78 / 130
同棲
ep.78
しおりを挟む
「決まりね。来週家具とか買い行こうか」
『すぐには無理だからね?マンションの契約解除とかもあるし…』
「わかってるよ。ゆっくり準備しよう、二人で」
『…ん』
私はきごちなく笑った。
きっと楽しいだろうな。
一緒に家具や家電を探しにお店を巡るのは。
「安心した…」
『え?』
「絶対断られると思ってた」
『だって今のままだと前と同じだし』
「いやまぁ…そうなんだけど、美愛の性格上断るかなって」
確かに以前の私ならこの提案、断っていたかもしれない。
一人の時間が好きな私は常に誰かがいる状態はあまり好ましくない。
同棲には向いていないのだが、お互い休みが合わない状態なので一人の時間は取れるだろう。
蒼ちゃんは私のその面倒くさい性格を理解していたから不安だったのかもしれない。
だから私に答えを急かしたのか。
『楽しみだね』
「ん?」
『一緒に住むの』
「…そうだな。少しずつ物は増やしてくよ」
蒼ちゃんは頷いて私の頭を優しく撫でてくれた。
二人の間に和やかな雰囲気が流れる。
その時だ。
リビングに軽快なメロディが流れた。
タイミング的にお風呂が沸いたことを知らせる音だろう。
「先入っていいよ」
『…いいの?ありがと』
蒼ちゃんはバスルームへ案内してくれた。
だだっ広いそこは二人並んでも余裕がある洗面台があり、存在感が強い。
半身鏡が二つ並び、広々としている。
「着替え、俺のだけど使って。洗濯してあるから」
『…ん。ありがと』
「…一緒に入る?」
『!…む…無理…!』
蒼ちゃんはバスタオルとフェイスタオル、私の身体には大きな着替えを手渡してくれた。
何を思ったのか彼は揶揄うようにお風呂に誘ってきた。
いくら交際期間が長かったとはいえ、いきなりハードルが高すぎる。
私は今まで生きてきて誰かと一緒に入浴をしたことがない。
あんな明るい場所で自分の全裸を晒すなど無理だ。
恥ずかしすぎる。
「恥ずかしい?」
『だ…だって…明るいし…』
「じゃあ、一緒に暮らした時の楽しみにしてるよ」
『!』
「ごゆっくり」
蒼ちゃんは去り際、私の額に口付けした。
なんでこうもこの人は余裕があるのだろう。
たいして年も変わらないのに振り回されてばかりだ。
『ずるいなぁ…』
私はそう呟いて衣類を脱いだ。
身体を清潔にしてから入浴し、広々とした浴槽で今日の疲れを癒す。
お風呂に入るまでは面倒だが、入浴しているこの瞬間は大好きだ。
特に何かするわけでもなく、ぼんやりと浴室の天井を眺める。
本当ならゆっくり入浴していたいが、人様の家でそんな図々しいことはできない。
もう少ししたら上がろう。
『すぐには無理だからね?マンションの契約解除とかもあるし…』
「わかってるよ。ゆっくり準備しよう、二人で」
『…ん』
私はきごちなく笑った。
きっと楽しいだろうな。
一緒に家具や家電を探しにお店を巡るのは。
「安心した…」
『え?』
「絶対断られると思ってた」
『だって今のままだと前と同じだし』
「いやまぁ…そうなんだけど、美愛の性格上断るかなって」
確かに以前の私ならこの提案、断っていたかもしれない。
一人の時間が好きな私は常に誰かがいる状態はあまり好ましくない。
同棲には向いていないのだが、お互い休みが合わない状態なので一人の時間は取れるだろう。
蒼ちゃんは私のその面倒くさい性格を理解していたから不安だったのかもしれない。
だから私に答えを急かしたのか。
『楽しみだね』
「ん?」
『一緒に住むの』
「…そうだな。少しずつ物は増やしてくよ」
蒼ちゃんは頷いて私の頭を優しく撫でてくれた。
二人の間に和やかな雰囲気が流れる。
その時だ。
リビングに軽快なメロディが流れた。
タイミング的にお風呂が沸いたことを知らせる音だろう。
「先入っていいよ」
『…いいの?ありがと』
蒼ちゃんはバスルームへ案内してくれた。
だだっ広いそこは二人並んでも余裕がある洗面台があり、存在感が強い。
半身鏡が二つ並び、広々としている。
「着替え、俺のだけど使って。洗濯してあるから」
『…ん。ありがと』
「…一緒に入る?」
『!…む…無理…!』
蒼ちゃんはバスタオルとフェイスタオル、私の身体には大きな着替えを手渡してくれた。
何を思ったのか彼は揶揄うようにお風呂に誘ってきた。
いくら交際期間が長かったとはいえ、いきなりハードルが高すぎる。
私は今まで生きてきて誰かと一緒に入浴をしたことがない。
あんな明るい場所で自分の全裸を晒すなど無理だ。
恥ずかしすぎる。
「恥ずかしい?」
『だ…だって…明るいし…』
「じゃあ、一緒に暮らした時の楽しみにしてるよ」
『!』
「ごゆっくり」
蒼ちゃんは去り際、私の額に口付けした。
なんでこうもこの人は余裕があるのだろう。
たいして年も変わらないのに振り回されてばかりだ。
『ずるいなぁ…』
私はそう呟いて衣類を脱いだ。
身体を清潔にしてから入浴し、広々とした浴槽で今日の疲れを癒す。
お風呂に入るまでは面倒だが、入浴しているこの瞬間は大好きだ。
特に何かするわけでもなく、ぼんやりと浴室の天井を眺める。
本当ならゆっくり入浴していたいが、人様の家でそんな図々しいことはできない。
もう少ししたら上がろう。
13
あなたにおすすめの小説
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
僕の姉的存在の幼馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜
柿 心刃
恋愛
僕の幼馴染で姉的な存在である西田香奈は、眉目秀麗・品行方正・成績優秀と三拍子揃った女の子だ。彼女は、この辺りじゃ有名な女子校に通っている。僕とは何の接点もないように思える香奈姉ちゃんが、ある日、急に僕に急接近してきた。
僕の名は、周防楓。
女子校とは反対側にある男子校に通う、ごく普通の男子だ。
【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。
【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】
☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆
※ベリーズカフェでも掲載中
※推敲、校正前のものです。ご注意下さい
半年間、俺の妻になれ〜幼馴染CEOのありえない求婚から始まる仮初の溺愛新婚生活〜 崖っぷち元社畜、会社が倒産したら玉の輿に乗りました!?
とろみ
恋愛
出勤したら会社が無くなっていた。
高瀬由衣(たかせゆい)二十七歳。金ナシ、職ナシ、彼氏ナシ。ついでに結婚願望も丸でナシ。
明日までに家賃を用意できなければ更に家も無くなってしまう。でも絶対田舎の実家には帰りたくない!!
そんな崖っぷちの由衣に救いの手を差し伸べたのは、幼なじみで大企業CEOの宮坂直人(みやさかなおと)。
「なぁ、俺と結婚しないか?」
直人は縁談よけのため、由衣に仮初の花嫁役を打診する。その代わりその間の生活費は全て直人が持つという。
便利な仮初の妻が欲しい直人と、金は無いけど東京に居続けたい由衣。
利害の一致から始まった愛のない結婚生活のはずが、気付けばいつの間にか世話焼きで独占欲強めな幼なじみCEOに囲い込まれていて――。
高嶺の花の高嶺さんに好かれまして。
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の低田悠真のクラスには『高嶺の花』と呼ばれるほどの人気がある高嶺結衣という女子生徒がいる。容姿端麗、頭脳明晰、品行方正な高嶺さんは男女問わずに告白されているが全て振っていた。彼女には好きな人がいるらしい。
ゴールデンウィーク明け。放課後にハンカチを落としたことに気付いた悠真は教室に戻ると、自分のハンカチの匂いを嗅いで悶える高嶺さんを見つける。その場で、悠真は高嶺さんに好きだと告白されるが、付き合いたいと思うほど好きではないという理由で振る。
しかし、高嶺さんも諦めない。悠真に恋人も好きな人もいないと知り、
「絶対、私に惚れさせてみせるからね!」
と高らかに宣言したのだ。この告白をきっかけに、悠真は高嶺さんと友達になり、高校生活が変化し始めていく。
大好きなおかずを作ってきてくれたり、バイト先に来てくれたり、放課後デートをしたり、朝起きたら笑顔で見つめられていたり。高嶺の花の高嶺さんとの甘くてドキドキな青春学園ラブコメディ!
※2学期編4が完結しました!(2025.8.4)
※お気に入り登録や感想、いいねなどお待ちしております。
置き去りにされた恋をもう一度
ともどーも
恋愛
「好きです。付き合ってください!」
大きな桜の木に花が咲き始めた頃、その木の下で、彼は真っ赤な顔をして告げてきた。
嬉しさに胸が熱くなり、なかなか返事ができなかった。その間、彼はまっすぐ緊張した面持ちで私を見ていた。そして、私が「はい」と答えると、お互い花が咲いたような笑顔で笑い合った。
中学校の卒業式の日だった……。
あ~……。くだらない。
脳味噌花畑の学生の恋愛ごっこだったわ。
全ての情熱を学生時代に置いてきた立花美咲(24)の前に、突然音信不通になった元カレ橘蓮(24)が現れた。
なぜ何も言わずに姿を消したのか。
蓮に起こったことを知り、美咲はあの頃に置き去りにした心を徐々に取り戻していく。
────────────────────
現時点でプロローグ+20話まで執筆ができていますが、まだ完結していません。
20話以降は不定期になると思います。
初の現代版の恋愛ストーリーなので、遅い執筆がさらに遅くなっていますが、必ず最後まで書き上げます!
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる