43 / 54
第43話 不安定な戦場
しおりを挟む
二葉からもたらされた情報通り、繁華街外角にある建設中のビルには過激派吸血姫が潜伏しているようだった。内部に潜入すると複数の敵意が向けられて千秋達は周囲を警戒して奇襲に備える。
「敵は上の方か・・・これは厄介ね」
鉄骨が剥き出しの箇所がほとんどで床は一部にしかないのだ。つまり幅三十センチ程の平均台の上で戦うようなもので、不安定な状態ではいつものような実力は出せない。それは敵だって同じだが、どちらにせよ危険度が高い戦場だ。
「来たか!」
上階へと昇ると傀儡吸血姫が飛びかかってきた。足場の悪さを気にする様子もないのは彼女達が命を惜しむような生命体ではなくなっているからだろう。
「チッ!」
千秋は刀で防御して弾き飛ばすが、傀儡吸血姫は器用にも鉄骨を掴んで落下せずに睨みつけてくる。ここで訓練でも積んでいたのか慣れているようだ。
「そりゃ誘い出すなら不慣れなわけないか・・・・・・」
敵の攻撃を防いだ際に足が滑ってヒヤッとし、苦戦するなコレはと下唇を噛む。
「千祟千秋、それではやられるわよ」
そんな千秋をよそに愛佳は上手く立ち回れているようだ。細い鉄骨の上で華麗な刀捌きを見せ敵を一体両断する。
「やるわね、神木さん」
「当然。こういう事を見越してのトレーニングもしているのよ」
「どんな?」
「公園のシーソーの上で素振りをね。子供や親御さんから向けられるヘンな目線を受けることで羞恥心を克服するトレーニングにもなるのよ」
「えぇ・・・・・・」
千秋からもヘンなモノを見る視線が飛ぶが愛佳は気にしていない。さすがトレーニング成果はしっかり出ているようだ。
「ああ、神木さんて意外と見られると興奮するタイプ・・・」
「アンタは黙ってなさい」
茶化す朱音を一喝して、愛佳は襲い掛かってきたもう一体も撃破した。
「けど私も・・・! 小春にカッコイイところを見せるんだから・・・!」
万が一にも落下してダサい姿を小春に見せたくなかった。いつだって小春にキュンとされたいし、巫女の愛佳にできるならと対抗心もあるのだ。
「ほーん、やるじゃん?」
「吸血姫本体か!」
千秋が声がする方を見上げると、そこには冥姫がポケットに手を突っ込んで立っており、槍を担いでこちらを見下ろしていた。その隣には平子もいて両者は同時に鉄骨から飛び降りる。
「でもウチらには勝てないっしょ!」
冥姫は見事な着地で千秋の近くへと降り立ち素早い槍の一撃を見舞う。このような足場ではリーチが長く直線的な攻撃を可能とする槍が優位だ。千秋は一方的な攻撃の前に防戦に徹するしかなく、なんとか凌いでいる状態となる。
「ちーち、今行くから」
千秋のピンチを見た朱音が援護に駆け付けようとするが、
「させないよーん。冥姫さんはウチが守るもんね」
「なんだコイツ!」
槍を振りかざす平子の妨害を受けて、そちらに意識を向けざるを得なくなってしまった。朱音の魔具であるグローブは敵の攻撃をいなすには向いておらず回避するしかない。
「クッ・・・リーチの差がこうも顕著に現れるなんてな・・・!」
懐に潜り込めれば朱音の独断場だが、そこに至るのは至難の業だ。横薙ぎに振られた槍をバックステップで避けるも姿勢を崩して下の階へと落下してしまう。
「相田朱音!」
「次はお前か!」
朱音を追い払った平子は愛佳にターゲティングし、愛佳の立つ鉄骨へと飛び移った。その身のこなしは愛佳と互角以上で実力は確かにあることが分かる。
「へー・・・アンタ、巫女なんだ?」
「だから?」
「巫女って嫌いなんよねぇ。吸血姫をバカにしてさ・・・・・・」
「アンタ達だって人間をバカにしてるじゃない」
「力の差が明白だもん。ウチらは人間のような下等生物とは違うんで」
「その下等生物である人間に殲滅されるのがアンタ達のような自意識過剰吸血姫共の運命よ!」
刀を携え、鉄骨の上を身軽に駆けながら愛佳は平子へと斬りかかった。
「けっこう動けるんだ・・・?」
「甘く見ないでほしいわね。この程度で自分達が有利に戦えると思いあがっちゃって!」
「けど不利でもない!」
槍の柄の部分で刃を受け止めるという無謀な防御を行い、力任せに振るって愛佳を弾く。
「柄で受けて折れない!?」
「そりゃ安物の魔具じゃないもんね! 鍔迫り合いだってお手の物!」
不敵な笑みと共に平子は愛佳に追撃をかけようとする。
しかし、
「後ろっ!?」
いつの間にか朱音が平子の背後に迫ってパンチを繰り出していたのだ。
「けれども!」
ギリギリで右ストレートを躱した平子は膝蹴りで反撃する。咄嗟の攻撃だったので威力は伴っていないが、蹴られた朱音はズサッと下がって舌打ちながら魔具を構えなおす。
「これで二体一・・・」
「傀儡吸血姫だっているからコッチには!」
「だよな」
周囲の鉄骨に傀儡吸血姫が集まり、これでは囲まれたも同然だ。
余裕の態度を崩さない平子は二人の吸血姫と巫女と対峙し、上階で戦う冥姫の勝利を願いながら槍を腰だめに構えた。
「二葉ちゃん、なんかマズい雰囲気だよ・・・・・・」
「は、はい・・・先輩方がピンチですね・・・・・・」
小春達は一階にて資材の影に隠れて戦いを観察していたが、千秋達が窮地に陥っているのを見て居ても立ってもいられない。
「私達で支援できないかな?」
「傀儡吸血姫の気を引くくらいはできるかもです。とりあえず上の階を目指しましょうか?」
「だね。千秋ちゃんの助けになるなら・・・・・・」
戦闘力の無い自分が行っても足手まといになる可能性はある。しかし小春とて吸血姫の戦場に何度も立ち会ったので度胸もついてきたし、二葉と一緒であれば傀儡吸血姫一体くらいは相手にできそうだ。
二階フロアの一部分には床が設置されており、そこに陣取った二葉は置いてあった工具を手に取る。
「では・・・いきますよ」
工具を目に付いた傀儡吸血姫に向けておもいっきり投げつけた。
「いたっ・・・なにすんじゃコイツ!」
見事に工具は傀儡吸血姫にヒットし、その傀儡吸血姫は鉄骨の上から睨みつけてくる。
「平子様、あの小娘共はどうしますか? 殺しにいっていいですか?」
「うーん、ウチらが優位に戦うには鉄骨の上のほうがいいんだけど・・・でもあのコ達は雑魚そうだしアンタに任せるわ」
上下関係はしっかりしているようで、先程工具をぶつけられた傀儡吸血姫は平子の許可を受けてから降り二葉達の前に立ち塞がった。一体とはいえ敵の戦力を引きつけることができたわけで後は無事に倒せれば御の字だ。
「ナメたマネしてくれやがったなテメェ!」
怒りの叫びを上げながら魔具として加工された鉄パイプを振りかざして二葉に襲い掛かる。
「ひぃ!」
「死ねやコラァ!」
圧に押された二葉はビビッてしまっているが小春はまだ冷静だった。近くに転がっていたバールのような物を拾い傀儡吸血姫にフルスイングしたのだ。
「ぐあっ・・・!」
「二葉ちゃん、今だよ!」
小春の勇気に我に返った二葉は、よろけた傀儡吸血姫に突進して短剣を突き刺す。
「こんな小娘にっ・・・!」
致命的な一撃になったらしく、傀儡吸血姫は赤い粒子となって霧散した。即席の連携であったが上手く作用して敵を倒すことができ、小春は安堵して一息つく。
「あ、赤時先輩すごいですね・・・人間でありながらも傀儡吸血姫と戦おうなんて」
「いやあ咄嗟のことで・・・自分でも体が動いたことにビックリだよ」
「それに比べてわたしはビビッてしまって・・・・・・」
「大丈夫、ここからだよ。頑張ろ」
小春の励ましで元気づけられた二葉は次のターゲットを選ぶ。平子や冥姫を相手にできればいいがさすがに無理がある。なので千秋達の負担を減らすべく傀儡吸血姫を対処することに集中するしかない。
「小春、無茶をして・・・・・・」
その小春の勇士は千秋も見ていた。頑張っている姿にトキメキつつも、傀儡吸血姫とて人間には強敵であることに違いは無く、いくら二葉と一緒とはいえ心配でしかなかった。
「どこ見てんの!」
千秋の視線が自分から外れていることにナメられていると思った冥姫は苛立ち、殺意の籠った槍の一撃を放つ。
「私の小春を見ていたのよ」
「ハァ?」
何を言ってるんだコイツはと連続で素早い突きを見舞うが、その攻撃に慣れてきた千秋は的確に対応して逆に距離を詰めて刀で斬りかかった。冥姫は優位性が失われていることに焦りを感じはじめるが、まだ勝てる見込みは充分にあると自分に言い聞かせる。
「噂通り、なかなかの実力じゃん?」
「当たり前でしょ。千祟千秋なのよ私は」
「傲慢なヤツ・・・キラいだよそういうヤツは」
「あら、アナタ達も大概な気がするけれどもね?」
「テメェほどじゃねぇ」
千秋に対する苛立ちが頂点に達した冥姫は奥の手を使う事にした。躊躇っていては気を逃すと思い切りがいいらしい。
「ふっ、見せてやるよ。ウチだってただの吸血姫でないってところをね!」
「なにをどうするの?」
「こうするんだよ・・・!」
少し引き下がった冥姫の目が妖しく発光し、彼女に力が漲るのを千秋は感じ取った。
「変妖術!」
邪気が冥姫を包み込み、獣が千秋へ迫る。
-続く-
「敵は上の方か・・・これは厄介ね」
鉄骨が剥き出しの箇所がほとんどで床は一部にしかないのだ。つまり幅三十センチ程の平均台の上で戦うようなもので、不安定な状態ではいつものような実力は出せない。それは敵だって同じだが、どちらにせよ危険度が高い戦場だ。
「来たか!」
上階へと昇ると傀儡吸血姫が飛びかかってきた。足場の悪さを気にする様子もないのは彼女達が命を惜しむような生命体ではなくなっているからだろう。
「チッ!」
千秋は刀で防御して弾き飛ばすが、傀儡吸血姫は器用にも鉄骨を掴んで落下せずに睨みつけてくる。ここで訓練でも積んでいたのか慣れているようだ。
「そりゃ誘い出すなら不慣れなわけないか・・・・・・」
敵の攻撃を防いだ際に足が滑ってヒヤッとし、苦戦するなコレはと下唇を噛む。
「千祟千秋、それではやられるわよ」
そんな千秋をよそに愛佳は上手く立ち回れているようだ。細い鉄骨の上で華麗な刀捌きを見せ敵を一体両断する。
「やるわね、神木さん」
「当然。こういう事を見越してのトレーニングもしているのよ」
「どんな?」
「公園のシーソーの上で素振りをね。子供や親御さんから向けられるヘンな目線を受けることで羞恥心を克服するトレーニングにもなるのよ」
「えぇ・・・・・・」
千秋からもヘンなモノを見る視線が飛ぶが愛佳は気にしていない。さすがトレーニング成果はしっかり出ているようだ。
「ああ、神木さんて意外と見られると興奮するタイプ・・・」
「アンタは黙ってなさい」
茶化す朱音を一喝して、愛佳は襲い掛かってきたもう一体も撃破した。
「けど私も・・・! 小春にカッコイイところを見せるんだから・・・!」
万が一にも落下してダサい姿を小春に見せたくなかった。いつだって小春にキュンとされたいし、巫女の愛佳にできるならと対抗心もあるのだ。
「ほーん、やるじゃん?」
「吸血姫本体か!」
千秋が声がする方を見上げると、そこには冥姫がポケットに手を突っ込んで立っており、槍を担いでこちらを見下ろしていた。その隣には平子もいて両者は同時に鉄骨から飛び降りる。
「でもウチらには勝てないっしょ!」
冥姫は見事な着地で千秋の近くへと降り立ち素早い槍の一撃を見舞う。このような足場ではリーチが長く直線的な攻撃を可能とする槍が優位だ。千秋は一方的な攻撃の前に防戦に徹するしかなく、なんとか凌いでいる状態となる。
「ちーち、今行くから」
千秋のピンチを見た朱音が援護に駆け付けようとするが、
「させないよーん。冥姫さんはウチが守るもんね」
「なんだコイツ!」
槍を振りかざす平子の妨害を受けて、そちらに意識を向けざるを得なくなってしまった。朱音の魔具であるグローブは敵の攻撃をいなすには向いておらず回避するしかない。
「クッ・・・リーチの差がこうも顕著に現れるなんてな・・・!」
懐に潜り込めれば朱音の独断場だが、そこに至るのは至難の業だ。横薙ぎに振られた槍をバックステップで避けるも姿勢を崩して下の階へと落下してしまう。
「相田朱音!」
「次はお前か!」
朱音を追い払った平子は愛佳にターゲティングし、愛佳の立つ鉄骨へと飛び移った。その身のこなしは愛佳と互角以上で実力は確かにあることが分かる。
「へー・・・アンタ、巫女なんだ?」
「だから?」
「巫女って嫌いなんよねぇ。吸血姫をバカにしてさ・・・・・・」
「アンタ達だって人間をバカにしてるじゃない」
「力の差が明白だもん。ウチらは人間のような下等生物とは違うんで」
「その下等生物である人間に殲滅されるのがアンタ達のような自意識過剰吸血姫共の運命よ!」
刀を携え、鉄骨の上を身軽に駆けながら愛佳は平子へと斬りかかった。
「けっこう動けるんだ・・・?」
「甘く見ないでほしいわね。この程度で自分達が有利に戦えると思いあがっちゃって!」
「けど不利でもない!」
槍の柄の部分で刃を受け止めるという無謀な防御を行い、力任せに振るって愛佳を弾く。
「柄で受けて折れない!?」
「そりゃ安物の魔具じゃないもんね! 鍔迫り合いだってお手の物!」
不敵な笑みと共に平子は愛佳に追撃をかけようとする。
しかし、
「後ろっ!?」
いつの間にか朱音が平子の背後に迫ってパンチを繰り出していたのだ。
「けれども!」
ギリギリで右ストレートを躱した平子は膝蹴りで反撃する。咄嗟の攻撃だったので威力は伴っていないが、蹴られた朱音はズサッと下がって舌打ちながら魔具を構えなおす。
「これで二体一・・・」
「傀儡吸血姫だっているからコッチには!」
「だよな」
周囲の鉄骨に傀儡吸血姫が集まり、これでは囲まれたも同然だ。
余裕の態度を崩さない平子は二人の吸血姫と巫女と対峙し、上階で戦う冥姫の勝利を願いながら槍を腰だめに構えた。
「二葉ちゃん、なんかマズい雰囲気だよ・・・・・・」
「は、はい・・・先輩方がピンチですね・・・・・・」
小春達は一階にて資材の影に隠れて戦いを観察していたが、千秋達が窮地に陥っているのを見て居ても立ってもいられない。
「私達で支援できないかな?」
「傀儡吸血姫の気を引くくらいはできるかもです。とりあえず上の階を目指しましょうか?」
「だね。千秋ちゃんの助けになるなら・・・・・・」
戦闘力の無い自分が行っても足手まといになる可能性はある。しかし小春とて吸血姫の戦場に何度も立ち会ったので度胸もついてきたし、二葉と一緒であれば傀儡吸血姫一体くらいは相手にできそうだ。
二階フロアの一部分には床が設置されており、そこに陣取った二葉は置いてあった工具を手に取る。
「では・・・いきますよ」
工具を目に付いた傀儡吸血姫に向けておもいっきり投げつけた。
「いたっ・・・なにすんじゃコイツ!」
見事に工具は傀儡吸血姫にヒットし、その傀儡吸血姫は鉄骨の上から睨みつけてくる。
「平子様、あの小娘共はどうしますか? 殺しにいっていいですか?」
「うーん、ウチらが優位に戦うには鉄骨の上のほうがいいんだけど・・・でもあのコ達は雑魚そうだしアンタに任せるわ」
上下関係はしっかりしているようで、先程工具をぶつけられた傀儡吸血姫は平子の許可を受けてから降り二葉達の前に立ち塞がった。一体とはいえ敵の戦力を引きつけることができたわけで後は無事に倒せれば御の字だ。
「ナメたマネしてくれやがったなテメェ!」
怒りの叫びを上げながら魔具として加工された鉄パイプを振りかざして二葉に襲い掛かる。
「ひぃ!」
「死ねやコラァ!」
圧に押された二葉はビビッてしまっているが小春はまだ冷静だった。近くに転がっていたバールのような物を拾い傀儡吸血姫にフルスイングしたのだ。
「ぐあっ・・・!」
「二葉ちゃん、今だよ!」
小春の勇気に我に返った二葉は、よろけた傀儡吸血姫に突進して短剣を突き刺す。
「こんな小娘にっ・・・!」
致命的な一撃になったらしく、傀儡吸血姫は赤い粒子となって霧散した。即席の連携であったが上手く作用して敵を倒すことができ、小春は安堵して一息つく。
「あ、赤時先輩すごいですね・・・人間でありながらも傀儡吸血姫と戦おうなんて」
「いやあ咄嗟のことで・・・自分でも体が動いたことにビックリだよ」
「それに比べてわたしはビビッてしまって・・・・・・」
「大丈夫、ここからだよ。頑張ろ」
小春の励ましで元気づけられた二葉は次のターゲットを選ぶ。平子や冥姫を相手にできればいいがさすがに無理がある。なので千秋達の負担を減らすべく傀儡吸血姫を対処することに集中するしかない。
「小春、無茶をして・・・・・・」
その小春の勇士は千秋も見ていた。頑張っている姿にトキメキつつも、傀儡吸血姫とて人間には強敵であることに違いは無く、いくら二葉と一緒とはいえ心配でしかなかった。
「どこ見てんの!」
千秋の視線が自分から外れていることにナメられていると思った冥姫は苛立ち、殺意の籠った槍の一撃を放つ。
「私の小春を見ていたのよ」
「ハァ?」
何を言ってるんだコイツはと連続で素早い突きを見舞うが、その攻撃に慣れてきた千秋は的確に対応して逆に距離を詰めて刀で斬りかかった。冥姫は優位性が失われていることに焦りを感じはじめるが、まだ勝てる見込みは充分にあると自分に言い聞かせる。
「噂通り、なかなかの実力じゃん?」
「当たり前でしょ。千祟千秋なのよ私は」
「傲慢なヤツ・・・キラいだよそういうヤツは」
「あら、アナタ達も大概な気がするけれどもね?」
「テメェほどじゃねぇ」
千秋に対する苛立ちが頂点に達した冥姫は奥の手を使う事にした。躊躇っていては気を逃すと思い切りがいいらしい。
「ふっ、見せてやるよ。ウチだってただの吸血姫でないってところをね!」
「なにをどうするの?」
「こうするんだよ・・・!」
少し引き下がった冥姫の目が妖しく発光し、彼女に力が漲るのを千秋は感じ取った。
「変妖術!」
邪気が冥姫を包み込み、獣が千秋へ迫る。
-続く-
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる