俺の物語には主人公だけがいない

モコ

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最終章 未来へ

唯志の考え

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時は同じく十月二十四日。
この日、唯志は自室で色々と作業をしていた。
今は通販サイトでを注文しているところだった。

「とりあえずの為に必要なものはこんなところか。」
唯志は一仕事終えたようで、ふぅと一息ついたところだった。
そこにskypoが着信を知らせる。

「間宮さんか。早いな。」
そう呟いて、すぐに着信に応答した。

「やあ、唯志君。こんばんわ。例の件だけど、得られるだけの情報と資料を集めたよ。」
間宮は早速とばかりに経過を報告した。
「ありがとうございます。資料はデータで貰えますか?」
「もちろん。今送るよ。」
間宮がそう言うと、唯志のskypoに電子データが送られてきた。
唯志はその内容をサラッと一読する。

「なるほど・・・。結構しっかり調べてるもんですね。雑誌に載ってない情報も満載だ。」
唯志が感心したように呟いた。
「ははは。僕たちも結構頑張って調べてるんだよ。」
間宮がそう言って笑っているが、唯志は相変わらず資料とにらめっこしていた。

「で、唯志君、どう思う?」
唯志が資料に目を通すのを待って間宮が質問した。
「ひかりんがもし本気で未来を変えたいなら、行き詰まるのは須々木と会う方法かと思います。」
唯志は一通り見終わった資料を、再度念入りにチェックしながら話している。
「だろうね。そこがネックになると僕も思う。」
間宮も同意する。

「この資料で行くと、その可能性があるのは十一月四日。これが最初で最後のチャンスだ。」
唯志は資料の中から、須々木と会える可能性を探し出したようだ。
「・・・だろうね。僕もそう思ったよ。」
これにも間宮は同意する。

十一月四日木曜日。
須々木は木曜日だけは仕事を切り上げる時間を決めていた。
そして必ず同じ喫茶店で夕食を食べる。
これをルーチンワークとしている様だった。
接触を図れるとしたらということだ。
「翌週の木曜日。ここが研究成果の発表と記者会見なら、この日しかない。」
唯志は他の資料にも目を通しながら続けたが、結局結論はそれのようだ。

正確に言えば、十月二十八日の木曜日もあるのだが・・・
「作戦会議が十月二十七日・・・。なら、翌日は無理でしょうし、やっぱりワンチャンスだ。」
光が全員に改めて招集をかけたのは、全員の都合を考え十月二十七日だった。
故に翌日の二十八日はノーチャンスだと言う意味なんだろう。

「逆に言えば、十一月四日を逃せばチャンスは無くなる。どうする?」
間宮が真剣な表情で唯志を見つめた。
間宮が言いたいのは、あえて情報をするかどうかってことだろう。

「・・・いえ。今度の作戦会議の時に話してあげた方が良いでしょう。」
唯志は少し悩んだが、はっきりとそう答えた。
「良いのかい?正直良い予感はしないけどね。」
間宮は光の行動に不安を感じてるようだった。

「出来ることなら、手遅れになって有耶無耶・・・ってのが平和とも思うよ。」
間宮は率直な意見を述べた。

「いや、ひかりんの意思は固そうでした。何も手段が無くて、玉砕覚悟の特攻でもされたらそっちの方が危ない。なら、情報を教えて動き易くした方が、まだ安全だと思います。」
「確かにそういう考え方もあるね。」
間宮は顎に手を当てて考え込んだ。

「とりあえず情報は助かりました。資料を基に、俺も少し考えてみます。」
唯志は礼を言うと、話を切り上げようとした。
「そうだね。僕の方ももう少し何か調べてみるよ。・・・唯志君もあまり無理しないようにね。」
「ありがとうございます。それでは。」
そう言って唯志はskypoのビデオ通話を切断した。

「はぁ。」
通話が終わった唯志は、ため息をつきながら資料に目を通し始めた。

--
資料に一通り目を通し、必要そうな情報も調べ終わった頃には夜も遅くなっていた。

「これ、現場調べた方が良いな。」
恐らくXデーとなる、十一月四日。
その日の須々木の動向を予想しているところだったが、ネットから得られる情報だけではやはり不足が多い。

「作戦会議は水曜日・・・。時間が無いな。」
今日が日曜日。
とにかく圧倒的に時間が足りなかった。

「まぁ他にやることもないし、動けるうちに動くか。」
唯志はそう言うと、現場までの行き方や、周辺情報の情報収集へと移った。

「・・・イレギュラーがあるとしたら、だな。」
唯志の懸念は山田だった。
ここまで目立った動きが無い。
人知れず動いて、無残にも散っていたらそれで良いが・・・。

「そっちの対策は・・・、まぁこれが限界だな。」
そう言うと唯志は山田対策の資料などに目線を送った。

その時、唯志のスマホがメッセージの受信を伝えた。
見ると相手は光だった。

[唯志君、ちょっと私だけじゃ行き詰まってて・・・。明日とか相談できないかな?]
光から相談があるという内容だった。

[ごめん、明日はやることがある。急ぎ?]
唯志はすぐに返事をした。

[ううん、良いの。唯志君忙しいもんね。ごめんね。]
光からもすぐ返事が来た。
追い打ちが無いってことは急ぎではないんだろう。

[悪いね。水曜日に、でも良いか?]
唯志もすぐに返事をする。

[うん、大丈夫だよ!夜遅くにごめんね。おやすみ。]
[おやすみ、ひかりん。]
そう返事を送ると、以降返信はなかった。
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