俺の物語には主人公だけがいない

モコ

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第三章 日常時々非日常

光の悩み

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困ったことになった。
光は悩んでいた。
悩んでいた内容は先日御子に見透かされた件で相違ないだろう。

今日は月曜日。
時妻村を訪れてから二日経過していた。
前日は時妻村遠征の疲れからか、拓哉も光ものんびりとして過ごした。
だが、その最中も光は懸案事項を抱えていた。

現在は拓哉を見送った直後。
おおよそ朝の八時くらいだ。
光はスマホを見る。

・・・まただ。

[光ちゃんおはよー!今日は何して過ごすのー?俺は今日も仕事だぜー。次の休みは木曜日だから暇なら遊ぼうぜ!]

今日も朝からyarnでメッセージが来ている。
差出人名は『shinya』。
--宮田だ。

初めて会った時から毎日欠かさずyarnで連絡をしてくる。
最初の内はしょうがなしに返事をしていた所もあるが、この所エスカレートしている気がする。
それもこれも、のせいだろう。

----四日ほど前。
話は先週の木曜日まで遡る。
光は一人で梅田まで来ていた。
目的は宮田と会うため。

毎日毎日熱心にyarnを送ってきて、何度も誘われ続けた。
何か力になれるから--と。
あまりのしつこさ、加えて拓哉からの紹介と言うこともあって断り切れなかった。

拓哉の言っていたように、もしかしたら何か情報などが手に入るかもしれないし、人脈は増やした方が良いかもしれないと思った。
役立つ可能性は低いと思ったが、唯志など色んな人が動いてくれているのに自分が何もしないわけにもいかない。
そういう自責の念もある。

平日なんだし、吉田に余計な心配かけない方がいいよ。
そういう宮田の意見に従って、光は一人で黙ってのこのこと梅田まで来てしまった。

結果は散々なものだった。
別に何かされたーーという訳ではない。
だが、前と同じ宮田の話を聞く会だった。
一緒に写真を撮ろうと言われ撮られた。
前と同じくカラオケも行こうとしつこく誘われた。
(流石に断ったが)
そして、またと言われ解散した。

そう、宮田からしたらなんだろう。
拓也の説明不足もあるが、宮田は真剣に光の現状など考えていない。
ただ遊びたいだけなのだ。

宮田に詳しく説明していないからあまり強く言えないが、この人から収穫はないだろう。
それはよくわかった。

ーー
そんなことがあったのが四日前。
唯志たちと時妻村に行く前の出来事だった。

それからと言うもの、宮田からのyarnは目に見えて増えた。
返事をするのが億劫になる程の量で、内容も今日は何を食べたとか、仕事の愚痴とか興味のないものばかりだった。

しかし、自分だけ遊んでいるようで誰にも相談できず悩んでいた。
そして御子に指摘されるまでに至った。

仮に光が現代人だったなら、光ほどの美人で二十歳にもなれば現代人基準で人並みに恋愛経験があったことだろう。
だが未来人の、恋愛意識が希薄になっている時代から来た光には宮田の様な輩を軽くあしらう様なスキルも経験も無かった。

その点だけで言えば恋愛経験皆無で年齢=彼女いない歴の拓哉でも、恋愛意識があっただけまだミジンコ程度にはマシだろう。
光は経験が無いどころか意識も無かったので拓哉以下と言える。
宮田みたいなタイプを袖にする術など持ち合わせていなかった。

その上、先日の時妻村での一件が余計に光を悩ませていた。

光の就籍の為に唯志が思い描いた作戦には特に問題点は無かった。
そう、一部を除いては。

唯志の作戦は、光の現状を知っている人物が唯志の知っている範囲だからこそ成り立っていた。
だが、唯志は宮田というイレギュラーの存在を知らなかった。

万が一、就籍の手続きを進めている最中に、宮田から余計な情報が洩れたら。
唯志の苦労は台無しになるどころか、下手したら逮捕だ。
自分だけじゃなく、恐らく唯志まで罪に問われるかもしれない。
どんな罪になるのかまではわからないが、きっとそうだと思った。

それは困る。

時妻村で戸籍の話を詰めている時に、このことに気づいた光はそれからずっと悩んでいた。

宮田を何とかしなければならない。
自分のことを忘れてくれるのがベスト。
だが毎日来るyarnがそれは無理だと思い知らせてくれる。

何とかしないと――そう思うものの、どうしていいかわからない。

拓哉に相談する?
だけど意味があるだろうか。
むしろ事態が悪化する可能性もあるんじゃないか。
それに自分のせいでこうなったと傷つけてしまうかもしれない。
拓哉はああ見えて繊細・・・っぽい。
少なくともみんなの発言や行動一つ一つに色んなことを思っている。
だからこそ、これは言わない方が良い気がする。

光は考えた。
御子にも誰かに相談する様に言われた。
だからこそ考えに考えた。

現代に来て、まだ多くの人と知り合ったわけじゃない。
秘密を共有している人数も同じく多いわけじゃない。
ありがたい事に信用できる人ばかりだが、こういう場合誰を頼るべきなのか。

そもそも色々と無理な話に協力してくれる親切な人たちばかりだが、それ故に尚更これ以上迷惑はかけたくない。
だけど、自分一人ではどうしようもない。

答えは明白だった。

考えに考えて出した結論は----

相談することにした。
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