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27.欠片は
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「この絵本に書かれていているのは、以前に見た竜の事でしょうか」
「証拠もなく確かとはいえまい。たが、おそらくは⋯」
ライル様も覚えてらした。やはり夢ではないのね。
あの一瞬に女性と銀色のとても美しい生き物。
未だに本当に、この目で見たのか信じ難い出来事だけど。
「貴重な品ですよね。ありがとうございま」
ライル様が持ってきた古い絵本は、私が預かっていた小さな鍵で開いた。絵が主に描かれており文字は少なくすぐに読み終えてしまった。
「あら?」
本をそっと閉じライル様にお返ししようとして表紙に目がいった。普通は本の題名のみ記されているはずが、小さいながらも竜が描かれていた。
その翼の一ヶ所が、不自然に盛り上がっていて。
そっと触れただけで外れてしまった。
「あっ! 申し訳ございません!」
「問題ない。知り合いから借りた品だ。かなり古い品だから劣化しているのだろう」
膨らみをなぞっただけなのに。この本の造りからして、とても貴重な品なはず。どうしましょう!
「いえ、私の注意がたりなかったのです。修理お支払致します! あっ」
「どうした?」
「いえ、この形見たことがあるような」
そうよ。さっきの!
「あの、この欠片お借りしても」
「構わないが」
私は急いでカウンターのガラスケースの鍵を開け中から目当ての物を掴みライル様の元に戻り、布を広げて中身を見せた。
「マリー、これは?」
「こちらの源らしいのですが、欠けがあって」
その本からとれてしまった欠片は、ぴったりと石の欠けた部分に合った。でも。
「はまらないわ」
「貸してみろ」
ライル様の手が伸びてきて私の手ごと石を包めば。
「はまったわ! あっ光が」
ほんの一瞬だけだったけれど、銀色の光が手の隙間から発せられた。
「凄い力だ。下手に触ればこちらがもっていかれる」
私には何も、むしろ心が落ち着くような光だったけれど…あ。
「あの」
「ところで、この不思議な匂いは」
「あっ、召し上がりますか? 独特なのでお気に召されるかわかりませんが」
「是非頂きたい。あまり腹にいれてなくてね」
「すぐご用意致しますので。あの、手を」
まだ、私の手はライル様に石と一緒に握られいて。
「ああ、すまない」
それに、頭の上に口づけされていたような。今もライル様の手がいやにゆっくり離れていく気がするのは。
嫌だわ。
気のせいよね。
「お待ちください」
いやだわ。絶対私の顔赤い。
手が届かない方なのに。
わかっているの。
なのに、私は、この方の事が──。
「証拠もなく確かとはいえまい。たが、おそらくは⋯」
ライル様も覚えてらした。やはり夢ではないのね。
あの一瞬に女性と銀色のとても美しい生き物。
未だに本当に、この目で見たのか信じ難い出来事だけど。
「貴重な品ですよね。ありがとうございま」
ライル様が持ってきた古い絵本は、私が預かっていた小さな鍵で開いた。絵が主に描かれており文字は少なくすぐに読み終えてしまった。
「あら?」
本をそっと閉じライル様にお返ししようとして表紙に目がいった。普通は本の題名のみ記されているはずが、小さいながらも竜が描かれていた。
その翼の一ヶ所が、不自然に盛り上がっていて。
そっと触れただけで外れてしまった。
「あっ! 申し訳ございません!」
「問題ない。知り合いから借りた品だ。かなり古い品だから劣化しているのだろう」
膨らみをなぞっただけなのに。この本の造りからして、とても貴重な品なはず。どうしましょう!
「いえ、私の注意がたりなかったのです。修理お支払致します! あっ」
「どうした?」
「いえ、この形見たことがあるような」
そうよ。さっきの!
「あの、この欠片お借りしても」
「構わないが」
私は急いでカウンターのガラスケースの鍵を開け中から目当ての物を掴みライル様の元に戻り、布を広げて中身を見せた。
「マリー、これは?」
「こちらの源らしいのですが、欠けがあって」
その本からとれてしまった欠片は、ぴったりと石の欠けた部分に合った。でも。
「はまらないわ」
「貸してみろ」
ライル様の手が伸びてきて私の手ごと石を包めば。
「はまったわ! あっ光が」
ほんの一瞬だけだったけれど、銀色の光が手の隙間から発せられた。
「凄い力だ。下手に触ればこちらがもっていかれる」
私には何も、むしろ心が落ち着くような光だったけれど…あ。
「あの」
「ところで、この不思議な匂いは」
「あっ、召し上がりますか? 独特なのでお気に召されるかわかりませんが」
「是非頂きたい。あまり腹にいれてなくてね」
「すぐご用意致しますので。あの、手を」
まだ、私の手はライル様に石と一緒に握られいて。
「ああ、すまない」
それに、頭の上に口づけされていたような。今もライル様の手がいやにゆっくり離れていく気がするのは。
嫌だわ。
気のせいよね。
「お待ちください」
いやだわ。絶対私の顔赤い。
手が届かない方なのに。
わかっているの。
なのに、私は、この方の事が──。
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