の体制で行かなければならない。それは、ここがまだ未知のダンジョンだからだ。一度、誰かが攻略したダンジョンであれば、その情報があるので探索なども楽に行う事が出来る。
さらに言えば、キティが無理をして助けに来たと知れば、アイリスは自分の事よりもそっちを心配するに決まっている。リリア達に言われて、アイリスの自己犠牲に対する意識は少しながら変わっている。しかし、根本にある『大切な誰かのために』という信念は揺るがない。そのため、自分よりもキティのことを優先してしまうはずだ。
「…………」
キティは壁に寄りかかって、鞄から取り出した干し肉を一枚囓る。一枚をすぐに食べきるのでは無く、なるべく消費しないようにゆっくりと食べることで、満足感を得ようとしていた。一番お腹が空いているのは、食糧を失っているアイリスだ。だからこそ、再会したときに多く食べて貰おうと考えているのだった。
そんなキティの近くに座り込んだマインとミリーも、干し肉を食べながら、少し話していた。
「やっぱり、構造が複雑化してきているよね?」
「五層の段階で、ここまで複雑になっているとなると、さらに下はもっと複雑でしょう。効率よく探索を進めたいところですが、厳しいと思われますね」
「食糧も節約しないと……途中で水源を見つけられたのは、運が良かったわ」
水分の不足は、食糧の不足よりも深刻な問題になるので、途中で水源を見つけられたのは僥倖と言える。
「アイリスも水筒を持っていっていたのは良かったよね」
「鞄の中に水筒は無かったですからね。食料の方も、分けて持っていらっしゃると良いんですが……」
「そうだよね。あの子、慎重そうな感じがするもの。きっと大丈夫」
マインは気休めの言葉というよりも、本気でそう思いながらそう言った。マインのアイリスに対する評価は、最初の頃よりも上がっている。だから、アイリスのことを少し信じ始めていたのだった。ただ、若干の過大評価になっていそうだが……
そんな三人から、離れた場所にライネルとドルトル、クロウが座っていた。
「基本的な罠は、落とし穴だけだったね」
「ああ、俺が見つけたのは、落とし穴だけだ。ダンジョンとしては厄介だが、注意していれば見つけられないことは無い。これ以上の被害は出させねぇ」
現状、このダンジョンでは落とし穴の罠しか確認されていない。三層では発見されなかったが、四層では一度発見された。クロウが誘発させたことによって、誰も被害に遭うことは無かった。アイリスを探すなら、落とし穴に落ちた方が早いと思われるが、そもそもアイリスが落ちた階層まで行けるか分からず、ほぼ確実に分断されることになるため、利用はしない。
「アイリスが落ちたと思われる階層には、ほぼ確実に痕跡が残るはずだ。特に戦闘痕を探し出す。魔物の数は、考えていた以上に多い。アイリスも戦闘は避けられないはずだ」
ライネル達は、アイリスが行った戦闘の跡を探していた。戦闘が起こった場所には、ほぼ必ず魔物の灰が残っているはず。灰は、数日で消え去るが、アイリスを見つけるまでに消え去るという事は無いだろうと思われる。
「アイリスが野営を行う事はないはずなんだな?」
「ん。多少の休憩はしても、眠ることはない。でも、発作が起きて、動けなくなっている可能性がある。早く見つけないと危ない」
「悪夢のフラッシュバックか。どのくらいの頻度で起こるんだ?」
「分からない。私かリリアがいれば、発作を止める事自体は出来るはず。リリアは、実際に宥める事が出来たって言っていた」
「つまり、キティが一緒にいないと、起きる可能性も上がるということで良いな?」
「ん」
キティはアイリスが発作を起こしても大丈夫なように、早く合流しなければならない。キティが焦るのも無理はない。
「今は眠っておけ。確実にアイリスを救出するためにも」
「ん。分かった」
キティはテントに向かい、寝袋の中に入る。アイリスと共同で使うために大きめの寝袋を持ってきていたため、キティ一人ではかなり広くなる。そんな広い空間をキティは、寂しく感じながら眠りについた。
キティが眠りにつくと同時に、マインとミリーも自分達のテントに入った。今、外に出ているのは、ライネル、ドルトル、クロウの三人だけだ。
「ライネルさん、実際のところ、アイリスが生き残る可能性はあるのか?」
三人がいない間に、クロウがライネルにそう訊いた。キティ、マイン、ミリーがいる時では、少し訊きにくかったからだろう。
「アイリスの戦闘能力なら、生き残る可能性はかなり高い。一人でスタンピードのほとんどを倒しているからな。だが、さっき聞いたアイリスの弱点を考えると、少し危なくも感じる。何はともあれ、信じるしか無いだろうな」
「合流後は、すぐに戻るんですよね?」
「ああ、そのつもりだ。だが、アイリスの状態によっては、何日か休息を取る必要もあるだろう。お前達も、そのつもりで考えていてくれ」
ライネルの言葉に、クロウとドルトルは揃って頷いた。
それから四時間程経ち、キティ達と見張りを交換した。その二時間後に、ライネル達が起き、探索を再開する。なるべく早くアイリスと合流するために。
「ここで休憩にする」
「ん。分かった」
ライネルの言葉に、キティは素直に従う。三層での休憩の時には、すぐにでもアイリスの元に行くべきだと言い、休憩せずに進もうとした。しかし、ライネルに『俺達も休憩を取らなければ、アイリスを確実に助けることは出来ない。度々の休憩は、アイリスを助けるために必要なことだ。こっちまで疲労困憊になってしまえば、アイリスを助けられる確率が減ってしまうだろう』と言われ、キティは考えを改めた。
ライネルが言うように、アイリスを助けるには、万全の体制で行かなければならない。それは、ここがまだ未知のダンジョンだからだ。一度、誰かが攻略したダンジョンであれば、その情報があるので探索なども楽に行う事が出来る。
さらに言えば、キティが無理をして助けに来たと知れば、アイリスは自分の事よりもそっちを心配するに決まっている。リリア達に言われて、アイリスの自己犠牲に対する意識は少しながら変わっている。しかし、根本にある『大切な誰かのために』という信念は揺るがない。そのため、自分よりもキティのことを優先してしまうはずだ。
「…………」
キティは壁に寄りかかって、鞄から取り出した干し肉を一枚囓る。一枚をすぐに食べきるのでは無く、なるべく消費しないようにゆっくりと食べることで、満足感を得ようとしていた。一番お腹が空いているのは、食糧を失っているアイリスだ。だからこそ、再会したときに多く食べて貰おうと考えているのだった。
そんなキティの近くに座り込んだマインとミリーも、干し肉を食べながら、少し話していた。
「やっぱり、構造が複雑化してきているよね?」
「五層の段階で、ここまで複雑になっているとなると、さらに下はもっと複雑でしょう。効率よく探索を進めたいところですが、厳しいと思われますね」
「食糧も節約しないと……途中で水源を見つけられたのは、運が良かったわ」
水分の不足は、食糧の不足よりも深刻な問題になるので、途中で水源を見つけられたのは僥倖と言える。
「アイリスも水筒を持っていっていたのは良かったよね」
「鞄の中に水筒は無かったですからね。食料の方も、分けて持っていらっしゃると良いんですが……」
「そうだよね。あの子、慎重そうな感じがするもの。きっと大丈夫」
マインは気休めの言葉というよりも、本気でそう思いながらそう言った。マインのアイリスに対する評価は、最初の頃よりも上がっている。だから、アイリスのことを少し信じ始めていたのだった。ただ、若干の過大評価になっていそうだが……
そんな三人から、離れた場所にライネルとドルトル、クロウが座っていた。
「基本的な罠は、落とし穴だけだったね」
「ああ、俺が見つけたのは、落とし穴だけだ。ダンジョンとしては厄介だが、注意していれば見つけられないことは無い。これ以上の被害は出させねぇ」
現状、このダンジョンでは落とし穴の罠しか確認されていない。三層では発見されなかったが、四層では一度発見された。クロウが誘発させたことによって、誰も被害に遭うことは無かった。アイリスを探すなら、落とし穴に落ちた方が早いと思われるが、そもそもアイリスが落ちた階層まで行けるか分からず、ほぼ確実に分断されることになるため、利用はしない。
「アイリスが落ちたと思われる階層には、ほぼ確実に痕跡が残るはずだ。特に戦闘痕を探し出す。魔物の数は、考えていた以上に多い。アイリスも戦闘は避けられないはずだ」
ライネル達は、アイリスが行った戦闘の跡を探していた。戦闘が起こった場所には、ほぼ必ず魔物の灰が残っているはず。灰は、数日で消え去るが、アイリスを見つけるまでに消え去るという事は無いだろうと思われる。
「アイリスが野営を行う事はないはずなんだな?」
「ん。多少の休憩はしても、眠ることはない。でも、発作が起きて、動けなくなっている可能性がある。早く見つけないと危ない」
「悪夢のフラッシュバックか。どのくらいの頻度で起こるんだ?」
「分からない。私かリリアがいれば、発作を止める事自体は出来るはず。リリアは、実際に宥める事が出来たって言っていた」
「つまり、キティが一緒にいないと、起きる可能性も上がるということで良いな?」
「ん」
キティはアイリスが発作を起こしても大丈夫なように、早く合流しなければならない。キティが焦るのも無理はない。
「今は眠っておけ。確実にアイリスを救出するためにも」
「ん。分かった」
キティはテントに向かい、寝袋の中に入る。アイリスと共同で使うために大きめの寝袋を持ってきていたため、キティ一人ではかなり広くなる。そんな広い空間をキティは、寂しく感じながら眠りについた。
キティが眠りにつくと同時に、マインとミリーも自分達のテントに入った。今、外に出ているのは、ライネル、ドルトル、クロウの三人だけだ。
「ライネルさん、実際のところ、アイリスが生き残る可能性はあるのか?」
三人がいない間に、クロウがライネルにそう訊いた。キティ、マイン、ミリーがいる時では、少し訊きにくかったからだろう。
「アイリスの戦闘能力なら、生き残る可能性はかなり高い。一人でスタンピードのほとんどを倒しているからな。だが、さっき聞いたアイリスの弱点を考えると、少し危なくも感じる。何はともあれ、信じるしか無いだろうな」
「合流後は、すぐに戻るんですよね?」
「ああ、そのつもりだ。だが、アイリスの状態によっては、何日か休息を取る必要もあるだろう。お前達も、そのつもりで考えていてくれ」
ライネルの言葉に、クロウとドルトルは揃って頷いた。
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