上 下
2 / 141
第一章 異世界の獣人女性

戦闘力と獣人女性との出会い

しおりを挟む
「ううっ⋯⋯ここは⋯?」

 光の中にいて、上から落ちたような感覚の後、気が付いたら森の中だった。

「俺は、本当に転生したのか⋯⋯」

 森の中だが、明らかに元の世界の山や森の中とは違う。普通の木もあるが、木が白かったり、中には紫や暗い赤色の木がある。
 しかし魔物とかモンスターがいる世界に転生するのに、森の中とは⋯いきなり魔物に襲われたらどうすんねん! 心の中で軽く女神にツッコミを入れながら、まずはどうするか考える。
 今気付いたが、手には1本の木の棒が握らされていた。なんだこれ? 武器か? 女神からのチート武器が棒? 棍棒でもないただの木の棒。
 いやいやいや⋯ウソだろ! これは無いわー。モンスターがいるんだろ?

 武器じゃないのか? 魔法の杖かな? などと考えながら棒をよく見ると⋯⋯ん? なんだこれ? もしかして⋯⋯。
 棒を両手で持ち、右手を引くと刀身が現れた。

「なるほど、仕込み刀ってとこか⋯」

 しかもこれは、俺が好きな座◯市の仕込み杖そっくりな刀じゃないか! ちょっと嬉しいな。これが俺に与えられたチート武器か。悪くない。
 あとは魔法とか使ってみたいけど、街に行って誰かに聞いたり、魔法書なんかで勉強しないと、まったく検討もつかない。

「とりあえず、人がいる街を探さないとダメだな。それに森の中は怖い」

 森だが道はあるので、周りを警戒しながら歩き始める。真っ暗になる前に森から出ないとマズい。今は明るいからいいが、暗くなったらどうしようもない。
 道があるのだから、どこかには着くだろう。さらに深い森の奥に着く可能性もあるが⋯⋯。

「キャーーーッ!!」

 しばらく歩いた時、急に森の奥から女性の悲鳴が聞こえてきた。悲鳴がした方を見てみると、道からも見える距離で大きな熊が何かを威嚇していた。しかし俺の知ってる熊と違い、茶色の毛並みに黄色い斑点が身体中にある。あれがモンスターなのか?
 それより女性を助けなければ⋯⋯と思ったが女性が見当たらない。逃げたのかな?
 熊の影になっててよく見えないが、尻尾が見えるから動物を襲っているようだ。さっき悲鳴をあげた女性のペットかな? 
 俺は熊の後ろにいて、熊は何かの動物に威嚇しているので俺に気付いてない。これはチャンスか?

 ちょっと怖いけど、この仕込み刀の斬れ味と、俺の戦闘力も知りたいから初戦闘といくか。女神によれば、そう簡単には死なないように、頭を握り潰されそうな痛みとともにいろいろ能力を上げてくれてるらしいし、まあ大丈夫だろう。
 後ろから熊に近付き、座◯市のように仕込み刀を逆手で握り、熊の首に抜き放った。そのひと振りで、熊の首はバターを切るように斬れただけでなく、その先にあった木もスッパリ斬れて倒れてしまった。
 何これ? 斬れ過ぎだろ! 後ろの木なんて刀身が届いてないのに⋯⋯。斬撃ってヤツか? 刀もすごいが、俺の能力上昇値も凄いみたいだな。加減をしないと周りを巻き込みかねない。

「あ、あの⋯ありがとうございました」

 声のした方を見ると、綺麗な茶色の長い髪で、狐のような耳が頭から生え、フサフサとした尻尾を振っている可愛い女性がいた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

男ふたなりな嫁は二人の夫に愛されています

BL / 連載中 24h.ポイント:924pt お気に入り:135

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:5,683pt お気に入り:3,094

【完結】出戻り令嬢の奮闘と一途な再婚

恋愛 / 完結 24h.ポイント:447pt お気に入り:146

王族から見捨てられた私は魔物使いになる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:2

異世界でおまけの兄さん自立を目指す

BL / 連載中 24h.ポイント:16,889pt お気に入り:12,477

クルマでソロキャンプ🏕

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:18

悪役令嬢は双子の淫魔と攻略対象者に溺愛される

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:1,924pt お気に入り:3,025

処理中です...