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第44話 迎え撃つトゥエルヴ
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アオナとシェリーによる陽動攻撃が始まったことを確認したカティアは、偵察パックのレーダーを使ってモンストロ・ウェポンの動向を追う。どうやら作戦通りに敵はアオナ達のいる区画へと集合しはじめていて、これならスムーズに敵性アンドロイドであるトゥエルヴが居城としている野球ドームへと辿り着けそうだ。
「上手く陽動に引っかかってくれたみたいですね。アオナ様達のいる街の西側に敵が集まっていて、東側には敵影はありません」
「トゥエルヴはドームから移動している?」
「いえ、まだ動きはありません。しかし大型の生体反応がドームに陣取っていて、恐らくですがマザー級が直接警護にあたっているようです」
「やっぱりデカブツとは戦わないとならないね……とにかく、私達はこのまま進むよ」
マリカを先頭にして、カティアやエーデリア、カナエが東側から街の中心部にあるドームを目指して進む。
太陽に照らされるヒビ割れたアスファルト製の道路は黄土色の砂に覆われていて、砂漠化寸前の様相を呈していた。
「私とカティアが出会った街は一面凍り付いていたな。あの時と環境はまるで逆だけど、朽ちた街を見ると哀愁を感じるよ。昔は沢山の人々が普通の暮らしをここでしていたんだものね」
フリーデブルクや王都のように、この寂れた街もかつては栄華を誇っていたはずだ。だが文明が滅亡した後に残されたのは虚無そのもので、しかも今では人類に敵対的な相手の拠点とされている。もし街に生物のような意識があったとしたら、どんな気持ちなのだろうとマリカは奇妙な感傷に囚われていた。
「フリーデブルクだって魔物やモンストロ・ウェポンに侵略されればこの街と同じようになっちまう。だから、あたし達が頑張らないとな」
「だね。帰る場所が無くなるってのは悲しいことだよ」
「あのドームの中にいる敵さえブッ飛ばせば全て解決さ。さあ、もうすぐで到着だ」
カナエが示す先、目的地のドームは目の前へと迫っていた。その巨大さは威圧感すら感じさせるもので、昔は娯楽施設としても運用されていた場所とはマリカには思えない。
「これは…モンストロ・ウェポンの個体数がドーム内で増えました。マザー級が産んでいるのかもしれません」
「私達の襲撃を受けて戦力を増やそうとしているんだね。これ以上増やさないためにも急いでドームに突入しよう」
「バタム様に合図を送りますか?」
「うん、頼むよ。どうせ敵にスグに見つかるわけだし、出陣の狼煙として景気よくいこう。お姉ちゃん達に対しても私達がドームへと着いたよと知らせることにもなるしね」
カティアは頷き、背中に背負った偵察ユニットから信号弾を上空に打ち上げた。勢いよく飛び出してバッと炸裂し、七色の強烈な光の球となって街全体を照らす。真昼間でも明確に識別できる程の光量で、これなら遠くにいるバタムにも確実に視認できるはずだ。
「これでバタムさんがカティア用のキャノンパックを車で運んできてくれる。それまでは杖を使った魔弾で援護して」
「かしこまりました。全力をもって支援いたします!」
自身の身長程の長さがある杖を両手で握り、カティアはマリカに続いてドーム内部へと突入した。
中は薄暗く、入場ゲート付近は心霊スポットにでもなりそうな廃墟そのものの不気味さがある。マリカは客席に繋がる大きな扉を蹴破り、周囲を見渡した。
「なんだ、アレは…?」
天井の崩れた部分から陽の光が差し込み、その光が全高約十メートルの巨大なシルエットを浮かび上がらせている。それは水晶体のような球形の物体で、半透明の内部にて黒い渦が巻いていた。
「カティア、あの水晶みたいなのは何?」
「モンストロ・ウェポンを精製するための魔結晶です。マザー級のような大型個体をも造り出すことが可能で、アレこそがモンストロ・ウェポン達の子宮とも言える大元ですよ。しかも特殊な加工をされているという記録があり、魔力を帯びた攻撃でも簡単には破壊できません」
マザー級もモンストロ・ウェポンを産むことが可能とはいえ、ヒトモドキのような小さな種類のみである。これは前線における戦力補充を行うために与えられた能力だが、マリカ達の眼前にある魔結晶は大型のマザー級も含めて全ての種類を精製することがでるのだ。
「となると、優先するべきはトゥエルヴそのものを倒すことだね。ヤツさえ撃破すればモンストロ・ウェポンの動きは止まる」
「そのトゥエルヴはあそこに……」
「ン…って、マザー級の上じゃん!」
魔結晶の近くにマザー級一体が控えており、その背中の上に人型が立っている。それはトゥエルヴと呼ばれるアンドロイドで、モンストロ・ウェポンに人々を攻撃するように指示を出している元凶だ。
「間違いありません。旧世界にて暴走したアンドロイドのトゥエルヴです。どうやらリペアスキル等による修復はなされていないようですね」
トゥエルヴの人工皮膚はあちこち剥がれていて、内部骨格が露出している状態であった。このことからリペアスキルなどを用いた保善は行われていないことが分かる。恐らくは自己修復機能や、拾ったパーツを用いて今まで稼働していたのだろう。
「アイツを倒すためにもマザー級を撃破しないとね。けどヤツは強力な魔力障壁を展開できるから近づくのは難しいな……」
カティアのタンクパックによる砲撃をも防いだ魔力障壁を突破するには、一点に攻撃を集中させて無理矢理に突破するしかないだろう。
「なら、ここはわたくしの出番ですね。エスパスシフトならば魔力障壁も無視して空間転移可能ですので」
「そんなことも出来るの?」
「はい。皆さんのことも連れていけますが、その場合には多量の魔力を消費するので、魔力回復をしている間は戦線には加われなくなってしまいますが……」
「その後の事は私達に任せて。エーデリアが回復する前には決着を付けるよ」
マリカ達はエーデリアの腕に掴まった。そして直後、彼女達の体が柔らかな淡い光に包まれて消失する。
しかし、この世界から消えたというわけでも、裏世界に行ってしまったわけでもない。瞬時にしてマザー級の上部へと空間転移し、少女達の姿がパッと現れる。
「一気に倒してやる!」
トゥエルヴはもう目の前だ。マザー級の背中をマリカ達が魔具を構えて駆け、渾身の一撃を叩きこんで撃破しようとするが、
「触手がっ…!」
巨体の脇腹から生える数本の触手が薙ぎ払うように迫り、魔具を使って防御を行うもマリカ達はパワー負けして地面へと弾き飛ばされてしまった。
自分の身の危険を感じたトゥエルヴの指示による猛攻は想定以上で、マリカは舌打ちをしながら敵を見上げる。
「魔弾がくる!!」
マザー級の周囲に展開されていた魔力障壁は解除されており、これは魔力の全てを攻撃用に用いるためだ。その魔力を凝縮した魔弾が巨大な顔面の砲口から発射され、マリカは必死になって射線から回避する。
「あたしに任せろ。一瞬で終わらせていやる」
カナエはウインクしてステルススキルを発動し、気配を消して跳躍。マザー級の脚を踏み台にして上部に舞い戻り、静かに佇むトゥエルヴの背後へと接近した。
「こうも至近距離まで来たんだから、スグに片付ける!」
そして勝利を確信し、天井から差し込む陽の光を反射したナタを振り下ろす。
しかし、
「なんとっ!?」
トゥエルヴの左腕が稼働し、トンファー状の魔具がカナエのナタを弾いたのだ。
「ステルススキルで気配を消したというのに、よくも気がついたな!」
「あっ、そういえば…アンドロイドにはステルススキルは無効なんだって言い忘れていた」
以前訪れたハーフェンにてカナエがステルススキルを発動したものの、カティアだけはカナエを見失わずに姿を捉えていた。それはアンドロイドにはステルススキルによる気配遮断は無効であるという証左であり、マリカは後で伝えようとしていたのだが失念していたのだ。
「おぅい! そういう大切なコトは先に言っといてくれよなぁ!?」
「ゴメンゴメン。あの時はほら、フラッド・クラーケンやらお宝回収で忙しかったからという言い訳を使わせてもらうね」
「じゃあしょうがないな」
それで納得するカナエはお人好しであるが、自慢のスキルが封じられて敵への対抗策が失われたことに悔しさを感じている。
トゥエルヴへの不意打ちによる暗殺が不可能となった以上、マザー級を撃破しなければ肉薄することは不可能になってしまった。エーデリアのエスパスシフトで近づくという手段もあるが、魔力切れを起こしているので暫くは使用できない。
「コイツの火力は化け物だな…!」
弾かれて地面へと落下したカナエに対してマザー級から魔弾が放たれる。巨大な体内には膨大な魔力を有しており、カナエは後ろにジャンプすることで回避するも着弾時の爆発によって吹き飛ばされた。
「チィ…このデカブツをどうする? ヒトモドキもいるしな…!」
先程産み出されたばかりのヒトモドキも参戦し、カナエ達の背後から迫りくる。
「カティアのキャノンパックさえ届けば逆転できるかもだけど……」
「バタムさんの到着を待つしかないか。なら、あたし達がそれまで持ちこたえてみせる!」
「だね。カティアはエーデリアを守りながら援護をお願い!」
魔力の無い魔導士は一般人と変わらないので戦うことはできない。そんなエーデリアを自分の背後に匿いつつ、カティアはマリカの指示通りに杖を用いた魔弾にて援護射撃を行う。通常の魔物であれば一撃で倒せる威力はあるが、しかしマザー級の分厚い皮膚の前には豆鉄砲のようなものでしかなかった。
「車を降りた位置と、ここまでの距離を考えるとバタム様が到着するまでに五分から十分は必要でしょう……ですが劣悪な路面の状態や、バタム様は運転が初めてという事実を加味するともう少しかかるかもしれませんね……」
苦戦は免れられないという事実を算出しながらも、カティアはマザー級とヒトモドキ両方に対して魔弾を飛ばして牽制する。
そんな彼女達をよそに、近くに置かれた巨大な魔結晶が不気味に動きだす。モンストロ・ウェポンの子宮とも例えられた結晶体の動きは、少なくともマリカ達にとって歓迎するべき事態ではないのは確かだろう……
「上手く陽動に引っかかってくれたみたいですね。アオナ様達のいる街の西側に敵が集まっていて、東側には敵影はありません」
「トゥエルヴはドームから移動している?」
「いえ、まだ動きはありません。しかし大型の生体反応がドームに陣取っていて、恐らくですがマザー級が直接警護にあたっているようです」
「やっぱりデカブツとは戦わないとならないね……とにかく、私達はこのまま進むよ」
マリカを先頭にして、カティアやエーデリア、カナエが東側から街の中心部にあるドームを目指して進む。
太陽に照らされるヒビ割れたアスファルト製の道路は黄土色の砂に覆われていて、砂漠化寸前の様相を呈していた。
「私とカティアが出会った街は一面凍り付いていたな。あの時と環境はまるで逆だけど、朽ちた街を見ると哀愁を感じるよ。昔は沢山の人々が普通の暮らしをここでしていたんだものね」
フリーデブルクや王都のように、この寂れた街もかつては栄華を誇っていたはずだ。だが文明が滅亡した後に残されたのは虚無そのもので、しかも今では人類に敵対的な相手の拠点とされている。もし街に生物のような意識があったとしたら、どんな気持ちなのだろうとマリカは奇妙な感傷に囚われていた。
「フリーデブルクだって魔物やモンストロ・ウェポンに侵略されればこの街と同じようになっちまう。だから、あたし達が頑張らないとな」
「だね。帰る場所が無くなるってのは悲しいことだよ」
「あのドームの中にいる敵さえブッ飛ばせば全て解決さ。さあ、もうすぐで到着だ」
カナエが示す先、目的地のドームは目の前へと迫っていた。その巨大さは威圧感すら感じさせるもので、昔は娯楽施設としても運用されていた場所とはマリカには思えない。
「これは…モンストロ・ウェポンの個体数がドーム内で増えました。マザー級が産んでいるのかもしれません」
「私達の襲撃を受けて戦力を増やそうとしているんだね。これ以上増やさないためにも急いでドームに突入しよう」
「バタム様に合図を送りますか?」
「うん、頼むよ。どうせ敵にスグに見つかるわけだし、出陣の狼煙として景気よくいこう。お姉ちゃん達に対しても私達がドームへと着いたよと知らせることにもなるしね」
カティアは頷き、背中に背負った偵察ユニットから信号弾を上空に打ち上げた。勢いよく飛び出してバッと炸裂し、七色の強烈な光の球となって街全体を照らす。真昼間でも明確に識別できる程の光量で、これなら遠くにいるバタムにも確実に視認できるはずだ。
「これでバタムさんがカティア用のキャノンパックを車で運んできてくれる。それまでは杖を使った魔弾で援護して」
「かしこまりました。全力をもって支援いたします!」
自身の身長程の長さがある杖を両手で握り、カティアはマリカに続いてドーム内部へと突入した。
中は薄暗く、入場ゲート付近は心霊スポットにでもなりそうな廃墟そのものの不気味さがある。マリカは客席に繋がる大きな扉を蹴破り、周囲を見渡した。
「なんだ、アレは…?」
天井の崩れた部分から陽の光が差し込み、その光が全高約十メートルの巨大なシルエットを浮かび上がらせている。それは水晶体のような球形の物体で、半透明の内部にて黒い渦が巻いていた。
「カティア、あの水晶みたいなのは何?」
「モンストロ・ウェポンを精製するための魔結晶です。マザー級のような大型個体をも造り出すことが可能で、アレこそがモンストロ・ウェポン達の子宮とも言える大元ですよ。しかも特殊な加工をされているという記録があり、魔力を帯びた攻撃でも簡単には破壊できません」
マザー級もモンストロ・ウェポンを産むことが可能とはいえ、ヒトモドキのような小さな種類のみである。これは前線における戦力補充を行うために与えられた能力だが、マリカ達の眼前にある魔結晶は大型のマザー級も含めて全ての種類を精製することがでるのだ。
「となると、優先するべきはトゥエルヴそのものを倒すことだね。ヤツさえ撃破すればモンストロ・ウェポンの動きは止まる」
「そのトゥエルヴはあそこに……」
「ン…って、マザー級の上じゃん!」
魔結晶の近くにマザー級一体が控えており、その背中の上に人型が立っている。それはトゥエルヴと呼ばれるアンドロイドで、モンストロ・ウェポンに人々を攻撃するように指示を出している元凶だ。
「間違いありません。旧世界にて暴走したアンドロイドのトゥエルヴです。どうやらリペアスキル等による修復はなされていないようですね」
トゥエルヴの人工皮膚はあちこち剥がれていて、内部骨格が露出している状態であった。このことからリペアスキルなどを用いた保善は行われていないことが分かる。恐らくは自己修復機能や、拾ったパーツを用いて今まで稼働していたのだろう。
「アイツを倒すためにもマザー級を撃破しないとね。けどヤツは強力な魔力障壁を展開できるから近づくのは難しいな……」
カティアのタンクパックによる砲撃をも防いだ魔力障壁を突破するには、一点に攻撃を集中させて無理矢理に突破するしかないだろう。
「なら、ここはわたくしの出番ですね。エスパスシフトならば魔力障壁も無視して空間転移可能ですので」
「そんなことも出来るの?」
「はい。皆さんのことも連れていけますが、その場合には多量の魔力を消費するので、魔力回復をしている間は戦線には加われなくなってしまいますが……」
「その後の事は私達に任せて。エーデリアが回復する前には決着を付けるよ」
マリカ達はエーデリアの腕に掴まった。そして直後、彼女達の体が柔らかな淡い光に包まれて消失する。
しかし、この世界から消えたというわけでも、裏世界に行ってしまったわけでもない。瞬時にしてマザー級の上部へと空間転移し、少女達の姿がパッと現れる。
「一気に倒してやる!」
トゥエルヴはもう目の前だ。マザー級の背中をマリカ達が魔具を構えて駆け、渾身の一撃を叩きこんで撃破しようとするが、
「触手がっ…!」
巨体の脇腹から生える数本の触手が薙ぎ払うように迫り、魔具を使って防御を行うもマリカ達はパワー負けして地面へと弾き飛ばされてしまった。
自分の身の危険を感じたトゥエルヴの指示による猛攻は想定以上で、マリカは舌打ちをしながら敵を見上げる。
「魔弾がくる!!」
マザー級の周囲に展開されていた魔力障壁は解除されており、これは魔力の全てを攻撃用に用いるためだ。その魔力を凝縮した魔弾が巨大な顔面の砲口から発射され、マリカは必死になって射線から回避する。
「あたしに任せろ。一瞬で終わらせていやる」
カナエはウインクしてステルススキルを発動し、気配を消して跳躍。マザー級の脚を踏み台にして上部に舞い戻り、静かに佇むトゥエルヴの背後へと接近した。
「こうも至近距離まで来たんだから、スグに片付ける!」
そして勝利を確信し、天井から差し込む陽の光を反射したナタを振り下ろす。
しかし、
「なんとっ!?」
トゥエルヴの左腕が稼働し、トンファー状の魔具がカナエのナタを弾いたのだ。
「ステルススキルで気配を消したというのに、よくも気がついたな!」
「あっ、そういえば…アンドロイドにはステルススキルは無効なんだって言い忘れていた」
以前訪れたハーフェンにてカナエがステルススキルを発動したものの、カティアだけはカナエを見失わずに姿を捉えていた。それはアンドロイドにはステルススキルによる気配遮断は無効であるという証左であり、マリカは後で伝えようとしていたのだが失念していたのだ。
「おぅい! そういう大切なコトは先に言っといてくれよなぁ!?」
「ゴメンゴメン。あの時はほら、フラッド・クラーケンやらお宝回収で忙しかったからという言い訳を使わせてもらうね」
「じゃあしょうがないな」
それで納得するカナエはお人好しであるが、自慢のスキルが封じられて敵への対抗策が失われたことに悔しさを感じている。
トゥエルヴへの不意打ちによる暗殺が不可能となった以上、マザー級を撃破しなければ肉薄することは不可能になってしまった。エーデリアのエスパスシフトで近づくという手段もあるが、魔力切れを起こしているので暫くは使用できない。
「コイツの火力は化け物だな…!」
弾かれて地面へと落下したカナエに対してマザー級から魔弾が放たれる。巨大な体内には膨大な魔力を有しており、カナエは後ろにジャンプすることで回避するも着弾時の爆発によって吹き飛ばされた。
「チィ…このデカブツをどうする? ヒトモドキもいるしな…!」
先程産み出されたばかりのヒトモドキも参戦し、カナエ達の背後から迫りくる。
「カティアのキャノンパックさえ届けば逆転できるかもだけど……」
「バタムさんの到着を待つしかないか。なら、あたし達がそれまで持ちこたえてみせる!」
「だね。カティアはエーデリアを守りながら援護をお願い!」
魔力の無い魔導士は一般人と変わらないので戦うことはできない。そんなエーデリアを自分の背後に匿いつつ、カティアはマリカの指示通りに杖を用いた魔弾にて援護射撃を行う。通常の魔物であれば一撃で倒せる威力はあるが、しかしマザー級の分厚い皮膚の前には豆鉄砲のようなものでしかなかった。
「車を降りた位置と、ここまでの距離を考えるとバタム様が到着するまでに五分から十分は必要でしょう……ですが劣悪な路面の状態や、バタム様は運転が初めてという事実を加味するともう少しかかるかもしれませんね……」
苦戦は免れられないという事実を算出しながらも、カティアはマザー級とヒトモドキ両方に対して魔弾を飛ばして牽制する。
そんな彼女達をよそに、近くに置かれた巨大な魔結晶が不気味に動きだす。モンストロ・ウェポンの子宮とも例えられた結晶体の動きは、少なくともマリカ達にとって歓迎するべき事態ではないのは確かだろう……
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