66 / 179
第三章 日常時々非日常
光の悩み
しおりを挟む
困ったことになった。
光は悩んでいた。
悩んでいた内容は先日御子に見透かされた件で相違ないだろう。
今日は月曜日。
時妻村を訪れてから二日経過していた。
前日は時妻村遠征の疲れからか、拓哉も光ものんびりとして過ごした。
だが、その最中も光は懸案事項を抱えていた。
現在は拓哉を見送った直後。
おおよそ朝の八時くらいだ。
光はスマホを見る。
・・・まただ。
[光ちゃんおはよー!今日は何して過ごすのー?俺は今日も仕事だぜー。次の休みは木曜日だから暇なら遊ぼうぜ!]
今日も朝からyarnでメッセージが来ている。
差出人名は『shinya』。
--宮田だ。
初めて会った時から毎日欠かさずyarnで連絡をしてくる。
最初の内はしょうがなしに返事をしていた所もあるが、この所エスカレートしている気がする。
それもこれも、アレのせいだろう。
----四日ほど前。
話は先週の木曜日まで遡る。
光は一人で梅田まで来ていた。
目的は宮田と会うため。
毎日毎日熱心にyarnを送ってきて、何度も誘われ続けた。
何か力になれるから--と。
あまりのしつこさ、加えて拓哉からの紹介と言うこともあって断り切れなかった。
拓哉の言っていたように、もしかしたら何か情報などが手に入るかもしれないし、人脈は増やした方が良いかもしれないと思った。
役立つ可能性は低いと思ったが、唯志など色んな人が動いてくれているのに自分が何もしないわけにもいかない。
そういう自責の念もある。
平日なんだし、吉田に余計な心配かけない方がいいよ。
そういう宮田の意見に従って、光は一人で黙ってのこのこと梅田まで来てしまった。
結果は散々なものだった。
別に何かされたーーという訳ではない。
だが、前と同じ宮田の話を聞く会だった。
一緒に写真を撮ろうと言われ撮られた。
前と同じくカラオケも行こうとしつこく誘われた。
(流石に断ったが)
そして、また遊ぼうと言われ解散した。
そう、宮田からしたら遊んでいるだけなんだろう。
拓也の説明不足もあるが、宮田は真剣に光の現状など考えていない。
ただ遊びたいだけなのだ。
宮田に詳しく説明していないからあまり強く言えないが、この人から収穫はないだろう。
それはよくわかった。
ーー
そんなことがあったのが四日前。
唯志たちと時妻村に行く前の出来事だった。
それからと言うもの、宮田からのyarnは目に見えて増えた。
返事をするのが億劫になる程の量で、内容も今日は何を食べたとか、仕事の愚痴とか興味のないものばかりだった。
しかし、自分だけ遊んでいるようで誰にも相談できず悩んでいた。
そして御子に指摘されるまでに至った。
仮に光が現代人だったなら、光ほどの美人で二十歳にもなれば現代人基準で人並みに恋愛経験があったことだろう。
だが未来人の、恋愛意識が希薄になっている時代から来た光には宮田の様な輩を軽くあしらう様なスキルも経験も無かった。
その点だけで言えば恋愛経験皆無で年齢=彼女いない歴の拓哉でも、恋愛意識があっただけまだミジンコ程度にはマシだろう。
光は経験が無いどころか意識も無かったので拓哉以下と言える。
宮田みたいなタイプを袖にする術など持ち合わせていなかった。
その上、先日の時妻村での一件が余計に光を悩ませていた。
光の就籍の為に唯志が思い描いた作戦には特に問題点は無かった。
そう、一部を除いては。
唯志の作戦は、光の現状を知っている人物が唯志の知っている範囲だからこそ成り立っていた。
だが、唯志は宮田というイレギュラーの存在を知らなかった。
万が一、就籍の手続きを進めている最中に、宮田から余計な情報が洩れたら。
唯志の苦労は台無しになるどころか、下手したら逮捕だ。
自分だけじゃなく、恐らく唯志まで罪に問われるかもしれない。
どんな罪になるのかまではわからないが、きっとそうだと思った。
それは困る。
時妻村で戸籍の話を詰めている時に、このことに気づいた光はそれからずっと悩んでいた。
宮田を何とかしなければならない。
自分のことを忘れてくれるのがベスト。
だが毎日来るyarnがそれは無理だと思い知らせてくれる。
何とかしないと――そう思うものの、どうしていいかわからない。
拓哉に相談する?
だけど意味があるだろうか。
むしろ事態が悪化する可能性もあるんじゃないか。
それに自分のせいでこうなったと傷つけてしまうかもしれない。
拓哉はああ見えて繊細・・・っぽい。
少なくともみんなの発言や行動一つ一つに色んなことを思っている。
だからこそ、これは言わない方が良い気がする。
光は考えた。
御子にも誰かに相談する様に言われた。
だからこそ考えに考えた。
現代に来て、まだ多くの人と知り合ったわけじゃない。
秘密を共有している人数も同じく多いわけじゃない。
ありがたい事に信用できる人ばかりだが、こういう場合誰を頼るべきなのか。
そもそも色々と無理な話に協力してくれる親切な人たちばかりだが、それ故に尚更これ以上迷惑はかけたくない。
だけど、自分一人ではどうしようもない。
答えは明白だった。
考えに考えて出した結論は----
相談することにした。
光は悩んでいた。
悩んでいた内容は先日御子に見透かされた件で相違ないだろう。
今日は月曜日。
時妻村を訪れてから二日経過していた。
前日は時妻村遠征の疲れからか、拓哉も光ものんびりとして過ごした。
だが、その最中も光は懸案事項を抱えていた。
現在は拓哉を見送った直後。
おおよそ朝の八時くらいだ。
光はスマホを見る。
・・・まただ。
[光ちゃんおはよー!今日は何して過ごすのー?俺は今日も仕事だぜー。次の休みは木曜日だから暇なら遊ぼうぜ!]
今日も朝からyarnでメッセージが来ている。
差出人名は『shinya』。
--宮田だ。
初めて会った時から毎日欠かさずyarnで連絡をしてくる。
最初の内はしょうがなしに返事をしていた所もあるが、この所エスカレートしている気がする。
それもこれも、アレのせいだろう。
----四日ほど前。
話は先週の木曜日まで遡る。
光は一人で梅田まで来ていた。
目的は宮田と会うため。
毎日毎日熱心にyarnを送ってきて、何度も誘われ続けた。
何か力になれるから--と。
あまりのしつこさ、加えて拓哉からの紹介と言うこともあって断り切れなかった。
拓哉の言っていたように、もしかしたら何か情報などが手に入るかもしれないし、人脈は増やした方が良いかもしれないと思った。
役立つ可能性は低いと思ったが、唯志など色んな人が動いてくれているのに自分が何もしないわけにもいかない。
そういう自責の念もある。
平日なんだし、吉田に余計な心配かけない方がいいよ。
そういう宮田の意見に従って、光は一人で黙ってのこのこと梅田まで来てしまった。
結果は散々なものだった。
別に何かされたーーという訳ではない。
だが、前と同じ宮田の話を聞く会だった。
一緒に写真を撮ろうと言われ撮られた。
前と同じくカラオケも行こうとしつこく誘われた。
(流石に断ったが)
そして、また遊ぼうと言われ解散した。
そう、宮田からしたら遊んでいるだけなんだろう。
拓也の説明不足もあるが、宮田は真剣に光の現状など考えていない。
ただ遊びたいだけなのだ。
宮田に詳しく説明していないからあまり強く言えないが、この人から収穫はないだろう。
それはよくわかった。
ーー
そんなことがあったのが四日前。
唯志たちと時妻村に行く前の出来事だった。
それからと言うもの、宮田からのyarnは目に見えて増えた。
返事をするのが億劫になる程の量で、内容も今日は何を食べたとか、仕事の愚痴とか興味のないものばかりだった。
しかし、自分だけ遊んでいるようで誰にも相談できず悩んでいた。
そして御子に指摘されるまでに至った。
仮に光が現代人だったなら、光ほどの美人で二十歳にもなれば現代人基準で人並みに恋愛経験があったことだろう。
だが未来人の、恋愛意識が希薄になっている時代から来た光には宮田の様な輩を軽くあしらう様なスキルも経験も無かった。
その点だけで言えば恋愛経験皆無で年齢=彼女いない歴の拓哉でも、恋愛意識があっただけまだミジンコ程度にはマシだろう。
光は経験が無いどころか意識も無かったので拓哉以下と言える。
宮田みたいなタイプを袖にする術など持ち合わせていなかった。
その上、先日の時妻村での一件が余計に光を悩ませていた。
光の就籍の為に唯志が思い描いた作戦には特に問題点は無かった。
そう、一部を除いては。
唯志の作戦は、光の現状を知っている人物が唯志の知っている範囲だからこそ成り立っていた。
だが、唯志は宮田というイレギュラーの存在を知らなかった。
万が一、就籍の手続きを進めている最中に、宮田から余計な情報が洩れたら。
唯志の苦労は台無しになるどころか、下手したら逮捕だ。
自分だけじゃなく、恐らく唯志まで罪に問われるかもしれない。
どんな罪になるのかまではわからないが、きっとそうだと思った。
それは困る。
時妻村で戸籍の話を詰めている時に、このことに気づいた光はそれからずっと悩んでいた。
宮田を何とかしなければならない。
自分のことを忘れてくれるのがベスト。
だが毎日来るyarnがそれは無理だと思い知らせてくれる。
何とかしないと――そう思うものの、どうしていいかわからない。
拓哉に相談する?
だけど意味があるだろうか。
むしろ事態が悪化する可能性もあるんじゃないか。
それに自分のせいでこうなったと傷つけてしまうかもしれない。
拓哉はああ見えて繊細・・・っぽい。
少なくともみんなの発言や行動一つ一つに色んなことを思っている。
だからこそ、これは言わない方が良い気がする。
光は考えた。
御子にも誰かに相談する様に言われた。
だからこそ考えに考えた。
現代に来て、まだ多くの人と知り合ったわけじゃない。
秘密を共有している人数も同じく多いわけじゃない。
ありがたい事に信用できる人ばかりだが、こういう場合誰を頼るべきなのか。
そもそも色々と無理な話に協力してくれる親切な人たちばかりだが、それ故に尚更これ以上迷惑はかけたくない。
だけど、自分一人ではどうしようもない。
答えは明白だった。
考えに考えて出した結論は----
相談することにした。
0
あなたにおすすめの小説
Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】
remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。
本宮 のい。新社会人1年目。
永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。
なんだけど。
青井 奏。
高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、
和泉 碧。
初恋の相手らしき人も現れた。
幸せの青い鳥は一体どこに。
【完結】 ありがとうございました‼︎
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる