俺の物語には主人公だけがいない

モコ

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第四章 それぞれの選択

拓哉と御子

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先ほどの屋敷からは少し離れた公園。
誰もいない公園を選んで御子に連れられた。

尤も、入り口近辺に黒塗りの車がずらっと並んでいたら誰も入ってきたくないだろうが・・・。

御子は仕事が終わったから今日中に関西へ帰るらしい。
なんと、御子たち御一行は車でここまで来ている様で、帰るのにも十数時間かかる事だろう。
だがその前に少し時間があるからと、公園で二人きりにされていた拓哉だった。

(正直なところ、眠い。そろそろ限界だ。)
拓哉は昨日の昼前くらいからぶっ通しだ。
現在は昼過ぎ。
まだ若いとはいえ、徹夜が厳しく感じてきた昨今、歳をとったなぁなどと思ったりする。

「まぁそう言うな。そんな長話もせぇへんて。」
断っておくが、拓哉は何も言っていない。

「それよりさっき見た除霊のことは他言無用で頼むで。」
と御子が言った。
元より他言するつもりは無かったし、誰も信じないだろう。
(てか、他言無用なら気軽に連れて行かなければいいのに。)
などと、ぼけーっとする頭で考えていた。

「言いたいことはわかんねんけど、まぁそれだけあんたらを信用してるってことや。それにもうじき一緒に住む相手が何してるか知っといた方がええかと思てな。」
またも拓哉は何も言っていなかった。
今のところ傍から見たら御子がしゃべっているだけだ。

「てか俺さっきから何も言ってないんだけど・・・。」
思わず拓哉もツッコみを入れた。
「せやけど、おうてるやろ?」
「・・・はい。」
御子の言う通りだったので、否定のしようもなかった。

「てか、色見えるだけなんだよね?心読め過ぎじゃない!?」
拓哉は思っていたことをそのまま口に出した。
隠しても無意味だと思い知ったからだ。
「せやなー。さっきも言うたけど、あんた分かり易すぎんねん。心の声がもろに色に出てもうてるで。」
「ぐっ・・・」

「じゃあ他の人だとここまでは読めないの?」
「せやなー。光とかは割かし分かり易いけど、それでもなんとなーくしかわからんなぁ。」
「そうなんだ・・・。逆に全くわからない人とかも?」
「うん、おるよ。唯志とか良い例やな。」
「岡村君?」
「せや。あいつの色は複雑すぎて、全然わからへん。」
「わからなくもない気もする・・・。」
拓哉も付き合いは長いが、唯志の考えてることが分かったことなど一度も無い。
※麻雀時は除く。
それ故に御子の言ってることはなんとなく理解できた。

「ああ、唯志で思い出した。本題な。」
「え?」
どうやら今までの話は世間話程度だった様で、本題は今からだった。

「あんた、いつあっち(大阪)に帰るんや?」
「明日帰るけど・・・」
「ならええな。来週の土日空けといてな。」
「え?土・・・日?二日とも?」
「せや。土曜日は家探しの続き。決めるつもりで行くでー。」
どうやら家探しの続きが執り行われるらしい。
決めるつもりってことは候補も絞られているんだろう。

「なるほど・・・。で、日曜日は?予備日とか?」
「日曜日は天王寺動物園行こ!」
「・・・え?」
拓哉は一瞬思考が停止した。
いや、眠かったせいか気絶していたかもしれない。
それくらい思考が追いついてなかった。

「おい、何呆けとんねん!」
「え、あ。いやいやいや、俺と西条さんで?」
「なんであんたとデートしなあかんねん。や。」
「みんなで・・・?」
「せや、光と唯志と莉緒には了解もろてる。あとはしゃーないから吉田も連れてったるわってうちの気遣いや。」

「・・・めんどくさいなぁ。」
拓哉は徹夜明けの回らない頭なことと、隠したところでどうせバレるからと言う開き直りから本音で言っていた。
「めんどくさいってなんや!光も来るんやで!?」
「んー、でも俺天王寺とか行ったことないから案内も出来ないし。」
何かと理由をつけて断ろうとする拓哉だった。
冷静に考えたら光が来るなら行くという選択になるんだろうが、今現在は眠いせいでめんどくささが先行していた。

「あんたに案内とかは期待してへん。その点は唯志と莉緒がおるしな。」
「あー、そうね。なら尚更俺要らなくない?」
ぼーっとする頭で思いついたことをそのまま言っている。
ある意味、御子と拓哉の距離が近づいたとも言えた。

「はぁ・・・あんたな。光と仲良くなりたかったら少しは頑張ろうとか無いんか?」
「え・・・。・・・え!?」
拓哉の眠気が少しだけ飛んだ。
(西条さんにはやっぱりバレてたか・・・。)
拓哉は予想していたとはいえ、面と向かってこう言われると驚いた。

しかし、拓哉が気づいていないだけで、関係者全員拓哉が光に好意を向けている事は気づいている。
接点の一番少ない恵にでさえ筒抜けだ。
気づいていないのは光本人くらいだろう。

「確かにあんたはおらんでも成り立つけど、そう思ってわざわざ誘ってあげてんやで?」
御子は拓哉の反応は無視して話を続けた。
どうやら拓哉を誘ったのは御子なりの気遣いだったようだ。
もうじきルームシェアする同居人に対する礼儀のつもりだったのだろう。

「う・・・。確かに・・・。でも動物園とか俺も慣れてないし・・・。」
しかしいまいち煮え切らない拓哉だった。

「はぁ・・・。グダグダ言い訳するのは簡単やけどな。そんなやと光を他のやつに盗られるで?」
流石に御子も少し呆れながら言う。
「ぐっ・・・。でも、じゃあどうしたら?」
拓哉は御子に意見を求めた--否、助けを求めたのだろうか。
「そんなん知らん。ただ、光はあんたがおらん間にあっちでデートを楽しんだみたいやけどな。」

「・・・・・・・え?えぇえええええええええ!!?」
拓哉の悲鳴にも似た絶叫と共に、拓哉の眠気も吹き飛んだ。
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