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第三章 日常時々非日常
霊能力者
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「発見時やうちで保護することになった時の事は詳しくは知らへんのじゃ。当時はまだ当主ちゃうかったし。」
ああ、言われてみればと拓哉は思った。
二十歳で当主と言うことは、当主になったのは今年だ。
しかも当時は十五歳。
まだまだ子供だった頃の話だ。
大人が絡む話を聞いてるわけがないか。
「その辺り詳しい方は?」
「当時の当主だった祖母じゃが、去年亡くなった。両親は当時出かけておったし、誰もおらんかもしれん。」
どうやら発見時の話はこれ以上聞けそうにはなかった。
「その山田さんは今どこにいるのかわかりませんか?」
と光が聞くが
「知らんな。何も言わず出て行ってもうた。」
「出て行く前に何か言ってたとかは?」
「んー、そう言うんもなかったかな。記憶喪失なんもあって、あまり自分のことを話さなかった。」
光はがっかりしていた。
「そもそも何で出て行ったんだろう。」
拓哉はぼそっと言ったが、この言葉に御子は考え込んだ。
「んー。なんで・・・。だがあまり良いことではない思うな。」
と御子は険しい顔で言った。
「それはどうして?」
と間宮が聞き返す。
「出て行く直前、恐らく山田は記憶が戻っておった。雰囲気が変わったからな。そしてあの色は覚悟を決めたって感じやったな」
拓哉は(色?)と思った。
それは間宮も同じだったようだ。
「失礼。色とは?」
「ん?言うとらんかったか?うちは霊能力者や。」
答えになってなかった。
「霊能力によって、対象者の何らかの秘密が見えるってことかい?」
間宮が興味津々とばかりに食い気味で質問した。
「せや。」
「それはどんな感じで?とういうかどうやって?」
「んーーーーー。」
御子はそう唸ると、三人を凝視した。
「ダメやな。面白くなさそうだし、そっちは教えたらへん。」
「え?」
間宮は呆気にとられていた。
拓哉でさえ今までの調子でほいほい答えてくれるものだと思っていた。
「一応家業やからな。企業秘密じゃ。あんたらが面白そうだったら答えてもええけど・・・」
そう言ってまた御子はを見渡した。
「間宮と吉田。あんたらの色は普通やな。特に面白そうやない。」
間宮はショックな顔をしていた。
拓哉は内心 (誰が普通だ!) と怒っていた。
「せやけど光。あんたは面白そうやな。あんたの秘密教えてくれるなら考えたる。」
「え?」
光は驚いて口を開いていた。
「それも色とやらを見て言ってるのかい?」
間宮はここぞとばかりに情報収集をしようとしている。
「せやな。」
どうやらそうらしい。
光は考えていた。
迂闊に自分の話をしてしまって良いのか。
そもそも光は霊能力については興味が無い。
いや、興味はあるし知りたいとは思うが今はそれを調べに来たわけじゃない。
迂闊に話すと先日の宮田の件の様に徒労に終わる可能性もある。
この目の前の自称霊能力者を信じて良いかも判断できない。
(こんな時に唯志君がいてくれたら・・・)
「なんじゃ、悩んどるのう・・・。光の色には山田と似たようなものが混じっとるから、似たような境遇かと思うたんじゃが。」
「え、でも私記憶喪失じゃないよ?」
「ふむ・・・じゃあ勘違いか?だが面白そうな秘密があるのは間違いないやろ?」
「それは・・・」
答えあぐねている光に助け舟を出したい拓哉だが、拓哉自身も先日の宮田の失敗もあってか判断できずにいた。
間宮は霊能力について聞きたい反面、言いたがらない光の意思を尊重する大人な対応をしていた。
結局、光は答えられなかった。
御子を信用していいものか判断できなかったから。
拓哉は拓哉で、霊能力なんて胡散臭いものの為に秘密は洩らせないと自分に言い訳をしていた。
結局のところ勝手に話すことで光の信用を失いたくない、自分が責任を被りたくないだけだが、脳内で必死に言い訳をして自分を正当化している。
その後は引き続き山田という人物について聞いたが、大した収穫は無かった。
御子は西条家の中で一番山田と親しかった様だ。
外から来た人間に興味があったからだ。
それと御子曰く面白い色をしていたからとか。
だが、結局本人のことはよくわからないままだったと言っていた。
ただ気になる事もあった。
たまにフラッシュバックする記憶で大都市が出てくるらしいが、東京や大阪の映像を見せてもピンとこなかったらしい。
もしかしたらこの山田も『未来人』で、未来の大都市出身なのかもしれない。
だが、現在行方不明。
手がかりも無しだ。
間宮は引き続き『霊能力』について聞こうとしているが、相変わらず重要なことは躱されている。
そうこうしている間にいい時間になってきた。
「間宮さん、そろそろ・・・。」
と拓哉が促した。
「あ、ああ。そうだね。もう帰らないと時間的に厳しいか。」
時刻は十九時。
これから帰るとなると二十一時頃になってしまう。
間宮は残念そうだったが、本日の『調査』はここまでにすることとなった。
「またいつでも来ると良い。今度はあんたらの住んでる都会についても聞かせてな。光は話す気になったら教えてーな」
御子はそう言って笑顔で見送ってくれた。
--
帰りの車内。
拓哉は相変わらず無言だったが、行きとは違いあまり役に立てなかったことが悔しくて黙っている。
光はスマホでポチポチとやっている。
唯志や莉緒に報告でもしているんだろう。
「少しだけど収穫はあったね。」
間宮の言う通り、収穫はあった。
ほんの少しだが前に進んだ。
だが、車内の雰囲気は何とも敗北ムードのまま拓哉たちは家へと帰って行った。
ああ、言われてみればと拓哉は思った。
二十歳で当主と言うことは、当主になったのは今年だ。
しかも当時は十五歳。
まだまだ子供だった頃の話だ。
大人が絡む話を聞いてるわけがないか。
「その辺り詳しい方は?」
「当時の当主だった祖母じゃが、去年亡くなった。両親は当時出かけておったし、誰もおらんかもしれん。」
どうやら発見時の話はこれ以上聞けそうにはなかった。
「その山田さんは今どこにいるのかわかりませんか?」
と光が聞くが
「知らんな。何も言わず出て行ってもうた。」
「出て行く前に何か言ってたとかは?」
「んー、そう言うんもなかったかな。記憶喪失なんもあって、あまり自分のことを話さなかった。」
光はがっかりしていた。
「そもそも何で出て行ったんだろう。」
拓哉はぼそっと言ったが、この言葉に御子は考え込んだ。
「んー。なんで・・・。だがあまり良いことではない思うな。」
と御子は険しい顔で言った。
「それはどうして?」
と間宮が聞き返す。
「出て行く直前、恐らく山田は記憶が戻っておった。雰囲気が変わったからな。そしてあの色は覚悟を決めたって感じやったな」
拓哉は(色?)と思った。
それは間宮も同じだったようだ。
「失礼。色とは?」
「ん?言うとらんかったか?うちは霊能力者や。」
答えになってなかった。
「霊能力によって、対象者の何らかの秘密が見えるってことかい?」
間宮が興味津々とばかりに食い気味で質問した。
「せや。」
「それはどんな感じで?とういうかどうやって?」
「んーーーーー。」
御子はそう唸ると、三人を凝視した。
「ダメやな。面白くなさそうだし、そっちは教えたらへん。」
「え?」
間宮は呆気にとられていた。
拓哉でさえ今までの調子でほいほい答えてくれるものだと思っていた。
「一応家業やからな。企業秘密じゃ。あんたらが面白そうだったら答えてもええけど・・・」
そう言ってまた御子はを見渡した。
「間宮と吉田。あんたらの色は普通やな。特に面白そうやない。」
間宮はショックな顔をしていた。
拓哉は内心 (誰が普通だ!) と怒っていた。
「せやけど光。あんたは面白そうやな。あんたの秘密教えてくれるなら考えたる。」
「え?」
光は驚いて口を開いていた。
「それも色とやらを見て言ってるのかい?」
間宮はここぞとばかりに情報収集をしようとしている。
「せやな。」
どうやらそうらしい。
光は考えていた。
迂闊に自分の話をしてしまって良いのか。
そもそも光は霊能力については興味が無い。
いや、興味はあるし知りたいとは思うが今はそれを調べに来たわけじゃない。
迂闊に話すと先日の宮田の件の様に徒労に終わる可能性もある。
この目の前の自称霊能力者を信じて良いかも判断できない。
(こんな時に唯志君がいてくれたら・・・)
「なんじゃ、悩んどるのう・・・。光の色には山田と似たようなものが混じっとるから、似たような境遇かと思うたんじゃが。」
「え、でも私記憶喪失じゃないよ?」
「ふむ・・・じゃあ勘違いか?だが面白そうな秘密があるのは間違いないやろ?」
「それは・・・」
答えあぐねている光に助け舟を出したい拓哉だが、拓哉自身も先日の宮田の失敗もあってか判断できずにいた。
間宮は霊能力について聞きたい反面、言いたがらない光の意思を尊重する大人な対応をしていた。
結局、光は答えられなかった。
御子を信用していいものか判断できなかったから。
拓哉は拓哉で、霊能力なんて胡散臭いものの為に秘密は洩らせないと自分に言い訳をしていた。
結局のところ勝手に話すことで光の信用を失いたくない、自分が責任を被りたくないだけだが、脳内で必死に言い訳をして自分を正当化している。
その後は引き続き山田という人物について聞いたが、大した収穫は無かった。
御子は西条家の中で一番山田と親しかった様だ。
外から来た人間に興味があったからだ。
それと御子曰く面白い色をしていたからとか。
だが、結局本人のことはよくわからないままだったと言っていた。
ただ気になる事もあった。
たまにフラッシュバックする記憶で大都市が出てくるらしいが、東京や大阪の映像を見せてもピンとこなかったらしい。
もしかしたらこの山田も『未来人』で、未来の大都市出身なのかもしれない。
だが、現在行方不明。
手がかりも無しだ。
間宮は引き続き『霊能力』について聞こうとしているが、相変わらず重要なことは躱されている。
そうこうしている間にいい時間になってきた。
「間宮さん、そろそろ・・・。」
と拓哉が促した。
「あ、ああ。そうだね。もう帰らないと時間的に厳しいか。」
時刻は十九時。
これから帰るとなると二十一時頃になってしまう。
間宮は残念そうだったが、本日の『調査』はここまでにすることとなった。
「またいつでも来ると良い。今度はあんたらの住んでる都会についても聞かせてな。光は話す気になったら教えてーな」
御子はそう言って笑顔で見送ってくれた。
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帰りの車内。
拓哉は相変わらず無言だったが、行きとは違いあまり役に立てなかったことが悔しくて黙っている。
光はスマホでポチポチとやっている。
唯志や莉緒に報告でもしているんだろう。
「少しだけど収穫はあったね。」
間宮の言う通り、収穫はあった。
ほんの少しだが前に進んだ。
だが、車内の雰囲気は何とも敗北ムードのまま拓哉たちは家へと帰って行った。
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