7 / 31
7.夜に癒しを
強かった光は広がりはそのままに徐々に柔らかな色に変化し私の願っていたモノが出てきた。
それは歌と共に始まる。
この国のいわゆる絶景スポットを背景にし歌う姿が写しだされる。いや、ホログラム的なものなのかな。魔術とかわからないから仕組みは不明。
そして当初希望していたのが、四季がある国と聞いて全ての季節をいれたかった。けれど実際は、最近の春の映像のみ。
でも、とても美しかった。
花が咲き乱れる中には顔をぼやかした騎士さん達が立体的に動き、同時に流れてくるアップテンポの曲は昼間の騎士さん達が歌っている。
「…凄い」
ジュリアさんが呟いたまま映像に釘付けになっているのをみて、まだ確信は持てないけれど、なんとなくいける気がしてきて。でも、まだこれからが本番だ。
動く映像と歌が終わり次に写し出されたのは。
「これ、お手伝いをさせて頂いた」
ジュリアさんの瞳はひらきっぱなしだ。
「はい。このシーンの線の箇所はジュリアさんに書いてもらいました」
「このような形になるなんて」
特異な力が全くない私が提案した事。
それは娯楽だ。
正直閃いたものの無理かと思った。だけど素晴らしい物をみつけてしまった。
それが、この今テーブルの上にあるクリスタルのような石。これは一家に一個国から支給されている。
この石はただ綺麗なだけではなく、普段は緊急の場合や何かの式典など重要な事がある際に皆に伝わるようにと一家に一個ある特別な物で、普段は棚に置かれていたりと出番はないらしい。
私がそれを聞いて思ったのは、もったいない!これだ!これを活用しようと決めた。
そこから計画は広がった。
本当は家でみていたアニメのような、あそこまでいかなくてもいいから動くものとして作りたかった。
結果は、はい。無理です。
でも捻って考えたのが、オープニングとエンディングはホログラム的な立体の映像をいれて特に始まりは、国内の場所の美しさを重視した。
次のメインは手書きの絵、漫画だ。ただ、中学の時にかじったくらいの私には限界があり、この国で今一番人気だという絵描きさんに協力を求めた。なのでどちらかというと紙芝居に近い。内容も口で物語として伝えられている馴染みやすいものを選んだ。
まあ、少し変えたけれど。
そして、一番売りなのは紙芝居と違って現役騎士様がそれぞれのキャラの声を担当している。
この方達の声は半端ない。通行人Aのような私がいうのもなんだが、顔も良いというか。
あらゆる世代の特に女子を狙った厳選した方々である。
「この声」
「気づきました?」
流石ジュリアさん。
エンディングは月明かり、もとい土星なようなものが光る夜の日。花びらが散るなか歌うグランさんの映像だ。
実際は影だけで本人とはわからない。
少し悲しい歌詞が低くそれでいて甘い声で部屋が満たされていき。映像が暗くなると共に余韻を残し消えていった。
「私にしては頑張った。皆さんにも無理して時間を作ってもらって」
ランプの灯りがジュリアさんの手で戻されていったけど、まだ映画を観終わり外に出た時のような気持ちのまま。
でも現実が迫ってくる。
どうだったのかな?
大丈夫かな?
達成感はあるけれど、不安な気持ちが増していき。
「ミライ様、グラン様がいらしております」
ジュリアさんが、こんな遅くにと小さく呟いた。グランさんの話は、今映し出された話に間違いない。
聞きたいけど聞きたくない。そんなせめぎあう気持ちの中。
「どうされますか?」
ジュリアさんの言葉に。
「…会います」
気づいたら答えていた。
そしてまたこの後、私はやらかす事になる。
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。
和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。
黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。
私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと!
薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。
そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。
目指すは平和で平凡なハッピーライフ!
連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。
この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。
*他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。
召喚先は、誰も居ない森でした
みん
恋愛
事故に巻き込まれて行方不明になった母を探す茉白。そんな茉白を側で支えてくれていた留学生のフィンもまた、居なくなってしまい、寂しいながらも毎日を過ごしていた。そんなある日、バイト帰りに名前を呼ばれたかと思った次の瞬間、眩しい程の光に包まれて──
次に目を開けた時、茉白は森の中に居た。そして、そこには誰も居らず──
その先で、茉白が見たモノは──
最初はシリアス展開が続きます。
❋他視点のお話もあります
❋独自設定有り
❋気を付けてはいますが、誤字脱字があると思います。気付いた時に訂正していきます。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?
浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。
「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」
ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
〖完結〗終着駅のパッセージ
苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。
その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。
婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。
孤独な結婚生活を送る中。
ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。
始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。
他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。
そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。
だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。
それから一年ほどたった冬の夜。
カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。
そこには彼の想いが書かれてあった。
月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。
カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。
※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。
※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。
稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中