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第四章 深淵
22. 変異
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初めて第三層を採掘することに成功した僕たちは、皆で喜びを分かち合った。
ハットは大きな声を出して小躍りしながら、誰彼構わず抱きついている。
サントは落ち着いていると思ったら、感動のあまり泣いていたようだ。
サントが泣きながら僕に抱きついて来たときは、僕も思わず泣きそうになってしまった。
採掘した欠片を無くさないように気を付けながら、みなで研究室に戻っていった。
マニスにも採掘に成功したことを報告すると、血相を変えて飛んできた。
歯ぎしりをして悔しがるマニスを見て、少し気分がスッとする。
当初の約束通り、最初に欠片を手にしたサントが最初に研究をするということになった。
サントは僕が採掘したということで、ハットに権利を渡そうとしていたが、ハットが断っていた。
みんなでやったことだから、と。
何ともハットらしい。
発見の報告は、研究が終わってからということで合意した。
下手に公表して政府に取られても困るし、満足いくまで研究できることの方が優先度は高く、誰からも異論は出なかった。
マニスは終始不機嫌で、話し合いが終わると早々に研究室を出ていった。
発見の報告の際は自分の名前も載せるように、としつこく何度も言っていたので、よっぽど悔しかったのだと思う。
第三層を採掘できたことをいつもの共有会でパラヤに伝えると、さすがに驚いたようで、少し固まっていた。
「......うそでしょ。どうやって。」
方法を説明すると、何やら考え込んでから口を開く。
「......ってことは、誰でも採掘できるようになるってこと?」
「たぶんね。僕でもできたから、調査団の作業員なら誰でもできるんじゃないかな。みんな何かしらの、僕でいう声が聞こえた、みたいな特別な感覚を持ってるだろうし。もちろん、サントとハットが仕組みを公表したら、だと思うけどね。」
「......大発見じゃん。名前残るかもよ。」
「僕は残らないよ。ただ採掘しただけだもの。」
「......でも、アイデアはシャルでしょ。載せてもらうようにお願いしたら?」
「たしかに......ありかも。」
「......まんざらでもないじゃん。」
パラヤが笑いながら僕の肩を小突く。
なんだか恥ずかしくなってワーワー騒いでいると、寝る時間になっていた。
自分の部屋のベッドに横になり、天井を見る。
長い一日だった。
初めてここに来たときは、こんなことになるとは思わなかった。
世界の真実にまた一歩、近づいた気がする。
ただ、まだまだこれからだ、とも思う。
トマが消えた理由すら、いまだにわかっていないのだから。
そろそろハットやサントに相談してみてもいいかもしれない。
あの二人なら信用できる。
明日からまたスタートだと目を閉じたが、興奮していてなかなか寝付けなかった。
「次の目標を決めよう!」
相変わらずハットは今日も元気だ。
僕は、意を決して、トマのことを相談してみることにした。
「その前に、聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「もちろん!なんでもどうぞ!」
「実は......」
僕がトマのことを話し始めると、元気だったハットは神妙な面持ちで僕の話を遮り、小さな声で話し始めた。
「その話は、あまりしない方がいい。どこで聞かれているかわからないからね。続きは白脈の中でしよう。」
「と、いうわけで作戦会議だ!!」
元気な姿に戻ったハットに流されるまま、今後の調査方針について話し合った。
今後は、より深く、調査が完了していない白脈を中心に調査することになった。
深ければ深いほど、より深層に近づくことができるのではないか、という期待があるからだ。
早速、いくつか目星を付けて採掘に乗り出した。
白脈の中を、僕は気が付いたらすごい速さで進んでいたようだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ、シャル君......はやいよ......」
振り返ると、ハットが肩で息をしていた。
「トマの話が聞きたいので......」
「ここまで来ればいいかな......ちょっと休憩しよう。」
ハットが少し先の岩場を指さす。
「ふぅ......」
ハットが息を整えてから、持参してきた水を飲む。
「例の......消えたトマ君の話だけど......正直に言うと、僕もよくわからない。自分の目で見たことはないけど、聞いたことはある。それでもいいかい?」
「はい、聞きたいです。」
「よし。結論から言うと、生きてはいると思う。ただ、研究対象として政府の組織に送られた可能性が高いね。僕の聞いた話によると、採掘場に長い時間いると、体に変化を起こすことがあるらしいんだ。」
トマは生きている。
あくまでも可能性だが、それだけでも嬉しい情報だった。
「体に変化って、どういうことですか?」
「人間のフレームから、外れるんだ。つまり......化物になる。」
ハットは大きな声を出して小躍りしながら、誰彼構わず抱きついている。
サントは落ち着いていると思ったら、感動のあまり泣いていたようだ。
サントが泣きながら僕に抱きついて来たときは、僕も思わず泣きそうになってしまった。
採掘した欠片を無くさないように気を付けながら、みなで研究室に戻っていった。
マニスにも採掘に成功したことを報告すると、血相を変えて飛んできた。
歯ぎしりをして悔しがるマニスを見て、少し気分がスッとする。
当初の約束通り、最初に欠片を手にしたサントが最初に研究をするということになった。
サントは僕が採掘したということで、ハットに権利を渡そうとしていたが、ハットが断っていた。
みんなでやったことだから、と。
何ともハットらしい。
発見の報告は、研究が終わってからということで合意した。
下手に公表して政府に取られても困るし、満足いくまで研究できることの方が優先度は高く、誰からも異論は出なかった。
マニスは終始不機嫌で、話し合いが終わると早々に研究室を出ていった。
発見の報告の際は自分の名前も載せるように、としつこく何度も言っていたので、よっぽど悔しかったのだと思う。
第三層を採掘できたことをいつもの共有会でパラヤに伝えると、さすがに驚いたようで、少し固まっていた。
「......うそでしょ。どうやって。」
方法を説明すると、何やら考え込んでから口を開く。
「......ってことは、誰でも採掘できるようになるってこと?」
「たぶんね。僕でもできたから、調査団の作業員なら誰でもできるんじゃないかな。みんな何かしらの、僕でいう声が聞こえた、みたいな特別な感覚を持ってるだろうし。もちろん、サントとハットが仕組みを公表したら、だと思うけどね。」
「......大発見じゃん。名前残るかもよ。」
「僕は残らないよ。ただ採掘しただけだもの。」
「......でも、アイデアはシャルでしょ。載せてもらうようにお願いしたら?」
「たしかに......ありかも。」
「......まんざらでもないじゃん。」
パラヤが笑いながら僕の肩を小突く。
なんだか恥ずかしくなってワーワー騒いでいると、寝る時間になっていた。
自分の部屋のベッドに横になり、天井を見る。
長い一日だった。
初めてここに来たときは、こんなことになるとは思わなかった。
世界の真実にまた一歩、近づいた気がする。
ただ、まだまだこれからだ、とも思う。
トマが消えた理由すら、いまだにわかっていないのだから。
そろそろハットやサントに相談してみてもいいかもしれない。
あの二人なら信用できる。
明日からまたスタートだと目を閉じたが、興奮していてなかなか寝付けなかった。
「次の目標を決めよう!」
相変わらずハットは今日も元気だ。
僕は、意を決して、トマのことを相談してみることにした。
「その前に、聞きたいことがあるんですけど、いいですか?」
「もちろん!なんでもどうぞ!」
「実は......」
僕がトマのことを話し始めると、元気だったハットは神妙な面持ちで僕の話を遮り、小さな声で話し始めた。
「その話は、あまりしない方がいい。どこで聞かれているかわからないからね。続きは白脈の中でしよう。」
「と、いうわけで作戦会議だ!!」
元気な姿に戻ったハットに流されるまま、今後の調査方針について話し合った。
今後は、より深く、調査が完了していない白脈を中心に調査することになった。
深ければ深いほど、より深層に近づくことができるのではないか、という期待があるからだ。
早速、いくつか目星を付けて採掘に乗り出した。
白脈の中を、僕は気が付いたらすごい速さで進んでいたようだ。
「ちょ、ちょっと待ってよ、シャル君......はやいよ......」
振り返ると、ハットが肩で息をしていた。
「トマの話が聞きたいので......」
「ここまで来ればいいかな......ちょっと休憩しよう。」
ハットが少し先の岩場を指さす。
「ふぅ......」
ハットが息を整えてから、持参してきた水を飲む。
「例の......消えたトマ君の話だけど......正直に言うと、僕もよくわからない。自分の目で見たことはないけど、聞いたことはある。それでもいいかい?」
「はい、聞きたいです。」
「よし。結論から言うと、生きてはいると思う。ただ、研究対象として政府の組織に送られた可能性が高いね。僕の聞いた話によると、採掘場に長い時間いると、体に変化を起こすことがあるらしいんだ。」
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