俺の物語には主人公だけがいない

モコ

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第三章 日常時々非日常

唯志の本音

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今日は木曜日。
光と唯志が二人で出かけた日だ。

唯志は休みを取って光の就籍許可の為に家庭裁判所に出向いた。
そして途中に宮田の一件を聞き、光を拓哉の部屋まで送り届けて部屋へと帰ってきた。

今日は休みだったこともあるが、珍しく部屋に莉緒がいない。
木曜日の莉緒は受講する講義が多い日で、帰りが遅い。

唯志は貴重な休みを取ってまで光の就籍許可の手続きで家庭裁判所に赴いた。
理由は単純だ。
面白そうだったから。

人生でこんな経験は中々出来ない。
こんな貴重な機会を逃す手は無い。
だからこそ有休休暇をとってまで対応した。

まぁ光が可愛いからってのもある。
これがむさ苦しい男だった場合、手伝いはするものの休みを取ってまで対応していたかは微妙だ。

別に光に好意があるわけでもなければ、どうこうなりたいわけでもない。
むしろ拓哉とひっつけるためにと動いているほどだ。
だが、可愛い女性と言うのはそれだけでも価値がある。
まして光は未来人だ。
こんなに面白い案件は無い。

「--さてっと。」
唯志はいつものホームポジションについて一息を吐く。

吉田のボケのせいでやることが増えた。
宮田のバカを封殺しないとな。

だいたい吉田が全部悪い。
お前が紹介したのなら、同居してるのがお前なら、
あいつわかってんのか?
こんな相談が俺に来るってことは、お前はその程度も頼れない男ってことだ。

光にも役立たずだと認識されてるってことだぞ。
その程度のこともわからんのか?

そもそも、ひかりんは吉田からしたら高嶺の花だ。
自分の分をわきまえて、努力しろよ。
なにちんたらちんたらやってんだよ。
状況に恵まれただけで努力はしない。
その癖、光に好かれたい。

図に乗るな。
努力はしないくせに真面目そうな雰囲気だけ出してるやつは心底腹が立つんだよ。

唯志は考えれば考える程腹立たしかった。
他人に期待はしないが、俺が直接色々と協力してやったのにこの体たらく。
頭を使え、体を動かせ、何でもやってみろ。
それも出来ないならせめて文句を言わず黙ってろ。
どうせこの状況もと言い出すんだろう。

だが腹立たしいのは置いておいて、現状を打破しなければならない。
そう思ってとりあえずPCを起動する。

気を取り直して宮田の件だ。
幸い多少の付き合いはあった。
yarnやらSNSのアカウントを少しは把握している。
当然そこには情報は無いだろうが、アカウントの傾向はわかる。
俺らが知らないSNSのアカウントには情報が載っているかもしれない。
そこからだな。

--
一時間が経過した。
唯志はまだネットでの検索に没頭している。

「ただいまー!」
そうこうしている間に莉緒が帰ってきた。
ここは唯志の部屋なので帰ってきたという表現もどうかと思うが。

「おう、おかえりー」
「あれ、唯志いるじゃん。お役所勤めは終わったの?」
「ああ、そっちは終わった。」
「調べものでもしてるの?」
「人助け・・・いや、尻ぬぐいかな。」
「なに、またなんかあったの?」
「まぁな。どうもひかりんが--」

唯志は今日光に説明されたことを余すことなく莉緒に説明した。
その上で今後の対策についても自分の考えを話した。

----
「なるほどねー。その宮田とかいう人はどんな人なの?」
「簡単に言うとキョロ充。典型的な長い物には巻かれろタイプだろうな。いつの間にか周りちょろちょろしてただけだから親しくは無いし、個人的な事はあまり知らん。今何してるのかも興味ないから知らんなー。」
「珍しいね。興味なくても念の為進路くらいは押さえておかなかったの?」
「それくらいに価値の無い相手だと思ってたからな。裏目ったな。」
唯志は心底宮田に興味が無かったらしい。

「で、そいつがリアルにストーカー化する可能性は?」
「まぁあいつならあり得るだろうな。勘違い野郎だから。yarnの会話見させてもらったけど、半分彼氏気取りな内容だったな。」
「うっわ・・・キモイ。」
「だよなー。ちょっと引いたわ。でも吉田もあれくらいの根性見せろよとは思ったけど。」
「確かに!タク君やる気あんのかね?」
莉緒はケラケラ笑っていた。

「ほんとにな・・・おっと、っと。」
「見つけたの?」
「ああ、間違いないな。御丁寧にひかりんとのツーショット写真も載せてら。目線は隠してるけど。」
唯志はSNSの海を彷徨って、宮田のアカウントまで辿り着いたようだ。

「さて、このアカウントはどれだけ情報を漏らしてるかな・・・。」
「イケそう?」
「ぱっと見た感じ・・・ダダ漏れだな。俺が返事を止めるように言ったからか、返信が無いって愚痴ってら。てかつぶやきが軒並み彼氏気取りだな、これ。」
「やばいね、その人。でもそれじゃ悪化させるんじゃないの?」
「だろうな。だからひかりんには強行策に出るって断りも入れておいた。ちょっと莉緒も協力頼むわ。」
そう言う唯志は宮田のSNSを見ながら今度は通販サイトを彷徨っていた。

「おっけおっけ。何したらいいかは指示ちょうだい。」
「とりあえず捕まえたし様子見だな。普段は吉田の家にいるんだし、まぁ安全だろ。監視は俺がしとく。」
「あいよー。莉緒ちゃんの鉄拳が火を噴くかもだぜ!」
「まぁほどほどにな。お前も危ない事はさせないからな。」
「・・・唯志優しいなぁ!」
莉緒は少し照れていた。

「とりあえず俺はもう少しネタ集めるから。莉緒は適当に遊んでて。飯は適当にあるもん食ってくれ。」
「りょー」
「あー、そうそう。ひかりんと淀川の花火大会行くことにしたから。空けとけよ。」
「おっけー。確か八月最初の土曜日だっけ?。」
「そうそう。吉田も呼ばざるおえないだろうし、そこんとこよろしく。」
「はいよー。」

そう言って唯志はPCに向き直した。
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