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第一章
episode2「不倫の必要性(1)」
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この日の午後。バイトを終えて外に出た咲は、真上にある太陽に手のひらをかざした。
「あっつい、、」
この年の8月も暑い日が続いていた。慌てた様子でバイト先での着替えを済ませてた咲は、ミディアム丈の真っ白なワンピース姿に、ベージュのキャップを深く被り、駆け足で地下鉄に乗り込んだ。
(やった!座れる!)
地下鉄の座席に浅く腰をかけた咲は、少し頬を赤く染めていた。ふと顔を上げた咲は窓ガラスに映る自分の姿を見て、慌てた様子で膝に抱えたトートバッグの中を確認した。
(どうしよ、化粧し忘れてた、のに、化粧ポーチも会社に忘れた、、!)
咲は、少し考えて呟いた。
「ま、いっか」
そういうと、キャップをさらに深く被り直した。咲は楽観的で、割と諦めも早い。終点の空港駅。地下鉄のドアが開いた瞬間、咲は空港の到着ロビーに向かってダッシュで走った。エスカレーターを駆け上がり、空港の到着ロビーが見えてきた。
「おーーい!咲ーーー!こっち!」
振り返ると、笑顔で軽く手を振る航は登ってきたエスカレーターを降りようとしていた。咲は驚いた表情で止まった。航に気がつかなかったようだ。
「え?あれっ?航?!おかえり、、って、え?あれ?早くない?」
「あぶな!すれ違うところだった!座席が一番前だったからね。ってゆーか、咲、今一応、走ってただろ。」
航がおかしそうに咲の顔を覗き込む。
「えぇ、!先に着いて待ってようと思ったのに、、一応って!全力ですっ!」
咲は少し悔しがったが、照れ臭さが隠せない表情をしていた。会話も終わらないまま足早に航は歩き始める。
「あーまず、そこのタクシー乗ろう。咲はさ、足遅いんだから、走らなくていーよ!」
「どーせ私は運動音痴ですよーだ!頑張ったのに!」
少し人目を気にしながら、そそくさと航が予め呼び寄せていたタクシーに乗った二人。タクシーが空港を後にして、しばらくしてから航は、やっと口を開いた。
「ふーーっ、ただいま。」
航は優しく咲のキャップのツバを少し上げる。
「汗かいてる。そーゆーとこ、ホント可愛いよな。ってあれ?今日ノーメイク?」
「そーなの、舞い上がって化粧するのも忘れちゃった!だって2週間も会ってないから、、」
照れ笑いする咲を見て、険しい表情になる航。
「航?どうしたの?」
目を合わせずに、外を眺めながら考え込む航。
「咲、、、ごめん、行き先変える。あ、運転手さん、このまま真っ直ぐ行ってください。」
そう言うと、航はそのまま口を紡いだ。
(あれ?もしかして、、化粧してないのがいけなかったのかな、、)
咲は、不安に駆られた。航と付き合って6年。すっかり気が抜けてしまっていたのかもしれないと、咲は後悔の念に駆られていた。そして、タクシーはしばらく無言のまま進み続けた。航は途中のカフェの前でタクシーを止めた。
「運転手さん、この先の〇〇ホテルの裏側にVIPの車寄せあるんで、そこで彼女降ろしてください。咲、俺ここで降りる。料金は会社の後払いだから、気にしないで行って。」
困惑する咲の表情を見て、航は優しい表情でそう言うと先にタクシーを降りた。タクシーが向かう先にあるのは、この地域では一番の超高級ホテル。咲はハッとした。
(え?そういえば、ここって航の取引先、、!しかもこんな立派なホテルにこんな格好で、、スッピンとか、、あり得ない、、!)
後悔で泣きそうになりながら、咲はタクシーに乗せられたまま、ホテルの車寄せに入った。タクシーのドアを開けたのは、気品が溢れる格式の高そうな制服を着たホテルマン。
「佐久間様、お待ちいたしておりました。お部屋へご案内いたします。」
(え?えっと私、、え?佐久間様??)
咲の頭の中は、もう正常な判断ができる状態ではなかった。言われるがまま、うなだれた表情でホテルマンにトボトボと着いていく。高級ホテルのはずなのに、ショックと恥ずかしさで、周りを見ることもできない。そして、案内された部屋の前まで来てしまった。ホテルマンがコンコンとドアをノックする。
「佐久間様、お連れいたしました。」
高級感のあるブラウン基調の少し重ためなドアが開く。
「あれ?え、、?航??」
部屋の中には、途中でタクシーを降りたはずの航がいた。航は少し肩で息をしているようだ。
「間に合った!ごめんね、一緒に入るとまずいと思って、俺少し離れた所で降りて正面玄関から入ったんだ。咲が通ってきた所は、普通の人は通らない。誰ともすれ違わないから大丈夫!妹ってことで通してもらったんだ!」
無邪気な笑顔で説明する航を見て、咲の不安は一気に吹き飛んだ。それと同時に安堵感からボロボロと涙が溢れてきた。
「ここ、俺の取引先なんだよ、、って、知ってるか!」
照れ笑いしながら、咲に近付く航は、咲の目深に被ったキャップを取った。サラサラの綺麗な長い黒髪に指を絡ませて、泣いている咲の頬に軽くキスをした。
「先輩がさ、毎日咲のこの顔見てるのかと、、すげー妬けた。、、ごめん。食事の約束だったのに、、俺、我慢できない、、」
航は、咲をベッドへ押し倒した。航は咲の頬にキスをすると、首筋から手の指先、足の指先にまで、咲の全身に舌を這わせていく。そして、そのまま激しく抱き合った。
「あっつい、、」
この年の8月も暑い日が続いていた。慌てた様子でバイト先での着替えを済ませてた咲は、ミディアム丈の真っ白なワンピース姿に、ベージュのキャップを深く被り、駆け足で地下鉄に乗り込んだ。
(やった!座れる!)
地下鉄の座席に浅く腰をかけた咲は、少し頬を赤く染めていた。ふと顔を上げた咲は窓ガラスに映る自分の姿を見て、慌てた様子で膝に抱えたトートバッグの中を確認した。
(どうしよ、化粧し忘れてた、のに、化粧ポーチも会社に忘れた、、!)
咲は、少し考えて呟いた。
「ま、いっか」
そういうと、キャップをさらに深く被り直した。咲は楽観的で、割と諦めも早い。終点の空港駅。地下鉄のドアが開いた瞬間、咲は空港の到着ロビーに向かってダッシュで走った。エスカレーターを駆け上がり、空港の到着ロビーが見えてきた。
「おーーい!咲ーーー!こっち!」
振り返ると、笑顔で軽く手を振る航は登ってきたエスカレーターを降りようとしていた。咲は驚いた表情で止まった。航に気がつかなかったようだ。
「え?あれっ?航?!おかえり、、って、え?あれ?早くない?」
「あぶな!すれ違うところだった!座席が一番前だったからね。ってゆーか、咲、今一応、走ってただろ。」
航がおかしそうに咲の顔を覗き込む。
「えぇ、!先に着いて待ってようと思ったのに、、一応って!全力ですっ!」
咲は少し悔しがったが、照れ臭さが隠せない表情をしていた。会話も終わらないまま足早に航は歩き始める。
「あーまず、そこのタクシー乗ろう。咲はさ、足遅いんだから、走らなくていーよ!」
「どーせ私は運動音痴ですよーだ!頑張ったのに!」
少し人目を気にしながら、そそくさと航が予め呼び寄せていたタクシーに乗った二人。タクシーが空港を後にして、しばらくしてから航は、やっと口を開いた。
「ふーーっ、ただいま。」
航は優しく咲のキャップのツバを少し上げる。
「汗かいてる。そーゆーとこ、ホント可愛いよな。ってあれ?今日ノーメイク?」
「そーなの、舞い上がって化粧するのも忘れちゃった!だって2週間も会ってないから、、」
照れ笑いする咲を見て、険しい表情になる航。
「航?どうしたの?」
目を合わせずに、外を眺めながら考え込む航。
「咲、、、ごめん、行き先変える。あ、運転手さん、このまま真っ直ぐ行ってください。」
そう言うと、航はそのまま口を紡いだ。
(あれ?もしかして、、化粧してないのがいけなかったのかな、、)
咲は、不安に駆られた。航と付き合って6年。すっかり気が抜けてしまっていたのかもしれないと、咲は後悔の念に駆られていた。そして、タクシーはしばらく無言のまま進み続けた。航は途中のカフェの前でタクシーを止めた。
「運転手さん、この先の〇〇ホテルの裏側にVIPの車寄せあるんで、そこで彼女降ろしてください。咲、俺ここで降りる。料金は会社の後払いだから、気にしないで行って。」
困惑する咲の表情を見て、航は優しい表情でそう言うと先にタクシーを降りた。タクシーが向かう先にあるのは、この地域では一番の超高級ホテル。咲はハッとした。
(え?そういえば、ここって航の取引先、、!しかもこんな立派なホテルにこんな格好で、、スッピンとか、、あり得ない、、!)
後悔で泣きそうになりながら、咲はタクシーに乗せられたまま、ホテルの車寄せに入った。タクシーのドアを開けたのは、気品が溢れる格式の高そうな制服を着たホテルマン。
「佐久間様、お待ちいたしておりました。お部屋へご案内いたします。」
(え?えっと私、、え?佐久間様??)
咲の頭の中は、もう正常な判断ができる状態ではなかった。言われるがまま、うなだれた表情でホテルマンにトボトボと着いていく。高級ホテルのはずなのに、ショックと恥ずかしさで、周りを見ることもできない。そして、案内された部屋の前まで来てしまった。ホテルマンがコンコンとドアをノックする。
「佐久間様、お連れいたしました。」
高級感のあるブラウン基調の少し重ためなドアが開く。
「あれ?え、、?航??」
部屋の中には、途中でタクシーを降りたはずの航がいた。航は少し肩で息をしているようだ。
「間に合った!ごめんね、一緒に入るとまずいと思って、俺少し離れた所で降りて正面玄関から入ったんだ。咲が通ってきた所は、普通の人は通らない。誰ともすれ違わないから大丈夫!妹ってことで通してもらったんだ!」
無邪気な笑顔で説明する航を見て、咲の不安は一気に吹き飛んだ。それと同時に安堵感からボロボロと涙が溢れてきた。
「ここ、俺の取引先なんだよ、、って、知ってるか!」
照れ笑いしながら、咲に近付く航は、咲の目深に被ったキャップを取った。サラサラの綺麗な長い黒髪に指を絡ませて、泣いている咲の頬に軽くキスをした。
「先輩がさ、毎日咲のこの顔見てるのかと、、すげー妬けた。、、ごめん。食事の約束だったのに、、俺、我慢できない、、」
航は、咲をベッドへ押し倒した。航は咲の頬にキスをすると、首筋から手の指先、足の指先にまで、咲の全身に舌を這わせていく。そして、そのまま激しく抱き合った。
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